リョーマ伝～小学生編～

おこぼれ話210 さるかに比較審議会。

1年生のある秋の道徳の時間、この時は先生が学校にあった3冊の異なる出版社のさるかに合戦の絵本を持ってきて、それぞれのストーリーの違いを解説した。

1つ目に紹介したのは「子ガニにやられてサルが死亡するエンド」。オリジナルのさるかに合戦では親ガニも死亡してるがこの絵本では同だったかは覚えていない。だがオリジナルに忠実な絵本と言えよう。絵柄も水彩画調の素朴な感じであった。
2つ目に紹介したのも「サルが死亡するエンド」。こちらは最後のカットが「カニのハサミ攻撃の餌食になるサル」というトラウマになりそうなカットであった。これも素朴な水彩画調の絵柄だった。
3つ目に紹介したのは「仲直りエンド」。近年の絵本で主流の「親ガニは死亡せずケガだけで済み、最後はサルとカニが仲直りする」タイプのエンド。こちらの絵本は僕も何回か学校で読んだことがあった。現代の昔話絵本では主流なアニメ絵の絵本で、キャラデザもデフォルメが利いた現代の子供たちに親しみやすいデザイン。最後はサルとカニ、それに臼、ハチ、栗も一緒にカキを食べるカットで終わっている。自分的にはこの3つ目の絵本が一番好きだった。
ちなみに3冊の絵本を紹介し終えた後、先生からあっさりと学芸会でさるかに合戦をやることが伝えられた。
「というワケで学芸会ではさるかに合戦の劇をやりまーす」という本当にあっさりな伏線回収であった。

ところで近年の昔話絵本は内容のマイルド化が度々取り上げられている。
さるかに合戦に限らずたとえば桃太郎も「鬼と仲直り」するエンドの絵本もあるという。
自分はさるかに合戦の仲直りエンドは大歓迎なのだが、桃太郎の仲直りエンドはなぜだか納得いかない。
他の方からしてみれば「なんで？」と思われる方も多数いらっしゃると思うが、僕も理由がよくわからない。
桃太郎はヒーローだから純粋な勧善懲悪であるべきとの考えがあるのか？鬼と人間は仲良くなれないという偏見か？動物好きだから動物たちの世界であるさるかに合戦は仲良くあるべきという考えがあるのか？