リョーマ伝～小学生編～

おこぼれ話117 そういう本を読めって言われても…

今回は小学校生活の中で「本」に関して先生から指示を受けて首を傾げた記憶を語っていこう。

まずは小1の頃だ。朝の会の前に設けられている朝読書の時間。1年生の廊下に設けられていた1年生用の本棚やら教室に備えられた学級文庫の本、図書室から借りてきた本、家から持ってきた本…皆それぞれ好きな本を読んでいた。読書ではなく自習をする子もいたがこれも認められている。
物語の本を読む子もいれば、「ウォーリーをさがせ」とか「ポケモンをさがせ」的なお遊び本や、図鑑などを読む子もいた。しかし先生にはそれがあまりいただけなかったようだ。
そんな中である日の朝の会、先生は突然強めの口調でこんなことを言い出した。
「みんな”ポケモンをさがせ”とか恐竜図鑑とかそういう本ばっかじゃなくてさ、これから朝読書の時間は物語の本を読め！」

…自分的には納得いかなかった。言いたいことはだいたいわかる。”お前らまだ若いんだから若いうちに物語や活字に触れておけ、今のうちに物語を読む力をつけないと大変なことになる。”的なことを言いたかったんだろう。オレらがお遊び本や図鑑ばっか読んでるからこのままじゃ読解力が低下してしまう。国語の成績がおぼつかない。じゃあ規制してやろうとでも思ったのだろう。だからって先生の権限を利用して生徒の読む本を制限しようなんぞ納得いかなかった。お遊び本や図鑑だって立派な本だ。それではまるで”物語の本であらずんば本にあらず”と言っているように思えるともかんじた。マンガ持ってきてるわけじゃないんだからいいじゃないかと。
でも今思えば朝読書ってのは集中力や読解力を鍛えるためのものでもあるから先生の考えもあながち間違いではないとも思う。
その翌日からみんなは朝読書の時間に廊下の本棚に置かれていた絵本やら小説やらといった物語の本を読むようになり、朝読書の時間からはお遊び本や図鑑を読む生徒の姿が消えた（休み時間までは規制してないからそういう時間に読むことはできた）
先生による規制は納得いかないながらも従っていた。だが学校には僕でも読みやすい物語の本はいっぱいあるので苦にはならなかったが。

次は4年生の夏休み前の図書室長期貸し出しの時だ。
図書室に行く直前、先生からはこんなことを言われた。
「皆さんもう4年生になったんだから最低1冊でも厚い本を借りなさい！」
これを聞いた僕は真っ先に疑問が浮かんだ。「クラス約30人全員分の厚い本なんてあるか？」
長期貸し出しはひとり3冊まで借りられる。学年ごとに図書室に行く時間が決まっているからもしかしたら他の学年の子がすでに厚い本を多数借りているなんてこともあるんじゃないか？とも疑問におもっていた。
そして僕は「厚い本」というのは「辞書並みに厚い本」を想像していた。そんな本は図書室には「ドラゴンライダーシリーズ」ぐらいしかないだろう。あれも4冊ぐらいしかなかったからそれじゃあ全員は厚い本借りれないじゃん！とおもった。
あまりにも理不尽に思った僕は先生に「ここにいる全員が借りられる分の厚い本はあるんですか？」ときいたら「あります！」と一言であっさり返答された。
僕は辞書並みに厚い本を想像していたが、思い返してみれば辞書並みじゃなくてもハリーポッターとか厚い本はいくらでもあった。それに僕は決まった本棚しかほぼ見ないから図書室全体はしっかり見てない。全体を目を皿にして探せば厚い本なんていくらでもあったのだろう。
で、僕は好きな本だけ借りて結局厚い本は借りなかったが先生からは一切文句を言われませんでしたとさ。