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おこぼれ話192 変な商売を始めたよ

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小4のある日、ソラくんが朝の会でこんな告知を行った。
「本日中休みよりオレのネイル屋をオープンします!無料です!ぜひオレの席にお越しください」
…ソラくんが自席にてペンで爪に絵=ネイルアートを描いてくれるネイル屋を始めたというのだ。
ただ自分は別に興味ないし結局後で爪を洗い流さなければいけなくなるから行かなかったけど。スマネエ…
しかしここから我がクラスにて謎の商売ブームが巻き起こることになる。

ソラくんのネイル屋オープンから1週間ほどたった後、クラスの掲示板にこんなポスターが…
「ケイちゃんのネイル屋オープン!ぜひ来てね!!」
…ケイちゃんもネイル屋を始めた。完全無料のソラくんの店に対し、こちらは無料のほかに10円や30円、はては1億円のものも存在したが、掲示板に置かれた無料クーポンを使えば10円と30円のものは無料になる。実質こちらも完全無料だ。
メニューは爪全体赤や青に塗るものやサッカーボール、モンスターボールなどバラエティに富んでいる。
ちなみにクーポンが利かない1億のメニューはと言うと…複雑な見た目のモンハンのモンスターばっかwwwだから1億円なんだwww(すなわち1億なんて誰も払えないからジョークとして作ったメニューであろう)
大胆なサービスを行ったケイちゃんの店の競争に敗れたのか、それとも飽きたからなのか、ソラくんの店は時を同じくして自然消滅。商売の世界は厳しいね…

その後もいろんなクラスメイト達が様々な店を開き、教室はちょっとした商店街に。
セイタくんが開いたのは休み時間に遊び相手になってくれるというものでこちらも無料。無料とはいえ遊びという形のないものを商売として成立させるというサービス業の原理を小4にして取り入れるとは商魂たくましい。
遊びのラインナップはジャンケンや指スマ(指スマ1!とかいって親指たてるアレ)などの手遊び系が主だ。
エノウエさんら女子数人が開いたのはこれまた無料の手芸店。フェルトで作ったワッペンなどを配布していた。
宣伝としてシュウジくんにフェルトで作ったバットのワッペン(彼は野球やってるから)をプレゼントしたのだが、彼は「へんなポッキーみたいな物体渡しやがって」となぜだかキレてもめていた。部分的にしかその現場を見ていないので一部始終はしっかりわからなかったが壮絶な現場であった。

遊びとはいえ子供のころからこうして商売を始めるというのは社会の仕組みや商売の原則を学べるよいことだと今なら思う。
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