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おこぼれ話99~リョーマのクソせまい史~朝の読み聞かせ史~

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小学校の頃、朝の時間にボランティアの方が教室に来て、読み聞かせを行ってくれる「朝の読み聞かせ」が1年生から6年生まで月2回ほど行われていた。
今回はその中で印象的だった読み聞かせを取り上げてみよう。

最初にご紹介するのは2年生と4年生の時に読み聞かせてくれた「夕日がくれたチュウ」という絵本。
正直、2回目の時は「また!?」と思ったが。
この物語は主人公の頬についているピンク色のあざが母から「産まれた時に夕日からもらったチュウ」であると教えてもらうというもの。
主人公がそのアザを友達からバカにされ、コンプレックスになるというシーンがあるのだが、その時バカにしてきた友達が、あるクラスメイトにそっくりだったもんだから僕は「コイツ○○にそっくりじゃねーか!」と思わず声をあげたものだ。周りは少し反応しながらも白けていた。こういうネタは相手を選んで使いましょう。

2番目に紹介するのは3年生の時に読み聞かせてくれた「いいからいいから」というシリーズ物の絵本
「いいからいいから」が口癖のおじいちゃんとその孫がおりなすコメディタッチの楽しい作品だ。
記憶では4巻まで読み聞かせてくれたが、肝心の1巻は飛ばされ、2巻からだったが1話完結ものなので途中から入っても話の筋がわからないなんてことはなく、すぐに作品の独特な世界観のとりこになっていった。今回の読み聞かせはこのシリーズと聞くだけでテンションが上がったものだ。
特に「おじいちゃんが道で困っていた貧乏神を助け、我が家に連れてきた結果、我が家から米が消えたり、物がなくなったりとみるみる物不足になっていく」という内容の2巻は生々しい表現でこそなく、あくまでもギャグだったが、主人公の家が貧乏になっていく過程に少しトラウマを覚えたものだ。
それと3巻の読み聞かせの際、ボランティアの方は複数の生徒からの「”3”の部分はアホになって」という要望から、「3」の部分はアホになってタイトルコールしていたのがなかなかのかみたいようだと子供心に思った。もちろん「”3”でアホになる」は当時人気の世界のナベアツのパロディだ。

3番目に紹介するのは4年生の時に行われたエプロンシアター。
これは読み聞かせと言うよりは人形劇。ボランティアの方が自分のエプロン(物語の舞台となる背景をあしらっている)の上でフェルト製の人形(マジックテープでくっつくようになっている)を動かして行ういわば「エプロンの上の人形劇」だ。ちなみにこの時のお話は「ジャックと豆の木」であった。
最初は「読み聞かせじゃないじゃん!」と思いながらも、新たな表現手法で名作物語を描くということに斬新さを感じたものだ。
この時のボランティアの方は「機会があったらまたやります」と話して教室を去っていったが、僕がエプロンシアターを観たのはこれが最初で最後であった。

最後に紹介するのは4年生の頃から何度か行われてきた芥川龍之介の作品の朗読。
読み聞かせを行うボランティアはほとんどが女性だが、この朗読はおじいさんがやっていた。
彼は朗読を始める際にレコーダーを起動し、自分の朗読を録音しているのが印象的だった。
文字の本(マンガ以外の本)をほとんど読まない僕にとっては「蜘蛛の糸」などの数々の名作に触れる貴重な機会となり、男性の声による朗読も女性の声とはまた違った味わいがあった。
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