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おこぼれ話332 先生!その消しゴムオレの

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小学校入学から使っていた消しゴム。入学から3カ月近くたった6月末に突然行方異不明になった。
といってもその頃にはすでに2代目の消しゴムを買っており、すでにそちらをメインで使っていたので初代のは予備扱いであった。それでも突然無くなったものは気になって仕方がない
教室でなくしたのは確かなのだが、教室中探しても全く見つからなかったためまさに幻の消しゴムとなってしまった。あまりに見つからないので異空間にでも吸い込まれたかと思ったほどだ。

しかし行方不明になってから約2週間後、先生が教卓の引き出しを開けた瞬間にヤツを見つけた。初代消しゴムだ。
スリーブは外されていたが、欠け具合といい、黄ばみ具合と言い、最後に確認したときと全く同じであった。
もちろんすぐさま先生に声をあげた。
「先生!そこに入ってる消しゴムオレのです!欠け具合と汚れ具合でピンときました!ずっと探してたんです!返してください!
しかし先生は…
「何言ってるんですか?これは先生の消しゴムです!先生がずっと使ってきた消しゴムです!」
…解せなかった。欠け具合も汚れ具合も明らかに初代消しゴムだったのに…持ち主のもとに返してあげれないなんて…

だがこの消しゴムについて今ならふたつの説が考えられる。
1.単なる自分の見間違いで本当に先生のものだった説
2.本当は探していた消しゴムであったが、先生が呼び掛けても僕が取りに来なかったので先生のものになった説
…しかし後者だとしたら僕はこの頃毎日休まず学校に来ていたが、先生が消しゴムの落とし物を呼びかけたことなんて一度もなかった(たまたまそのタイミングで席を外していたか、僕がまともに話を聞いてなかったから聞き逃したなんて可能性もあるが)。

結局どっちが真実だったのか…今となっては先生のみぞ知る…というか先生も覚えてないかもしれない。
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