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Ⅱ-14 公共工事の役割
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■旧トットナム伯爵領
前外務卿であるトットナムの旧領地も旧シュターナー領と変らなかった。
広大な土地ではあるが、民は飢えない程度に食べていけるだけだ。
途中で立ち寄った村はさらに貧しいようには見えたが・・・
目の前には工事を止めた大橋の石が積み上げられている。
「エドガーよ、この工事には既に金が掛っておるのであろう?」
「はい、陛下。帳簿によれば既に20万枚以上の金貨が使われております」
-全く役に立っていない石を並べるだけで金貨20万枚か。
-それだけの金があればパンはいくつ作れるのだろう?
-だが、その工事で食べていた者達もおる。
「エドガーよ、騎兵隊の武器庫を襲撃したものの家族は新しい組合で雇ってやれ。余はそのように約束したのじゃ」
「かしこまりました。それと、陛下」
「なんじゃ?」
「反乱をおこした者たちへ寛大な処置をいただき、誠にありがとうございます」
「なぜ、お前が感謝するのだ?」
「はい、今回の反乱で陛下から『命を失わせずに済む方法が無かったのか考えよ』とのお言葉をいただき、ずっと考え、悩んでおりました」
「確かに私は安易に考えておりました、邪魔なものはただ排除すればよいと・・・。
その結果、多くの命を奪うことになってしまうことには考えが及ばす、取り返しのつかないことをしてしまったと・・・」
「ふむ、あれはそなたのために鉱山送りにした訳ではない。この国は死罪が多すぎると思うただけのことよ」
-人は生かしたほうが役に立つ、そして罪人も考えを改めることがある。
「して、この大橋は結局どうするつもりなのじゃ?」
「はい、クローナの技術でしたら橋げたの数を減らして、船が航行できる橋を作ることが可能となる見込みですので、来年度の予算で工事を再開しようと考えております」
-国全体では間違えておらんが・・・
「エドガーよ、ここの工事も今年から少し進めるようにしてやれ。他の工事が多少遅れても構わぬ」
「かしこまりました。差し支えなければ、陛下のお考えをお聞かせいただけますでしょうか?」
「うむ、民は1年食べぬわけにもいかんだろう。ならば、この領地にも少しは仕事を作ってやらねばな」
「なるほど、民のためでございますね。承知いたしました」
「時に、クローナの技師はどのような者達なのだ?」
「はい、まだ数名しか来ておりません。ですが、思ったより多くをこちらへ回していただけるようです。公使として着任されたエイドリアン王子のご尽力によるものでございます」
「そなたは、エイドリアン王子とは会ったのか?」
「はい、一度お会いしました」
「どのような人物と思ったのじゃ?」
「聡明な方と存じます。ですが、聡明な方ゆえに・・・」
「なんじゃ? 遠慮なく申してみよ」
「はい、王子の考えが読めずに不安を覚えます」
ふむ、それはそうであろう。
なんと言っても、玉無しなんじゃからな。
前外務卿であるトットナムの旧領地も旧シュターナー領と変らなかった。
広大な土地ではあるが、民は飢えない程度に食べていけるだけだ。
途中で立ち寄った村はさらに貧しいようには見えたが・・・
目の前には工事を止めた大橋の石が積み上げられている。
「エドガーよ、この工事には既に金が掛っておるのであろう?」
「はい、陛下。帳簿によれば既に20万枚以上の金貨が使われております」
-全く役に立っていない石を並べるだけで金貨20万枚か。
-それだけの金があればパンはいくつ作れるのだろう?
-だが、その工事で食べていた者達もおる。
「エドガーよ、騎兵隊の武器庫を襲撃したものの家族は新しい組合で雇ってやれ。余はそのように約束したのじゃ」
「かしこまりました。それと、陛下」
「なんじゃ?」
「反乱をおこした者たちへ寛大な処置をいただき、誠にありがとうございます」
「なぜ、お前が感謝するのだ?」
「はい、今回の反乱で陛下から『命を失わせずに済む方法が無かったのか考えよ』とのお言葉をいただき、ずっと考え、悩んでおりました」
「確かに私は安易に考えておりました、邪魔なものはただ排除すればよいと・・・。
その結果、多くの命を奪うことになってしまうことには考えが及ばす、取り返しのつかないことをしてしまったと・・・」
「ふむ、あれはそなたのために鉱山送りにした訳ではない。この国は死罪が多すぎると思うただけのことよ」
-人は生かしたほうが役に立つ、そして罪人も考えを改めることがある。
「して、この大橋は結局どうするつもりなのじゃ?」
「はい、クローナの技術でしたら橋げたの数を減らして、船が航行できる橋を作ることが可能となる見込みですので、来年度の予算で工事を再開しようと考えております」
-国全体では間違えておらんが・・・
「エドガーよ、ここの工事も今年から少し進めるようにしてやれ。他の工事が多少遅れても構わぬ」
「かしこまりました。差し支えなければ、陛下のお考えをお聞かせいただけますでしょうか?」
「うむ、民は1年食べぬわけにもいかんだろう。ならば、この領地にも少しは仕事を作ってやらねばな」
「なるほど、民のためでございますね。承知いたしました」
「時に、クローナの技師はどのような者達なのだ?」
「はい、まだ数名しか来ておりません。ですが、思ったより多くをこちらへ回していただけるようです。公使として着任されたエイドリアン王子のご尽力によるものでございます」
「そなたは、エイドリアン王子とは会ったのか?」
「はい、一度お会いしました」
「どのような人物と思ったのじゃ?」
「聡明な方と存じます。ですが、聡明な方ゆえに・・・」
「なんじゃ? 遠慮なく申してみよ」
「はい、王子の考えが読めずに不安を覚えます」
ふむ、それはそうであろう。
なんと言っても、玉無しなんじゃからな。
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