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おこぼれ話77 ぽつーん… ~全校集会後の待ち時間の巻~

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僕の通っていた小学校では毎月1日の1時間目に全校集会が行われていた(1日が休みの場合はその月最初の登校日 8月と1月は始業式がその代わりを果たしているため全校集会はなし)。
今回はこの集会にまつわる話をしよう。

1年生の頃、全校集会で僕がドキドキする瞬間があった。それは「終了後の退場」である。
退場は学年ごとに行われるのだが、1年生の時の集会ではその際に学年ごとに違う曲を流し「〇年生の皆さん教室に戻ってください」とのアナウンスがでてから会場となる体育館から教室へと戻っていくのだ。
僕たち1年生の退場の際の曲は「おもちゃのチャチャチャ」であった。音楽の授業で歌っていたため、採用されたのだろう。耳なじみのある曲であったが、他の学年がJ-POPなどを使ってるのに対しこちらは童謡という状況下は「いくら下の学年だからってオレらをガキあつかいすんじゃね~!」とも思ったものだ。他の学年の後にこの曲が流れると拍子抜けしてしまう。

そしてどの学年が何番目に退場するかは毎回ランダムだ。
退場の時間になるたびに「早く1年生こい!」と心の中で必死に祈ったものだ。
だが基本1年生はだいたい中盤ぐらいが定位置であった。それでも僕はいつか1年生が1番最初に体育館を去る日が来ると信じていた。
その日を信じながら毎月退場の時間になると必死に「1年生こい!」の祈りを捧げ、自分たちの番を待っていた。
僕だけじゃない。他の1年生たちも「1年生こい!」と口々に祈り続ける。
しかし現実は甘くないもの。基本序盤は他の学年が呼ばれる。
1年生かも?の期待を胸にしながらも他の学年だったとき、僕はよくこのようなセリフを口にしていた

「ぽつーん…やっぱりね…」
これは元々ある漫画のオチで使われていたセリフからの引用であった。自分としては「期待しながらも結局期待外れだったことに対する落胆を表すツール」であった。
1年生こい!の祈りを捧げ、他の学年が呼ばれたら「ぽつーん…」。これが自分たちが呼ばれるまで繰り返す僕の退場待機時のルーティンであった。
だからこそ、待ちに待ち続けて「おもちゃのチャチャチャ」が流れたときは本当に歓喜したものだ。おもちゃのチャチャチャが流れて歓喜する小学1年生なんて地球上に僕だけだったであろう。  
ちなみに1度だけ僕らの番でなぜか別の学年の曲が流れたこともある。おもちゃのチャチャチャにはマンネリを感じてたのでそれはそれで嬉しかったが。
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