リョーマ伝～小学生編～

おこぼれ話89 サウナスクールの巻

小2の1学期終わりから2学期初めにかけて、学校の壁の塗り替えが行われた。
しかし生徒たちにはそれによる弊害も生まれた。
それは「塗り替え工事期間中は窓を含めて壁全体が覆われるため風が入ってこなくなり教室が暑くなる」というものだ。秋にやるんだったらまだいいが、行われた時期は上記の通りよりによって夏。当然校内は灼熱地獄と化すワケだ。

塗り替えが始まった7月半ば、本格的な夏到来。まさに連日暑くなり始めたころに塗り替えが始まった。
それは生徒たちにとって地獄の始まりを意味した。
窓をのぞけばビニールに覆われ本来見えるはずの外の美しい風景は白く隠されている。それだけならまだいい。
だがそのビニールによってそこからは隙間風すらほとんど入らない。まさにこの学校は今「サウナスクール」状態だ。
ただでさえ暑い夏に連日連日ビニールに覆われて温室状態の中での授業。それは言うまでもなく地獄絵図であった。
「なにもこんな暑い時期に塗り替えやらなくても…」こう思った生徒は少なからずいただろう。だが以外にも僕はそうは思わなかった。というか暑さでそこまで頭が回らなかったというのが理由だが。
だが暑いのは先生だって同じだろう。先生もこんな暑い中で頑張って授業をしてくれたことに感謝だ。

塗り替え期間中、学校の正門近くの敷地内に作業員の休憩用のプレハブがたっており、下校時間になるとその周辺でよく塗り替え工事の人たちが休憩していた。帰りの時間に見かけると僕もあいさつしたものだ。
工事の人たちも暑い中頑張ってくれて感謝だ。
２学期が始まったころには塗り替えはラストスパート。教室の暑さも、外の暑さももう少しの辛抱だ。
そして9月上旬。ついに塗り替え作業が完了。ビニールも剥がされキレイになった校舎の壁がお目見えとなった。
何十年もたって古びた壁から一気に若返った校舎のカラーは美しいものだった。まさにそびえたつ芸術。これを見れただけでもあの暑さに耐えたのは無駄じゃなかったと思えた。