64 / 343
Ⅰ-64 魔法練習&狙撃練習
しおりを挟む
■第2迷宮
同行する二人に了解を取らないまま黒の旅団を結成した俺はロッペンを先に行かせながら塔の外に出て行くことした。
不可侵条約に合意したとはいえ、何処まで信じて良いのか判らない以上は警戒を怠れない。ソ連のような国も沢山ある訳だからな。
俺とミーシャで交互に牽制しながら堀を越えて迷宮の外に出た。
迷宮を外から見ていると、昨日の夜に思いついたことを試してみたくなった。
ミーシャに白の刃牙団を監視するように頼んでからサリナを呼んだ。
「あの窓みたいに開いているところに水のロッドを使って風魔法をぶつけてくれよ」
俺は3階の開口部から見えている立てかけられた木の板が外から倒せないかが気になっていたのだ。
「あそこかぁ・・・届くかなぁ? でも、やってみるね!」
「おお、強めの風でドカーンとやれ」
「これには合図はいらないの?」
「そうだな、合図は『ジェット!』でやってくれ」
「わかった! 『じぇっ、じぇっと!』ね」
サリナはいつもどおり素直に水のロッドを3階の窓へ向けて掛け声を放った。
「じぇっと!」
ロッドを持つ右手の辺りから、うなる音と共に風が走るのを感じた。
塔からドアを思いっきり叩いたような大きな音が聞こえ、その後にもう少し小さな音が響いた。
開口部からは3階の部屋の中が見えるようになっている。見事に風で立てかけた板を倒すことが出来たようだ。
「おお、凄いぞサリナ! 俺のイメージ通りだ、今度は反対側に行ってやって見よう。ミーシャ、辺りを警戒しながら付いてきてくれよ」
「わかった。背中は任せておけ」
塔の周りを半周して、今度は4階の窓を狙わせる。
さっきと同じように放たれた風は窓に当たったが板は倒れなかった。
続けてあと二回やってみたが、やはり倒れない。
サリナの風魔法がまだ弱いからなのだろうか?
「お前、水を飛ばす魔法はまだ使ってないよな?」
「水はまだやってないよ」
「じゃあ、今度は水を炎のようにあそこに飛ばしてみろよ。炎と同じように水の神と風の神に祈ってからな」
「ワテル様とウィン様だよね・・・、でも水ってどんな風に飛ぶんだろう?」
「それは、放水・・・」
確かにこいつらは消防や暴動鎮圧で放水しているところは見ていないから、水が飛ぶって言う光景が頭に浮かばないのかもしれないな・・・
俺はタブレットを取り出して、動画サイトで放水のシーンをサリナに見せてやった。
「これは何? 人がいっぱい入ってるけど・・・小さい人形の魔法?」
-そこからかい!
「人はいいから、この先から飛んでいるのが水だ、これを頭の中に焼き付けてから神様にお願いしてみろ」
俺はホースの先から勢い良く飛び出す放水を指差して、サリナに説明した。
「これが水なの? うーん、遠くまで飛べば良いッてことだよね!?」
「そうだ、合図は・・・『ジェットウォーター!』でいこう」
「じぇっとおーたー?」
-ちょっとチャウけど、まあええやろ。
しばらく、口元でぶつぶつ言っていたサリナはロッドを構えなおして目を瞑ってから、4階の窓に向けて叫んだ。
「じぇっとおーたー!」
掛け声と同時に、ロッドの先から映像どおりの水が迸った!
しかし、4階に届いた時には放水の勢いがなくなっていて、木の板を向こうに倒すことは出来そうに無かった。
「サリナ、ありがとう。もう良いよ」
「もう良いの? サリナはちゃんと出来たのかな!?」
「ああ、お前は凄いよ、ちゃんと出来ているからな」
「やったー! サトルが褒めてくれた!!」
ぴょんぴょん飛び跳ねてご機嫌なサリナを見ながら、俺はサリナの魔法力が足りないのか、それとも、やり方が違うのかを悩んでいた。
§
白の刃牙団の追跡を気にして、徒歩で約3km森の中を移動してから、4輪バギーを呼び出して、北の荒地まで移動した。途中に出てくる魔獣は全てミーシャが倒してくれた。ミーシャがバギーから降りて矢を放つ度に、俺も背後を警戒していたが、一度も銃を撃つことがないまま、2時間弱で森を抜けることが出来た。
そのまま東へ1時間ほど移動してバギーを止めさせた。
キャンピングカーの中でサンドウィッチを食べてから、午後演習の事前準備としてバギーで移動しながらターゲットを1km先と50メートル横に設置した。
「サリナは、あの的に向かって風の魔法を何回も飛ばす練習をしてくれ。あの的なら風の強さがわかりやすいはずだ」
50メートル向こうには高速道路にあるような大型の吹流しを立ててある。
かなり強い風でなければ吹流しは伸び上がらないだろうから、力の目安になるだろう。
「あそこね!? 『じぇっと!』でいいんだよね!?」
「ああ、あの垂れている布がしっかり持ち上がるようになったら美味しいお菓子を食わせてやるからな」
「判った、頑張るから、アイスが良い!!」
「いいよ、アイスを用意してやる。俺とミーシャは遠くに向かって撃つ練習をするから、魔獣が来たら教えてくれよ」
「任せて♪ 全部できるから!」
サリナを自主練習させておいて、俺はミーシャと1km先に置いてあるターゲット代わりのマネキン人形5体を狙うために50口径の対物ライフルと三脚に乗せたフィールドスコープを用意した。
「ミーシャはここからあそこの人型をした物が見えるの?」
俺の目には1km先の荒地に立つマネキンはあるかどうかもはっきりしない。
「見えると言うのはどう言う意味なのだ?」
「そうだね、いくつ有るかはわかる?」
「もちろん、さっき置いてきたまま5つとも並んでいるぞ」
やはり、ミーシャは1kmぐらいなら裸眼でかなり細かいところまで識別できるようだ。
「俺が弾を撃った方向も判るんだよね?」
「ああ、近い距離は見えないが200メートル以上あれば、どちらに行ったかを目で追えるな」
「じゃあ、いまから撃つから弾が上下左右どっちに行ったか教えてくれるかな?」
「いいぞ、お前は一発目を右上に外すことが多いから注意しろよ」
「・・・」
今までのもしっかり見ていてくれたという事でしたか・・・
地面に引いたマットの上に伏射の姿勢をとり、レバーを引いて12.7mm弾を薬室へ送り込む。
右頬に乾いた風がゆっくり当たっている。
銃口をターゲット方向に向けてからスコープの中でマネキンを探した。
「右側から狙っていくからね」
スコープの中の十字線がマネキンの左胸に重なった瞬間にトリガーを引いた。
遮るものない荒野にサプレッサーで抑え切れない低い音が響き渡る。
だが、弾はかすりもしなかった。
「少し左のだいぶ上だな」
ミーシャの指摘で弾が下に行くようにスコープを調整する。
もう一度、同じマネキンを狙って撃ったが外れた。
「今度は下だな」
今度は自分でも手前の地面に当たったのが見えた。
スコープをもう一度微調整してから撃ったがまた外れた。
「高さは良いが、左だな。もう30cm右を狙え、ここよりも向こうは風が強くなっているぞ」
ミーシャ様の仰せのままに、十字線をマネキンの右30cmにずらしてトリガーを引く。
スコープ内でマネキンが吹っ飛ぶのが見えた。
「おお、やっぱりミーシャは凄いね、風が本当に見えているんだ」
「もちろん見えている。お前の銃はあのぐらいしか横に流れないが、この風で矢を放てば200メートル先でも左に1メートル近く流れていくからな」
俺はミーシャの協力により2体のマネキンを追加で破壊した。2体とも2発目で命中したので、俺としては大満足だった。
この銃は1km用として武器の部屋においておくことにする。
さて、ここからが問題だ、ミーシャに撃たせてみようと思っているのだが・・・
「ミーシャも試しに撃ってみるか?」
「よ、良いのか!? 是非撃たせてくれ!」
前から俺が撃っている時に熱い視線を感じていた、俺も勘違い野郎にはなりたくないので、俺ではなく銃に興味があるのも判っていた。
同じ型の対物ライフルを用意して、ミーシャに伏射の姿勢を教えた。もっとも教える俺も見ようみまねでやっているだけなのだが。
「このレバーを引くと矢を番える状態になる。レバーを引くのは1度だけで大丈夫だから、後は自動的にトリガーを引けば合計10発まで撃つことができる」
「そうか、判った。最初だけ弾を番えるのだな」
微妙に表現が変になっているが、問題ないだろう。
「その筒の中の十字線で狙いを定めてから撃つと当たりやすくなってるから」
「これか・・・、なるほど大きく見えるのだな・・・、だが何のためなのだ?無くても見えることには変わりないだろうが?」
やはりそう来たか。何となくそんな気がしてた。裸眼で遠くまで見えて、弾の行方がみえるなら・・・スコープが無いほうが狙いやすいのかもしれない。
「外したほうが狙いやすいなら外そうか?」
「外せるのか!? ならば、是非頼みたい。この筒が邪魔になって弾が飛ぶ方向が見えないような気がするのだ」
-人類でそんなヤツはおらん!
希望通りにスコープを外してやった。
「うん、この方が良いだろう。もう、撃っても良いか?」
「良いよ、マネキンを狙って撃ってみて」
俺の返事が終らないタイミングで低い発射音が響いた。
「外れたな、右上を抜けたようだ」
全く見えないが、一人で納得したミーシャはすぐに次の発射音を響き渡らせた。
「うん、このぐらいなのだな」
俺は慌てて、フィールドスコープ越しにマネキンをみると1体しか立っていない。
「ミーシャ・・・」
呼びかけたと同時に次の発射音が聞こえて、スコープの中のマネキンが吹っ飛んだ。
うん、これはマズイかもしれないな。
俺って既に兵站係になったのかもしれない。
同行する二人に了解を取らないまま黒の旅団を結成した俺はロッペンを先に行かせながら塔の外に出て行くことした。
不可侵条約に合意したとはいえ、何処まで信じて良いのか判らない以上は警戒を怠れない。ソ連のような国も沢山ある訳だからな。
俺とミーシャで交互に牽制しながら堀を越えて迷宮の外に出た。
迷宮を外から見ていると、昨日の夜に思いついたことを試してみたくなった。
ミーシャに白の刃牙団を監視するように頼んでからサリナを呼んだ。
「あの窓みたいに開いているところに水のロッドを使って風魔法をぶつけてくれよ」
俺は3階の開口部から見えている立てかけられた木の板が外から倒せないかが気になっていたのだ。
「あそこかぁ・・・届くかなぁ? でも、やってみるね!」
「おお、強めの風でドカーンとやれ」
「これには合図はいらないの?」
「そうだな、合図は『ジェット!』でやってくれ」
「わかった! 『じぇっ、じぇっと!』ね」
サリナはいつもどおり素直に水のロッドを3階の窓へ向けて掛け声を放った。
「じぇっと!」
ロッドを持つ右手の辺りから、うなる音と共に風が走るのを感じた。
塔からドアを思いっきり叩いたような大きな音が聞こえ、その後にもう少し小さな音が響いた。
開口部からは3階の部屋の中が見えるようになっている。見事に風で立てかけた板を倒すことが出来たようだ。
「おお、凄いぞサリナ! 俺のイメージ通りだ、今度は反対側に行ってやって見よう。ミーシャ、辺りを警戒しながら付いてきてくれよ」
「わかった。背中は任せておけ」
塔の周りを半周して、今度は4階の窓を狙わせる。
さっきと同じように放たれた風は窓に当たったが板は倒れなかった。
続けてあと二回やってみたが、やはり倒れない。
サリナの風魔法がまだ弱いからなのだろうか?
「お前、水を飛ばす魔法はまだ使ってないよな?」
「水はまだやってないよ」
「じゃあ、今度は水を炎のようにあそこに飛ばしてみろよ。炎と同じように水の神と風の神に祈ってからな」
「ワテル様とウィン様だよね・・・、でも水ってどんな風に飛ぶんだろう?」
「それは、放水・・・」
確かにこいつらは消防や暴動鎮圧で放水しているところは見ていないから、水が飛ぶって言う光景が頭に浮かばないのかもしれないな・・・
俺はタブレットを取り出して、動画サイトで放水のシーンをサリナに見せてやった。
「これは何? 人がいっぱい入ってるけど・・・小さい人形の魔法?」
-そこからかい!
「人はいいから、この先から飛んでいるのが水だ、これを頭の中に焼き付けてから神様にお願いしてみろ」
俺はホースの先から勢い良く飛び出す放水を指差して、サリナに説明した。
「これが水なの? うーん、遠くまで飛べば良いッてことだよね!?」
「そうだ、合図は・・・『ジェットウォーター!』でいこう」
「じぇっとおーたー?」
-ちょっとチャウけど、まあええやろ。
しばらく、口元でぶつぶつ言っていたサリナはロッドを構えなおして目を瞑ってから、4階の窓に向けて叫んだ。
「じぇっとおーたー!」
掛け声と同時に、ロッドの先から映像どおりの水が迸った!
しかし、4階に届いた時には放水の勢いがなくなっていて、木の板を向こうに倒すことは出来そうに無かった。
「サリナ、ありがとう。もう良いよ」
「もう良いの? サリナはちゃんと出来たのかな!?」
「ああ、お前は凄いよ、ちゃんと出来ているからな」
「やったー! サトルが褒めてくれた!!」
ぴょんぴょん飛び跳ねてご機嫌なサリナを見ながら、俺はサリナの魔法力が足りないのか、それとも、やり方が違うのかを悩んでいた。
§
白の刃牙団の追跡を気にして、徒歩で約3km森の中を移動してから、4輪バギーを呼び出して、北の荒地まで移動した。途中に出てくる魔獣は全てミーシャが倒してくれた。ミーシャがバギーから降りて矢を放つ度に、俺も背後を警戒していたが、一度も銃を撃つことがないまま、2時間弱で森を抜けることが出来た。
そのまま東へ1時間ほど移動してバギーを止めさせた。
キャンピングカーの中でサンドウィッチを食べてから、午後演習の事前準備としてバギーで移動しながらターゲットを1km先と50メートル横に設置した。
「サリナは、あの的に向かって風の魔法を何回も飛ばす練習をしてくれ。あの的なら風の強さがわかりやすいはずだ」
50メートル向こうには高速道路にあるような大型の吹流しを立ててある。
かなり強い風でなければ吹流しは伸び上がらないだろうから、力の目安になるだろう。
「あそこね!? 『じぇっと!』でいいんだよね!?」
「ああ、あの垂れている布がしっかり持ち上がるようになったら美味しいお菓子を食わせてやるからな」
「判った、頑張るから、アイスが良い!!」
「いいよ、アイスを用意してやる。俺とミーシャは遠くに向かって撃つ練習をするから、魔獣が来たら教えてくれよ」
「任せて♪ 全部できるから!」
サリナを自主練習させておいて、俺はミーシャと1km先に置いてあるターゲット代わりのマネキン人形5体を狙うために50口径の対物ライフルと三脚に乗せたフィールドスコープを用意した。
「ミーシャはここからあそこの人型をした物が見えるの?」
俺の目には1km先の荒地に立つマネキンはあるかどうかもはっきりしない。
「見えると言うのはどう言う意味なのだ?」
「そうだね、いくつ有るかはわかる?」
「もちろん、さっき置いてきたまま5つとも並んでいるぞ」
やはり、ミーシャは1kmぐらいなら裸眼でかなり細かいところまで識別できるようだ。
「俺が弾を撃った方向も判るんだよね?」
「ああ、近い距離は見えないが200メートル以上あれば、どちらに行ったかを目で追えるな」
「じゃあ、いまから撃つから弾が上下左右どっちに行ったか教えてくれるかな?」
「いいぞ、お前は一発目を右上に外すことが多いから注意しろよ」
「・・・」
今までのもしっかり見ていてくれたという事でしたか・・・
地面に引いたマットの上に伏射の姿勢をとり、レバーを引いて12.7mm弾を薬室へ送り込む。
右頬に乾いた風がゆっくり当たっている。
銃口をターゲット方向に向けてからスコープの中でマネキンを探した。
「右側から狙っていくからね」
スコープの中の十字線がマネキンの左胸に重なった瞬間にトリガーを引いた。
遮るものない荒野にサプレッサーで抑え切れない低い音が響き渡る。
だが、弾はかすりもしなかった。
「少し左のだいぶ上だな」
ミーシャの指摘で弾が下に行くようにスコープを調整する。
もう一度、同じマネキンを狙って撃ったが外れた。
「今度は下だな」
今度は自分でも手前の地面に当たったのが見えた。
スコープをもう一度微調整してから撃ったがまた外れた。
「高さは良いが、左だな。もう30cm右を狙え、ここよりも向こうは風が強くなっているぞ」
ミーシャ様の仰せのままに、十字線をマネキンの右30cmにずらしてトリガーを引く。
スコープ内でマネキンが吹っ飛ぶのが見えた。
「おお、やっぱりミーシャは凄いね、風が本当に見えているんだ」
「もちろん見えている。お前の銃はあのぐらいしか横に流れないが、この風で矢を放てば200メートル先でも左に1メートル近く流れていくからな」
俺はミーシャの協力により2体のマネキンを追加で破壊した。2体とも2発目で命中したので、俺としては大満足だった。
この銃は1km用として武器の部屋においておくことにする。
さて、ここからが問題だ、ミーシャに撃たせてみようと思っているのだが・・・
「ミーシャも試しに撃ってみるか?」
「よ、良いのか!? 是非撃たせてくれ!」
前から俺が撃っている時に熱い視線を感じていた、俺も勘違い野郎にはなりたくないので、俺ではなく銃に興味があるのも判っていた。
同じ型の対物ライフルを用意して、ミーシャに伏射の姿勢を教えた。もっとも教える俺も見ようみまねでやっているだけなのだが。
「このレバーを引くと矢を番える状態になる。レバーを引くのは1度だけで大丈夫だから、後は自動的にトリガーを引けば合計10発まで撃つことができる」
「そうか、判った。最初だけ弾を番えるのだな」
微妙に表現が変になっているが、問題ないだろう。
「その筒の中の十字線で狙いを定めてから撃つと当たりやすくなってるから」
「これか・・・、なるほど大きく見えるのだな・・・、だが何のためなのだ?無くても見えることには変わりないだろうが?」
やはりそう来たか。何となくそんな気がしてた。裸眼で遠くまで見えて、弾の行方がみえるなら・・・スコープが無いほうが狙いやすいのかもしれない。
「外したほうが狙いやすいなら外そうか?」
「外せるのか!? ならば、是非頼みたい。この筒が邪魔になって弾が飛ぶ方向が見えないような気がするのだ」
-人類でそんなヤツはおらん!
希望通りにスコープを外してやった。
「うん、この方が良いだろう。もう、撃っても良いか?」
「良いよ、マネキンを狙って撃ってみて」
俺の返事が終らないタイミングで低い発射音が響いた。
「外れたな、右上を抜けたようだ」
全く見えないが、一人で納得したミーシャはすぐに次の発射音を響き渡らせた。
「うん、このぐらいなのだな」
俺は慌てて、フィールドスコープ越しにマネキンをみると1体しか立っていない。
「ミーシャ・・・」
呼びかけたと同時に次の発射音が聞こえて、スコープの中のマネキンが吹っ飛んだ。
うん、これはマズイかもしれないな。
俺って既に兵站係になったのかもしれない。
0
お気に入りに追加
897
あなたにおすすめの小説
現代兵器で異世界無双
wyvern
ファンタジー
サバゲ好き以外どこにでもいるようなサラリーマンの主人公は、
ある日気づけば見知らぬ森の中にいた。
その手にはLiSMと呼ばれるip〇d似の端末を持たされていた。
これはアサルトライフルや戦闘機に戦車や空母、果ては缶コーヒーまで召喚できてしまうチート端末だった。
森を出た主人公は見る風景、人、町をみて中近世のような異世界に転移させられと悟った。
そしてこちらの世界に来てから幾日か経った時、
主人公を転移させた張本人のコンダート王国女王に会い、
この国がデスニア帝国という強大な隣国に陸・海・空から同時に攻められ敗戦色濃厚ということを知る。
主人公は、自分が召喚されたのはLiSMで召喚した現代兵器を使ってこの国を救って欲しいからだと知り、
圧倒的不利なこの状況を現代兵器を駆使して立ち向かっていく!
そして軍事のみならず、社会インフラなどを現代と引けを取らない状態まで成長させ、
超大国となったコンダート王国はデスニア帝国に逆襲を始める
そしてせっかく異世界来たのでついでにハーレム(軍団)も作っちゃいます笑!
Twitterやってます→https://twitter.com/wyvern34765592
【完結】愛されなかった私が幸せになるまで 〜旦那様には大切な幼馴染がいる〜
高瀬船
恋愛
2年前に婚約し、婚姻式を終えた夜。
フィファナはドキドキと逸る鼓動を落ち着かせるため、夫婦の寝室で夫を待っていた。
湯上りで温まった体が夜の冷たい空気に冷えて来た頃やってきた夫、ヨードはベッドにぽつりと所在なさげに座り、待っていたフィファナを嫌悪感の籠った瞳で一瞥し呆れたように「まだ起きていたのか」と吐き捨てた。
夫婦になるつもりはないと冷たく告げて寝室を去っていくヨードの後ろ姿を見ながら、フィファナは悲しげに唇を噛み締めたのだった。
鉱夫剣を持つ 〜ツルハシ振ってたら人類最強の肉体を手に入れていた〜
犬斗
ファンタジー
〜転生なし、スキルなし、魔法なし、勇者も魔王もいない異世界ファンタジー〜
危険なモンスターが生態系の頂点に君臨。
蔓延る詐欺、盗賊、犯罪組織。
人の命は軽く殺伐とした世界。
冒険者がモンスターを狩り、騎士団が犯罪を取り締まる。
人々は商売で金を稼ぎ、たくましく生きていく。
そんな現実とは隔離された世界で最も高い山に、一人で暮らす心優しい青年鉱夫。
青年はひたすら鉱石を採掘し、市場で売って生計を立てる。
だが、人が生きていけない高度でツルハシを振り続けた結果、無意識に身体が鍛えられ人類最強の肉体を手に入れていた。
自分の能力には無自覚で、日々採掘しては鉱石を売り、稼いだ金でたまの贅沢をして満足する青年。
絶世の美女との偶然の出会いから、真面目な青年鉱夫の人生は急展開。
人智を超えた肉体と、鉱石やモンスターの素材でクラフトした装備や道具で活躍していく。
そして素朴な鉱夫青年は、素晴らしい仲間に支えられて世界へ羽ばたく。
※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。
【完結】何度時(とき)が戻っても、私を殺し続けた家族へ贈る言葉「みんな死んでください」
リオール
恋愛
「リリア、お前は要らない子だ」
「リリア、可愛いミリスの為に死んでくれ」
「リリア、お前が死んでも誰も悲しまないさ」
リリア
リリア
リリア
何度も名前を呼ばれた。
何度呼ばれても、けして目が合うことは無かった。
何度話しかけられても、彼らが見つめる視線の先はただ一人。
血の繋がらない、義理の妹ミリス。
父も母も兄も弟も。
誰も彼もが彼女を愛した。
実の娘である、妹である私ではなく。
真っ赤な他人のミリスを。
そして私は彼女の身代わりに死ぬのだ。
何度も何度も何度だって。苦しめられて殺されて。
そして、何度死んでも過去に戻る。繰り返される苦しみ、死の恐怖。私はけしてそこから逃れられない。
だけど、もういい、と思うの。
どうせ繰り返すならば、同じように生きなくて良いと思うの。
どうして貴方達だけ好き勝手生きてるの? どうして幸せになることが許されるの?
そんなこと、許さない。私が許さない。
もう何度目か数える事もしなかった時間の戻りを経て──私はようやく家族に告げる事が出来た。
最初で最後の贈り物。私から贈る、大切な言葉。
「お父様、お母様、兄弟にミリス」
みんなみんな
「死んでください」
どうぞ受け取ってくださいませ。
※ダークシリアス基本に途中明るかったりもします
※他サイトにも掲載してます
【完結】浮気者と婚約破棄をして幼馴染と白い結婚をしたはずなのに溺愛してくる
ユユ
恋愛
私の婚約者と幼馴染の婚約者が浮気をしていた。
私も幼馴染も婚約破棄をして、醜聞付きの売れ残り状態に。
浮気された者同士の婚姻が決まり直ぐに夫婦に。
白い結婚という条件だったのに幼馴染が変わっていく。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
歩くだけでレベルアップ!~駄女神と一緒に異世界旅行~
なつきいろ
ファンタジー
極々平凡なサラリーマンの『舞日 歩』は、駄女神こと『アテナ』のいい加減な神罰によって、異世界旅行の付き人となってしまう。
そこで、主人公に与えられた加護は、なんと歩くだけでレベルが上がってしまうというとんでもチートだった。
しかし、せっかくとんでもないチートを貰えたにも関わらず、思った以上に異世界無双が出来ないどころか、むしろ様々な問題が主人公を襲う結果に.....。
これは平凡なサラリーマンだった青年と駄女神が繰り広げるちょっとHな異世界旅行。
没落した元名門貴族の令嬢は、馬鹿にしてきた人たちを見返すため王子の騎士を目指します!
日之影ソラ
ファンタジー
かつては騎士の名門と呼ばれたブレイブ公爵家は、代々王族の専属護衛を任されていた。
しかし数世代前から優秀な騎士が生まれず、ついに専属護衛の任を解かれてしまう。それ以降も目立った活躍はなく、貴族としての地位や立場は薄れて行く。
ブレイブ家の長女として生まれたミスティアは、才能がないながらも剣士として研鑽をつみ、騎士となった父の背中を見て育った。彼女は父を尊敬していたが、周囲の目は冷ややかであり、落ちぶれた騎士の一族と馬鹿にされてしまう。
そんなある日、父が戦場で命を落としてしまった。残されたのは母も病に倒れ、ついにはミスティア一人になってしまう。土地、お金、人、多くを失ってしまったミスティアは、亡き両親の想いを受け継ぎ、再びブレイブ家を最高の騎士の名家にするため、第一王子の護衛騎士になることを決意する。
こちらの作品の連載版です。
https://ncode.syosetu.com/n8177jc/
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる