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おこぼれ話153 以下同文の巻

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M田先生は、授業で表彰状とかを渡すとき、2人目以降に「以下同文」とさらっと読み上げるのがお約束であった。
いたって普通のことであるはずだが、さらっと言う感じの読み上げ方が面白かったのか、僕の通っていた小学校では卒業式で証書を渡すときに2人目以降は以下同文と言わないために新鮮に感じられたのか、この「以下同文」が読み上げられるたびに教室中で爆笑が起こっていた。

81の壁を越えろの回で触れた九九免許証を生徒に交付する際もこの以下同文が放たれた。
交付は数日にわたって行われたが、その日の最初に渡す人へは当然全文をきちんと読み上げたのだが、この時点でセイタくんは1発目から「以下同文」を期待していた様子であった。自分的には「以下同文は省略するためのものだから1発目からくるわけねえだろ」と心の中でつぶやいていたが。
そしてその日の2人目より「あなたは!」とコールした直後に皆さんお待ちかねの「以下同文」発動。発動するたびにクラス中が爆笑の渦となった。
その日の発動以来、その日は最後まで読み上げが始まる度に「以下同文」を期待する生徒からの「以下同文コール」が常に巻き起こっていた。
しかし先生はこの「以下同文コール」をウザったらしいと思っていたのか、ワンパターンに飽きて単にパターン崩しを狙ったのか、3日目あたりでまさかの行動に出ることになる。

その3日目の読み上げは、2人目からしばらくは「以下同文」を今まで通り使っていた。
しかしその日の後半、今まで通り「あなたは!」と読み上げるがその後数秒だまり、多くの生徒が「あれ?」と思ったところで「九九をいつどこでも…」と全文を読み上げ始めた。その日の残りはすべてこの読み上げ方が使われた。
だがこの時もクラスのみんなが読み上げの度、数秒の黙りの度に「以下同文コール」をあげていた。
先生としても驚きだったであろう。笑いを取るつもりではなかった(本当のことは本人にしかわからないが)以下同文でここまでウケるなんて…
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