ULTIMATE〜season22(2103)INHERIT J.D.F

ULTIMATE〜INHERIT J.D.F

ULTIMATE〜INHERIT J.D.F第16話

主要登場人物一覧
来宮遼介(26)…5代目主人公 幹部候補生教育大隊29期卒隊 西部教育隊教務部学生指導課配属
笹倉大志(26)…幹部候補生教育大隊29期卒隊 西部教育隊教務部学生指導課配属
片岡優真(26)…幹部候補生教育大隊29期卒隊 警衛庁公安科国家危機管理対策部隊配属
滝藤誠弥(55)…警衛隊初代幕僚総監
盛坂辰馬(33)…西部教育隊教務部学生指導課長
…………………………………………………………………
銃声を聞きつけ笹倉が慌てるようにして森に入ってきた。
森の中は白い煙が立ち込めていた。
「来宮」
笹倉が呟くと1人の男の姿が目に入った。
「Take a prone position。hurry up(うつ伏せの姿勢をとれ。早くしろ)」
男が怒鳴るともう1人の男は手を挙げてその場にしゃがみこんだ。
しゃがみこんだ男の足からは被弾したため出血があった。
「stay away from the gun(銃から離れろ)」
そう怒鳴ると男はうつ伏せの姿勢をとった男に近づいた。
「Just like that. It's just like that(そのままだ。そのままだぞ)」
そう言いながら男はしゃがみこんでいる男に懐中電灯を照らした。
次の瞬間、被弾していた男はナイフを振り回しながら立ち上がった。
「いい加減にしてください。日野さん」
そう叫ぶと男はナイフを振り回し続ける男に銃口を向けた。
「俺の事覚えてますか？日湾戦争の時、大石さんのもとで専従特攻班にいた中です。大石さんの紹介であなたと何回かご飯に行きましたよね？」
そう言うと中は被っていたヘルメットをその場に投げつけた。
「もういい加減。いい加減にしてくださいよ。国保にいた頃のあなたはかっこよかった。でも今はただの犯罪者だ。これ以上動くなら私は迷いなく撃ちます」
そう言う、中の銃を構える手は微かながらに震えていた。
中の言葉を聞いた日野は静かにその場にナイフを落とした。
「確保」
中の後ろにいた特殊科の隊員らが一斉に日野を包囲した。

※中が所属している国際治安維持部隊
国際治安維持部隊は世界各地での治安維持活動及びテロリスト等の制圧が任務でありそのため、国際治安維持部隊員は英語で警告を行う。その他にも国際治安維持部隊では毎週金曜日、語学専門教育課程というものを受けなければならない。
語学専門教育課程では英語を含めた10ヶ国語の外国語を習う。
この教育課程は、終了試験を受け合格(10ヶ国語を取得)した隊員は教育課程を免除される。

その後、アルファー専従捜査本部が設置されている大阪府警に身柄を移された日野野証言により判明した事だが警衛教育隊の卒隊最終試験会場が上総島で行われることを知ったアルファーは日野を含めた数人のメンバを派遣したそうだ。
日野は取り調べでアルファーの存在を認めた。それと同時にリーダーは不明、幹部不明という証言もした。
日野の逮捕を受け日本政府はアルファーの早期全貌解明のため警察庁、警視庁、大阪府警、警衛庁公安科の4つの機関にアルファーの専従捜査権を与えた。

「そうか。学生は無事なのか？同行していた教官は？」
「無事だと報告は受けてます。ですが試験の一部が実施できぬままであると」
秘書官から報告を受け滝藤は日野の国保隊員時代の資料に目をやった。
「国家保安庁時代の黒歴史を払拭しなければ日本国防のレベルは低いままだ。」
そう言うと滝藤は持っていたスマホを机に置いた。
そこには、米軍が発表した世界軍事ランキングが記されていた。
日本の順位は3桁だった。
「そういえば噂で聞いたんですけど5年後を目安にWMI(世界軍事機関)が軍事力を競う世界大会を行うとかって」
秘書官が言うと滝藤はスマホをポケットにしまった。
「まだ決まりでは無いらしいが、既に数カ国が参加表明をしているみたいだな」

※WMI(世界軍事機関)
日湾戦争を機に米軍主導で立ち上がった機関。
テロ組織などの脅威となる犯罪グループに負けないため、世界的に軍拡を行おうと米軍が立ち上げた。また、米軍は近年、世界的に兵士希望者が不足している点を危惧し若者に軍隊に、兵士に興味を注がせるため軍事力を競う大会などの企画も視野に入れている