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第1部

フェーズ6-5

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 どうして平日の一日はこんなにも長いのか。日曜日と同じ二十四時間とは思えない。
 昨夜はドキドキしながらお泊まりのための荷作りをした。スクラブ洗顔をしてパックもして、髪はトリートメントをして、その他もろもろのケアもしっかりした。そうしてやっと迎えた土曜日、午後になって仕事終わりの涼が家に迎えにきてくれた。
 スーパーに寄り、今晩と明日の朝に必要な食材を買ってからマンションに帰った。いつものようにエントランスを通る間も、エレベーターに乗っている間も、私はそわそわして落ち着かなかった。
 今日もきっとするんだよね。そのためにお泊まりさせてもらうんだから。帰ってすぐにするわけではないだろうから、今から緊張する必要なんてないのに。ただ、いつも以上にすごく会いたかったから、やっぱりドキドキしてしまう。
 部屋に入ってコートを脱ぎ、買ってきた食材を冷蔵庫に入れ終えたところで、抱きすくめられた。
「夜まで待てる?」
 帰ってすぐにするわけではない、その予想ががらがらと音を立てて崩れていく。
「待て、ない」
 すぐそばのカウンターに寄りかかりながら、唇と舌を吸われる。私も涼も考えてることは同じだ。早く、もっともっと触れ合いたい。だって一週間は長すぎた。
 抱き上げられて寝室に連れていかれた。ベッドでも激しくキスを交わす。迎えにきてもらったし、この前言われたから、今日はそれほど重ね着をしていない。簡単に全部脱がされた。
「せっかく脱がせやすい服買ったのに、意味がないな」
 誕生日に涼に買ってもらったワンピースのことだ。前回も今日も、家から着てきた服のまま脱がされてしまうから、今のところあの服の出番がない。
 素肌になって抱き合う。これだけでも気持ちいいのだけど、涼は私の体のあちこちに唇を這わせ、ときには吸う。これ、またつけられてるな。
「こないだ、気づいた?」
「気づくよ。あんなにいっぱい……」
 初めてした日、帰ってお風呂に入り、鏡に映った自分の体を見てぎょっとした。胸や下腹部、太ももの内側などに、吸われた跡がいくつも残っていた。それらすべて、人には見られないところだからよかったものの、万が一にも見られたらと思うとひやひやした。
 涼が私の脚を開かせてその間に顔を埋めた。
「それ、恥ずかしい……」
「俺しか知らない場所、よく見せて」
 私の小さな抵抗などおかまいなしに、涼はまたそこを指で広げる。
「あ……んっ」
 入口を涼が舐める。舌の先端がわずかに侵入する。奥まで届かないのがもどかしい。触られるのも舐められるのもすごく気持ちいいけど、今はもっと深いところで繋がりたい。舌がそこを往復するたびに欲は強くなる。でも今日の刺激は弱めだ。こないだはもっと激しくされて、あっという間に頭の中が真っ白になってしまった。
 涼が体を起こして、コンドームをつけた。今まで舐められていたところが先端で塞がれる。熱をはらんだ瞳で私を見つめながら、彼は腰に力を入れた。
「あっ……!」
 押し広げられて、どんどん入ってくる。初めてのときとは違い、私のそこは容易に彼を受け入れていく。
「もう痛くないか?」
「うん……」
 裂ける痛みはもうない。代わりに体の奥からじわじわと何かが目覚めそう。その感覚は彼が深く入ってくるほどに強くなっていく。
「あっ……きもち、いっ……」
 あるとき、それは溢れた。それは涼がすべて埋まったときだった。
「気持ちいい?」
 私を見つめていた彼が満足げな表情を浮かべ、腰をゆっくりと使い始めた。
「ん……あっ……」
 もう、完全に目覚めた。声が我慢できそうにない。叫びたいくらい気持ちよくなってきてしまった。
「いいよ、我慢しなくて。かわいい声、もっと聞かせて」
「……っ、あっ、ああっ……ん!」
 涼の腰がいやらしく前後している。深く突き刺さったものが、内壁をこすりながら何度も中を往復してる。
「彩……かわいいよ」
 動きが速くなってくる。気持ちよすぎておかしくなりそう。全身で彼を感じている。こんな快感、知らない。感じたことない。私、どうなっちゃうの?
「涼、怖い……」
「大丈夫、俺がついてる」
 体を密着させてきた涼に私はしがみついた。体温が心地よくて少しだけ安心できた。それでも腰の動きは止まることを知らない。むしろ激しさを増していく。
「あ、あっ……やぁ……ダメ、ダメ……ああっ!!」
 何かがくる。指や舌でされたときよりずっと強いのが。どうすることもできなくて、ただただ怖くて、私はいっそう強く涼にしがみついた。
「……っ」
 真っ白が襲ってくる直前、一瞬だけ涼の苦しそうな声が聞こえた。
 脚が震えた。何も考えられない。燃え尽きたように全身から力が抜けていく。それでも私と涼はまだしっかりと繋がっていた。
「俺もイっていい?」
「ん……」
 そうか、私だけ先に。いっぱいいっぱいで、涼のことを考えてる余裕がなかった。
「抱きついてていいよ」
 涼がまた腰を使い始めた。
「んぁっ!」
 昇りつめたはずなのに、また気持ちいい。まだ気持ちいい。もっと上に連れていかれそう。でも今度は怖くない。たぶん、涼も一緒だからだ。
「彩……っ」
 乱れた呼吸に交じって、耳元で彼が私の名前を呼ぶ。甘美でせつないその声も、私の快感の一部になる。
「やっ……また……っ」
 激しく打ちつづけられて、私はまた真っ白になってしまった。
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