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おこぼれ話269 夢のマシンが掲示板にの巻

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小学生時代、図工の賞とはほとんど縁のなかった僕だが、一度表彰でこそないものの、校内の掲示板に学年を代表して絵が飾られたことがある。
それは小4の図工の授業で描いた自分が考えた「夢の乗り物」の絵であった。

では僕が考えた夢の乗り物とはどのような乗り物かというとその名も「ベッカムタウン号」。ペンギンの問題の主人公、木下ベッカムが変形したという設定のトラックサイズの車で、「タウン」の名の通り中は大きな街となっている。トラックサイズの車の内部にどうやって街を作るのかなんてツッコミは完全無視。だってこれは夢の乗り物だから、ありもしない、現代の科学では実現できやしない、でもあったらたのしいような乗り物を描くのがこのお題の趣旨だから。というか車の内部は4次元空間的になっていて、車のサイズよりうんと広いという設定でもあったのだが。

その内部の街だが、中は公園や商業施設のエスタ(かつてあった札幌駅直結の商業施設。2023年閉店)、第二テレビ塔(さっぽろテレビ塔を第一としてこちらが第二)といった札幌の建造物の支店的なものに加え、コロコロランドというコロコロコミックの室内テーマパークまで設置。しかもコロコロランドは地上3階、地下1階建ての大規模施設だ。そういえばベッカムタウンなのにペン問要素はこのコロコロランドだけ…
しかしここまでいろんな施設を描いてきたが、当時の自分が気付かなかった欠点があった。
それは「街なのに住居がないのだ。一軒家がないならまだしも(実際一軒家がない街はある。お台場とか)、アパートやマンション、団地すらない。そもそもここは車の中なんだから仮にこの街に住んだところで車内生活ってことになるが。
でももしあったらぜひ行ってみたい楽しい街であることを演出すべく、僕は街を楽しそうに歩いている兄弟の絵も描いた。個人的にいいアクセントだと考えていた。

そんなツッコミどころもありありな夢の乗り物。自分としてはそれなりの自信作だったがここまで図工で認められたことなんてないし、まさか掲示板に飾られるなんて予想もしてなかった。
しかしそれから2~3週間後、職員室前を通るとそこにあった掲示板に貼られていた夢の乗り物の絵3枚ほどの中にあの僕の描いたベッカムタウン号があるではないか!
まさか自分の絵が職員室前に飾られるなんて…予想外だったが自分の思うままの楽しい街を描いた絵がこのように評価されたことが嬉しかった。
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