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おこぼれ話96 なんで靴にエアコンついてね~んだよの巻

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小学2~4年ごろ、よく学校の上履き(学校指定のものではなく、市販の運動靴を使う)をいわゆる「スリッパ履き」にしてた。この年代の男子なら多くが通る道であろう。
もちろんこれはマナー違反なので先生から何度指摘されたことか。それでも僕がスリッパ履きを続けていた理由は「靴を履いてると暑い(むれる)から」である。他の子たちも多くがそうであったであろう。

僕は1年生のころまでは靴の中が暑いとかはほとんど気にならなかった。だが小2の頃から突然気になるようになり、家族で出かけた時には車の中で必ず靴を脱いでいたほどだ(公共交通機関の中ではさすがに脱いでないのでご安心を)。スリッパ履きを始めたのもこのころからである。
このころから僕はこのようなことを考え始めるようになる
「なんで靴にエアコンついてね~んだよ」と。
靴にエアコンついてたらゴツゴツして歩きづらいし足も重くなるだろ!とお思いだろうが、僕が想像したのは機械のエアコンではない。周りの温度を読み取って、靴の中を最適に保ってくれるシール、その名も「エアコンシール」を想像し、それが靴に導入される未来を想像してたのだ。全人類が靴のムレとおさらばできる美しい未来だ。そんなものが完成するまでには2023年の今から数えても少なくとも1~2世紀はかかるだろうが。
そんな理想の未来を夢見ながら、今はスリッパ履きで我慢しようとスリッパ履きを続けていたのだ。

僕は毎日のようにスリッパ履きにしてたので小4の一時時期使ってた上履きは靴の後ろ部分に折れ曲がるクセがつくまでになっていた。あまりにも痛々しい姿になっていたので夏休みか冬休みに買い替えたし、母からも癖がついていたことをさんざん言われた。

ところで学校の中では合法的に靴を脱げる場所があった。
視聴覚室と音楽室と図書室だ。
これらの教室にはマットが敷かれており、入り口で靴を脱いでドア近くの下駄箱にしまい、靴下の状態で教室に上がるのだ。
ムレから解放される時間だったのでこれらの教室を利用する機会があった時はうれしかった時期があった。
しかし2年生の秋ごろに視聴覚室の改修が行われ、マットが外されて靴を脱がずに入る形式になった。
その1年~1年半後には音楽室も同様の改修が行われ、とうとう合法的に靴を脱げるのは図書室のみとなってしまった。
といってもクラスメイトには「これらの教室では皆が靴を脱ぐせいで教室内が臭くなるから不満だった。改修してくれて嬉しい」との意見もあった。
だが僕としては靴を脱げる機会を学校側の身勝手な都合で奪われたとしか思えなかった(上記のように生徒からの要望というものもあっただろうが)。
そこで僕はこれに抗議するための暴挙に出る。
それは「普通の教室で靴を脱ぐ」というものだ。
普通の教室で靴を脱ぎ、床の上を普通に靴下の状態で歩くという暴挙だ。常にではないし、屋外ではちゃんと靴を履いて歩くが。
だが当然これも先生から止められる。その時言われたのは「そんな状態で教室を歩けばトイレと同じです!」というもの。要するに汚いと言いたかったのだろう。
自分的には「トイレと同じって靴下にウンコしろってのか!?」と納得いかなかった(あくまでもこれは心の叫びで先生の発言の意図は理解していた。ただそれを受け入れられなかっただけ)が、数日後に「やっぱ汚いからやめよう」と普通のスリッパ履き生活に戻った(スリッパ履き事態ふつうじゃないが)。

やがて4年生の終わりごろになると心の成長もあり、スリッパ履きを卒業した。
ところで図書室も5年生のある時期に視聴覚室や音楽室と同じ運命をたどることとなるのだがそれはまた別の話…
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