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おこぼれ話354 とび箱の怪

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小学校にあったとび箱の中にちょっと不気味なとび箱が存在した。
それは「1段目のくぼみが顔に見えるとび箱」である。
その不気味さゆえに一部のクラスメイトがこのとび箱を「呪いで人間が姿を変えられた呪いのとび箱」と名付けた。


この呪いのとび箱はクラスメイト達が他のクラスメイト達を鼓舞する材料として「このとび箱を飛びきることができなかったら不幸が訪れる」といったベタベタな都市伝説的フレーズとともに使われた。
「リョーマ!このとび箱で失敗したら呪われるぞ!」的な。
「あ~あ、子供だましもいいとこですわ」なんて思いながらも、僕がそのとび箱を飛べなかったその時…

「あーあ、リョーマ飛べなかった~大変なことになるぞ~」
…な~んて言われようものならやっぱり怖くなる。やっぱり人間って見えないものほど怖くなるものなのだ。そしてそれの発動条件がそろった時が一層怖くなる。やはりそういうものだ。目に見えるものしか信じない人間ももちろん多数いるが、やっぱり目に見えないものほど逆に信じてしまうものなのだ。
で、僕にその時呪いがあったかと言いますと…ありませんでしたのでご安心ください。
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