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おこぼれ話145 椅子脚巻き付き注意報

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小5の時の卒業式の練習の際始まる前の席で待機している時間に僕は椅子の脚に自分の脚を巻き付ける座り方をしていた。お行儀の悪い座り方であるのは百も承知。ずっと正しい姿勢もきついので待機時間ぐらいはいいだろう。という感じで、練習が始まったらすぐ正しい姿勢に戻すつもりであった。

だがこの姿勢にしてから数秒後には隣に座ってた男子から「ちゃんと座れ」との指摘があり、いったん仕方なく通常の姿勢に戻した。
だが自分としては「待機時間ぐらいいいじゃないか、練習始まったらちゃんとした姿勢にするんだから」といった感じでこの申し出は自分としては納得いかず、彼の視線が僕のほうから離れたらまた脚を巻き付けた。
もちろん彼がすぐ気づき、再び僕を注意。しかし僕はここであることに気づく。
少し離れたところに座っていた女子が僕と同じく椅子の脚に足を巻き付けているではないか。だが誰一人として注意していない。その男子が彼女を注意してないのは単に視界に入ってないからであろうが、だとしても彼女の周りに座っている人たちも誰一人注意していない。それが自分にとって不服であった。「自分が裁かれているのに彼女は裁かれていないのは納得いかない。自分が裁かれるべくして裁かれているのであれば彼女だって裁かれるべきだ」と、自分だけが不当に怒られているのが納得いかなかったのだ。彼女がやっていることが他の人たちにも認知され、注意されれば僕は練習中でも正しい姿勢に戻すつもりだった。

そこで僕は脚を戻す際に彼女のほうを指さし、自分を注意してきた彼に気づいてもらおうとしたが、この時は全くの無反応であった。
こうなったら彼女を注意してくれるまでやり続けよう(練習前の時間内は)と僕はすぐさま脚を巻き付け、彼の注意を誘った。
飛んでくるように彼が注意してきたら、再び僕は脚を巻き付けている女子のほうを指さす。しかしこの時も反応せず。
3回目の指さしで気づき始めたが「なんだようっせーな」みたいな感じで自分の目的には気づいてくれなかった。
そして4度目の正直。僕の足巻き付けを注意した後、すぐさま僕は今まで通り女子の方向を指さす。
彼はまた再び「なんだようっせーな」と言いながらも今度は僕の指さす方向にいる女子に気づいた。
「ようやく気付いてくれた…オレの苦労が報われた…」と思ったが、彼女に気づいた彼の僕への第一声は「じゃあアイツがやってるからお前もやっていいって言うのか!?」であり、僕が不当に怒られたことを怒って指摘したということに対する同情は一切なかった。というかその心理には気づいてなく「怒られたことに対するただの言いがかりと八つ当たり」として処理されたのかもしれない。
この後彼女は注意され、僕も目的は一応達成したことになるためちゃんとした姿勢に戻したが「いくら理不尽にぶち当たったからってやっていいことと悪いことがある」そのことに少し気づき始めた瞬間でもあった。
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