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おこぼれ話207 卒業作品展で知った命。

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僕の通っていた小学校では毎年6年生の卒業が近づくと空き教室にて「卒業作品展」が行われていた。
卒業を控えた6年生が6年間の自由研究や図工の授業で作った作品を持ち寄って展示するという、6年生の6年間の軌跡をたどるイベントだ。休み時間に自由に鑑賞できる。

今回お話しするのは僕が小5の時にその作品展を見たときのことだ。
この時は6年生の今までの作品に加え、6年生ひとりひとりがこのために制作したアルバム(表紙が木製になっていて、彫刻刀で削って模様を描いていた)も教室の壁沿いに展示。
そのアルバムには各生徒の生まれた頃の写真1枚とともに、生徒の手書きによる生い立ちの年表が書かれていた。
そこで僕はある女子生徒のアルバムを手に取ることとなるのだが、そこに収められていた彼女の生い立ちに驚くこととなる。

そのアルバムの年表の1番最初の欄、出生日の表記の次に「出生直後に死にかける」と書かれていたのだ。
理由は忘れたが、呼吸器関連だったと思う。
一緒に作品展を見ていたクラスメイト数人もそのことには驚いていた。だがそのクラスメイトのうちの一人は彼女と面識があり、このことを知っていたようだ。
僕はこの文章を見たとき、「産まれた直後に大きな試練に立たされながらそれを乗り越え、彼女は今こうやって生かされている。自分も今ここに生かされていることに感謝し、これからも立ちはだかるであろう試練に強い心で乗り越えねば」と感じた。

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