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第2部 女児向けアニメ史
ニチアサの敗北~ナージャはなぜ女王になれなかったか~
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2003年1月26日、春風どれみたちおジャ魔女の4年間の成長の物語が幕を閉じた。
その翌週の2003年2月2日、運命の向こう側を旅する新たな少女の物語が始まった。主人公の名は「ナージャ・アップルフィールド」。物語の名は「明日のナージャ」。
20世紀初頭のヨーロッパを舞台に描かれる主人公ナージャの母親探しの物語。しかし彼女の旅は1年で幕を閉じることとなった。クレヨン王国は1年5カ月、どれみは4年というロングランだったのに対して短命に終わってしまったのだ。
後年、海外では一定の成功を収めたなど作品には一定の評価はあるものの、「ニチアサの黒歴史」との評価が付きまとってしまっている本作は、女児向けアニメの絶対女王枠であるこの枠でなぜ生き延びることができなかったか。
今回はそれを分析していこう。
まず、ナージャという作品は前述した通り、放送当時から約100年前の20世紀初頭のヨーロッパ(エジプトも舞台のひとつになっている)を舞台に、主人公ナージャが旅芸人一座「ダンデライオン一座」の一員として生き別れた母親探しの旅に出るという「世界名作劇場」などの往年の子供向け大河アニメを彷彿とさせる童話的物語である。
僕としてはこの点が前番組、前々番組との落差が大きかったのが大きな敗因の一つと考えている。
クレヨン王国、そしてどれみとファンタジー路線が続いてきた中で、突然魔法が出て来なければ変身もしない物語になるのだから、当然どれみの次も魔法や変身の話だろうと期待していた子供たちにとっては「コレジャナイ」だったのは間違いない。
そしてそういったストーリー面における「古臭さ」も子供たちにソッポを向かれてしまった原因だろう。
世界名作劇場風の童話的タッチに、「キャンディ・キャンディ」や「はいからさんが通る」などを彷彿とさせる昭和の少女漫画的要素を取り入れたことは、親世代にとっては懐かしさを感じさせるものがあるものの、魔法や変身にすっかり慣れてしまった子供たちにとってはかえって古臭いだけだったのは間違いない。
当時魔法ものは妖精が魔法を使うミルモがあり、変身ヒロインものはぴちぴちピッチや実写版セーラームーンがあった。どれみなきあともこの市場では魔法と変身は強かったのだ。
そしてナージャを語るうえで避けては通れないのが「商業面における失敗」
ナージャは魔法もなければ変身もない物語だから当然変身アイテムはない。商品化するアイテムはナージャの持つバトンや傘といった小道具類、各種衣装が主であった。
やはりこの点が子供たちにとっては地味に写ってしまったのは間違いない。派手に光ったりしないバトンや、光らなきゃ音もならないただの傘なんかより、光る鳴る変身玩具を欲していたのは間違いない。
前番組、どれみの玩具売り上げは最高が2年目の76億円、最低でも最終4年目の40億円であったのに対しナージャは31億円。後輩作品であるプリキュアの2024年現在の最低記録でさえ2022年度(デパプリ)の56億円なのでいまだこの枠で破られていない前人未到(?)の記録である。それほど子供たちは大河アニメより変身・魔法アニメを欲していたということだ。
ナージャ放映年のバンダイの欲しいクリスマスプレゼントアンケートの3~5歳女児部門で上記の実写版セーラームーングッズがナージャグッズを上回ったことからそれが見て取れる。
…とはいうものの、近年では「打ち切り前提で玩具販促に媚びない作風を意識的に目指した」との制作側の証言もあり、正直スタッフにとってもナージャが負けに終わるのは想定内であったと思われる。
前述の通り海外では一定の評価があり、JASRAQによると放送終了4年後の2008年に海外から最も使用されていたBGMがナージャのBGMだったという。日本では失敗に終わったナージャだが、視野を広げれば良作との評価は強いのだ。ただ、ニチアサじゃなければ女児層の人気が少しかよかったか…?
…次回はそんなナージャと同時期に放送された作品を分析してみよう。
その翌週の2003年2月2日、運命の向こう側を旅する新たな少女の物語が始まった。主人公の名は「ナージャ・アップルフィールド」。物語の名は「明日のナージャ」。
20世紀初頭のヨーロッパを舞台に描かれる主人公ナージャの母親探しの物語。しかし彼女の旅は1年で幕を閉じることとなった。クレヨン王国は1年5カ月、どれみは4年というロングランだったのに対して短命に終わってしまったのだ。
後年、海外では一定の成功を収めたなど作品には一定の評価はあるものの、「ニチアサの黒歴史」との評価が付きまとってしまっている本作は、女児向けアニメの絶対女王枠であるこの枠でなぜ生き延びることができなかったか。
今回はそれを分析していこう。
まず、ナージャという作品は前述した通り、放送当時から約100年前の20世紀初頭のヨーロッパ(エジプトも舞台のひとつになっている)を舞台に、主人公ナージャが旅芸人一座「ダンデライオン一座」の一員として生き別れた母親探しの旅に出るという「世界名作劇場」などの往年の子供向け大河アニメを彷彿とさせる童話的物語である。
僕としてはこの点が前番組、前々番組との落差が大きかったのが大きな敗因の一つと考えている。
クレヨン王国、そしてどれみとファンタジー路線が続いてきた中で、突然魔法が出て来なければ変身もしない物語になるのだから、当然どれみの次も魔法や変身の話だろうと期待していた子供たちにとっては「コレジャナイ」だったのは間違いない。
そしてそういったストーリー面における「古臭さ」も子供たちにソッポを向かれてしまった原因だろう。
世界名作劇場風の童話的タッチに、「キャンディ・キャンディ」や「はいからさんが通る」などを彷彿とさせる昭和の少女漫画的要素を取り入れたことは、親世代にとっては懐かしさを感じさせるものがあるものの、魔法や変身にすっかり慣れてしまった子供たちにとってはかえって古臭いだけだったのは間違いない。
当時魔法ものは妖精が魔法を使うミルモがあり、変身ヒロインものはぴちぴちピッチや実写版セーラームーンがあった。どれみなきあともこの市場では魔法と変身は強かったのだ。
そしてナージャを語るうえで避けては通れないのが「商業面における失敗」
ナージャは魔法もなければ変身もない物語だから当然変身アイテムはない。商品化するアイテムはナージャの持つバトンや傘といった小道具類、各種衣装が主であった。
やはりこの点が子供たちにとっては地味に写ってしまったのは間違いない。派手に光ったりしないバトンや、光らなきゃ音もならないただの傘なんかより、光る鳴る変身玩具を欲していたのは間違いない。
前番組、どれみの玩具売り上げは最高が2年目の76億円、最低でも最終4年目の40億円であったのに対しナージャは31億円。後輩作品であるプリキュアの2024年現在の最低記録でさえ2022年度(デパプリ)の56億円なのでいまだこの枠で破られていない前人未到(?)の記録である。それほど子供たちは大河アニメより変身・魔法アニメを欲していたということだ。
ナージャ放映年のバンダイの欲しいクリスマスプレゼントアンケートの3~5歳女児部門で上記の実写版セーラームーングッズがナージャグッズを上回ったことからそれが見て取れる。
…とはいうものの、近年では「打ち切り前提で玩具販促に媚びない作風を意識的に目指した」との制作側の証言もあり、正直スタッフにとってもナージャが負けに終わるのは想定内であったと思われる。
前述の通り海外では一定の評価があり、JASRAQによると放送終了4年後の2008年に海外から最も使用されていたBGMがナージャのBGMだったという。日本では失敗に終わったナージャだが、視野を広げれば良作との評価は強いのだ。ただ、ニチアサじゃなければ女児層の人気が少しかよかったか…?
…次回はそんなナージャと同時期に放送された作品を分析してみよう。
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