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おまけ

裏フェーズ3-6

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 出勤し医局でコーヒーポットからカップへコーヒーを注いでいるところへ、鷹宮が出勤してきた。俺の姿を見つけるなり、睨みつけながらこっちにやってきた。
「見たわよ」
「何を」
「朝っぱらから手繋いじゃってベタベタベタベタ。見てるこっちが恥ずかしいったら」
 いきなり何かと思えば、昨日のことを言っているのか。
 一昨日、彩を初めて泊めた。卒業するまで手を出さないと決めているから、ただ一緒に寝ただけだ。間違いを起こさないようになるべく彩に触れずに寝た。そのはずが、朝目が覚めたときにはあいつを抱き枕にしてた。無意識のうちにあいつの匂いとぬくもりに惹かれて、勝手に抱きついてしまっていた。
 起きてマンション前の公園を散歩した。確かに手を繋いで歩いていた。最初の頃は恥ずかしがって彩のほうからは繋いでこなかったのが、最近はよく自分から握ってくる。昨日もそうだった。
 見られていたのか。よりにもよってこの鷹宮に。
「なになに?」
 すでに出勤していてデスクで仕事を始めていた澄先生もやってきた。コーヒーを注ぎながら話に入ってくる。
「おはようございます。この人昨日、朝から婚約者と手繋いで歩いてたんですよ。昨日出勤だったので、くるときに車の中から見えて。運転中だったし、距離もちょっとあったから相手の顔はよくわからなかったんですけど」
「ああ、あの子ね」
「澄先生、ご存知なんですか?」
「まあ……」
 彩が俺の患者ということを、祭りで会った数日後に思い出した澄先生は言葉を濁した。出勤してきたままだった鷹宮は、時間を確認すると慌ててロッカールームへ着替えにいった。
 コーヒーを片手に澄先生が言う。
「朝からってことは、泊めたのか。なんだ、しっかり手出してるじゃないか」
 俺の下半身をちらりと見て、顔をにやつかせた。以前、澄先生に「患者に手を出したのか」と問われた際、「まだ出してない」と言ったからだ。
「してませんよ」
 仕方なく答えると、澄先生は感心して、
「我慢強いねえ」
 と楽しげに笑った。笑い事じゃないですよ。
 彩も自分から泊まりたいと言い出すあたり、安心しきってるのがわかる。こっちはスイッチが入らないようにするのが大変だ。
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