リョーマ伝～小学生編～

おこぼれ話110 自販機で押したものと違うものが出てきたとき、あなたならどうしますか？

小5のある日、家族で大きな公園に出かけた帰りの話。
のどが渇いたので駐車場にあった自販機で飲み物を買って帰ることにしたのだが、ここで事件が起こる。
僕はこの時コカ・コーラの自販機で買うことにして、アンバサを買おうとしたのだが、いざアンバサのボタンを押して、取り出し口をのぞけばあらビックリ！出てきた缶は白と青に「アンバサ」の文字ではなく紫色をバックにぶどうの絵と「FANTA」の文字が書かれているではないか！…つまり出てきたのはファンタグレープである。

おそらくは係の人が補充するときに間違えてしまったのだろう。ファンタグレープは嫌いじゃない…ていうかむしろ好きだからまだいいんだけどさ（当時のめなかったコーヒーとかが出てきたら間違いなくキレてた）。
だが自分としてはアンバサが飲みたかったのだ。アンバサの気分だったからアンバサのボタンを押したのだ。
公園のスタッフに事情を説明して交換してもらおうか（自販機は外部の業者が補充とか担当しているから公園側に頼んだところで対応は致しかねますだったかもしれないが）と思ったものの、この日は祖父の誕生日でありこの後ケーキを買って夕方から祖父の家へ向かう予定だったのだ。
アンバサはまたいつでも飲める。でも祖父の誕生日は1年で1回だけ。スタッフのいる管理事務所は駐車場から離れているのでタイムロスになってしまう。ケーキを楽しみに待ってくれている祖父を待たせるわけにはいかない。
僕はアンバサをあきらめて車に向かうことにした。
今までの人生、僕は我慢というものが死の次に嫌いな存在。死以外では一番嫌いな存在だった。だがこの時の我慢は人生で行ってきた我慢の中では特につらさを感じなかった。祖父を思って。というところもあるからだ。
自分の決断には母も「リョーマもしっかり我慢できるようになった」と感動していた。
以降も我慢が苦手な存在であることに変わりはなかったが、この日を境に少なくともこれ以前よりは我慢に対する抵抗が少しか少なくなったかと思う。