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1章

領地と拠点

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神様らしからぬ手紙を読み終えて
山田は歩き始めた。


ただ領地と渡されて、この世界について知らなければならない。

なにか情報がないか山田はあたりを再度見渡すが、特に得られる情報はなかった。

見えるのは野原が永遠と続くだけ。


「まずは水を確保しよう。それから住む場所も必要だ。。」

山田はおそらく人がいたであろう領地を散策することにした。

神様の手紙には、顔も知らない両親が運営していた領地であることが明記されていたが、

そこには人の影すら見えていない。

何百年も昔に建物が立っていたであろうものはいくつか目に入る。

ただそれはレンガが少し積み上がっている程度のもので、殆どが廃墟と言わざるを得なかった。

そんな中、山田は井戸を見つけた。

旧式の組み上げ式井戸ではあった。

「この水はまだいけるな。。この辺に拠点を組もう」



ただここは領地とは名ばかりの野原。

「どうやって生きていけばいいんだよ」

水を見つけた山田。
住む場所もとりあえず木組みの家を作ることにした。


近くの林の木を見て
昔ゲームに出てきた魔法を試しに唱えてみた。

「まさかできるはずがないよな」


そう思いながらも山田は手を木の方向に向けた。
そうしてこう魔法を唱える。


“ウインドカッター”


手から旋風のようなものが射出され、木に向かって刃の如き風が突き進む。

そして木は倒れたのだ。


「嘘だろ。。この世界、ゲームと同じ魔法が使えるのかよ。異世界転生系じゃねえか」

「なら自分に魔法もかけれるのか?」

山田は自分に手を当てて唱える。

“ブースト”


ただ見た目では何も変化がない。

先程倒した木を持ち上げようとする。

「あれ?これは自分にかかったくさいな」


「これなら生きていけるぞ!」


山田に少しの光が見えた。

それから数時間。
昔ゲームで見たような魔法をイメージして、魔法を使いこなし1軒の家を建てた。

木組みの簡素な家だが、風を凌ぐにはちょうど良かった。


「よし、とりあえず住居は問題なさそうだ。」


忘れてはいけないのは、食べ物だ。
唯一家を建てる際に出てきたイノシシの魔獣の死体だけがある。

「これ。。食えるのか?」

手元には刃物などない。
つまり解体する魔法をイメージする必要があるのだ。


「解体。。解体。。。解体。。。。。」

そして一つの言葉を思いついた。

「よし、これで行こう」


山田はものを分解するイメージを持ち、イノシシの魔獣に手を向けて唱えた。


“アナライズ”


すると目の前にあったイノシシの魔獣の死骸が分解され、肉と皮と骨に別れたのだ。


「よし!成功だ!」


当面の生存に最低限必要なものを準備できた山田であった。


















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