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おこぼれ話120 幽霊の正体見たり!?

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いとこと一緒にどこかに泊まりに来た時は、夜に父が決まって怪談話するのがお約束であった。
今回は小3の夏休み、いとこと定山渓に泊まりに行った夜に父から語られた怪談話について恐る恐る語っていこう。

「2008年夏…定山渓編…」…暗くした部屋に響き渡る父の恐ろしげなタイトルコールから物語が始まる…
怪談話の舞台となるのはちょうど僕らがとまっていたホテルの部屋から見えるとある橋…
「あの橋は建設中に多くの人が埋められたと言われています…」…すぐそこに見える橋が恐怖の舞台になろうとは…すぐそこにある恐怖とはこのことか…僕もいとこ2人も震えながら、しかし続きが気になりながら話を聞いていた…
「そしてあの橋は深夜の1時になると白い服を着た長い髪の女の人が…」
ヒィ~ッ!すぐそこに見える橋に幽霊が!?夜中にこっちにとびかかってきたらどうしようなんて思ったものだ…
父曰く「そのためあの橋は深夜の通行量が少ない」らしい…どうやら父が即興で作った話ではなく地元で割と知られている話のようだ…ますます夜寝るのが怖くなってしまうではないか。どうしてくれるんだ親父ィ!
…なんていうこともなく、結局夜は普通に寝れましたとさ。

そして翌朝、朝早くに目が覚めて、特にやることもないから窓の景色を見ていた。
すると昨日の話の舞台となった例の橋に何やら白い服に身を包んだ長髪の女性が男性二人組と話してるではないか!
僕は思った。「幽霊の正体はあの女に違いない…あの女が幽霊役を演じて夜な夜な人々を驚かせてるんだ。男二人は彼女のマネージャーで、今夜の打ち合わせをしてるに違いない」と。
ただ白い服で長髪だからって勝手に決めつけるのもよくないが、幽霊の正体はただの人間かも?と思うと恐怖が少し和らいだものだ。
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