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第1部番外編

フェーズ6-3'

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フェーズ6-3で書かれなかった部分です。あの日、実は2回してました。
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 一緒にテレビを見ながら、私はちらちらとその上にある壁掛け時計に目をやっていた。もうすぐ十八時だ。
 昼食が遅かったから、夕飯も遅くていいだろうとさっき話した。涼がパスタとサラダを作ってくれるらしい。遅くていいとはいっても、私が帰る時間を考えるとご飯は二十時くらいか。パスタとサラダなら準備に三十分もかからないだろう。私もサラダ作りを手伝うつもりだ。十九時半に作り始めるとしたら、あと一時間半しかない。
「どうした? さっきから時間ばかり気にして。もう帰りたい?」
 気づかれないように目だけで時計を見ていたつもりが、バレていた。私は首を横に振った。
「やっぱりもう腹減った?」
 違う、そうじゃない。全然違う。私はさらに首を大きく振った。
「もう一回、しないのかなって」
 涼が固まった。私は目をそらした。わかってる。しないんだよね。さっき「今日はもうしない」って言ってたもんね。でも、シャワーを浴びてリビングでこうして寄り添っているうちに、また触れ合いたくなってきてしまった。もう一度あの幸せなぬくもりに包まれたい。だって次に会えるのは一週間後なんだよ。
「あー、もう」
 涼が自分の額に手を当てて悩んでいる。
「卒業するまで待つつもりだったのも、今日はもうしないつもりだったのも、お前のひと言で簡単に崩れちまう」
 ん? 崩れた? ということはもう一回する? 涼がリモコンでテレビを消した。ちょっとうれしくなっていると、手を引かれソファから立ち上がらされた。さらに抱き上げられて、そのまま寝室へつれていかれる。
「ったく、うちのお姫様は……」
 呆れたように呟いて、どさっとベッドに下ろされた。上になった涼が私を見つめる。
「まだ痛いかもよ?」
 私は頷いた。痛くてもいい。気持ちよくなれなくてもいい。ただ、触れていたい。溶けるほどに強く抱き合いたい。
「痛くても俺と繋がりたいの?」
 意地悪な質問だ。返事に困る私を見て涼はふっと笑い、キスをしてきた。
 唇を重ねながら、涼が私の服を脱がせていく。シャワーを浴びた時点では私も二回目を希望する予定はなかったため、涼が脱がせやすいからという理由で買ってくれた例の前開きワンピースではなく、ニットのプルオーバーとロングパンツのセットアップを着てしまった。シャワー前はワンピースを着ていたのに、それでは少し薄着だったからわざわざ変えてしまったのだ。
 キスが長い。長いだけでなくいろんなところにされている。すごく恥ずかしい場所にも。そんな恥ずかしいところに限って、涼の唇が肌に吸い付くような感覚があった。
 これだけでも幸せだ。この人の体温がとても愛しい。可能なら常にぎゅうっと抱きしめていてもらいたい。甘えながらずっとくっついていたい。
 ふと気がつくと、涼に見つめられていた。
「かわいすぎていじめたくなる」
 それは、困る。まだ体だって慣れていないんだから、あまりにも恥ずかしいことや激しいことは遠慮願いたい。
「や、優しくして?」
 お願いをすると、涼が一瞬戸惑ったような顔をして、それからため息をついた。
「俺、今鼻の下伸びてたろ」
「え、そう、かな?」
 ちょっとかわいい顔はしていたけど。
「もう入れていい?」
 答えるより先に涼はコンドームをつけた。
「優しくするよ」
 その言葉の通り、最初のときと同じようにゆっくりと涼が入ってきた。やっぱり少し痛む。また出血してたらどうしよう。今度は下にタオルは敷いていない。
「大丈夫か? やめる?」
 私の反応を見ながら少しずつ進めてくれていた涼が言った。
「いや……やめないで」
 目を閉じて耐える。そのまま押し進められて、奥まで繋がった。
「彩……」
 この瞬間がとても幸せだ。今までもキスやハグをするときは安心したし心地がよかった。このぬくもりはそれ以上に満たされる。
「終わるのがもったいないから、しばらくこうしてようか」
「でも、時間があんまり……」
「パスタを超アルデンテで食うはめになるかもな」
 私はくすりと笑った。帰る前にシャワーを浴びる時間もなさそうだ。家に帰ったらすぐお風呂に入るから、まあいいか。
「パスタよりお前のほうがいい」
 唇を重ねながら、涼がゆっくりと腰を動かす。なんて、いやらしい動きなんだろう。
「あ、あっ」
 涼が体を起こした。その視線が繋がってるところに向けられる。私が涼のを咥えてる部分に。恥ずかしいからそんなところ見ないで――。
「やっ……ああっ!」
 顔を背けた瞬間、鋭い快感が与えられた。内側からのものではない、外側からの刺激だ。クリスマスに指で触られて気持ちよくなったところを、今度は繋がった状態で触られている。それは、ずるい。反則だ。
「それ、ダメ……」
 痛みよりも気持ちよさが勝っている。その隙に、涼が腰を前後に動かし始めた。
「あっ……あん!」
 これ、どうなってるの? 気持ちいいのは中と外のどっち? わからない。なるべく力を抜いていたほうが痛くないと思って、そう心がけていたけれど、今は無理だ。勝手に中に力が入ってしまう。
「くっ、彩……締めすぎ」
「だって……勝手に……っ!」
 入れられて、外からも触られて、どちらがいいのかわからないまま、私は昇りつめてしまった。
「イった?」
 挿入したまま動きだけ止めて、また答えづらいことを涼が訊いてきた。
「もっと気持ちいいことは、また次回な」
「もっと……?」
 今のでも十分だ。
「ん、もっと」
 それだけ言って動くのを再開した涼は、なんとなくだけどやっぱりセーブしてくれてる気がした。私を気づかってくれてる。私が痛がっていないかと常に顔色をうかがってくれている。ちゃんと優しい。たくさん我慢させた上に、気づかわせてしまってごめんね。次は涼をすべて受け止めたい。次に会える一週間後の日曜日まで、この愛しい肌とはしばしお別れだ。
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