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おこぼれ話58 そしてカバーは帰ってこなかった~僕が人に物を貸さなかった理由~

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小学生の頃、僕は友達に漫画やゲームソフトなどといった物を貸してと言われてもそれを拒否していた時期があった。
それは小1の時に起こったある事件がきっかけである。

僕は小1の頃、DSにポケモンレンジャーの絵が描かれた保護カバーをつけて遊んでいた
ある日、友達数人が遊びに来た時、僕がトイレに行ってるスキに友達1人が勝手に僕のカバーを自分の本体につけてプレイしていた。
僕は「それオレのだぞ!勝手につけるな!」と抗議したが、その友達は「帰る時に返す」と返答し、「ならいいか」と自分は静観することにした。
だが友だちは返すことなくそのまま帰ってしまった。カバーのことを忘れてた僕にも非があるが。
その数日後に彼がまた僕の家に遊びに来た際に彼にカバーはどうしたか聞くと「あれから別の友達の手に渡し、そのまま行方不明」のこと。
このことがトラウマとなり、僕は人にものを貸しても返ってこないんじゃないかと思うようになり、僕は人にものを貸さないという方針を固めることとなった。

しかし小5の時に転機が訪れる。
その日僕はイナズマイレブンのソフトをもってシュンくんの家に遊びに行った。
シュンくんからはソフトを貸してほしい。と頼まれたが僕はかたくなに拒否した。心の中では「ふざけるな!もし壊したりなくしたりしたらどうしてくれるんだ!」といった感じだったのだ。
しかしその日、僕はそのソフトをシュンくんの家に置いて行ってしまったのだ。人になくされるまえに自分で忘れてんじゃねーか…
結局ソフトは事実上シュンくんに貸した状態となり、数日後に再びシュンくんの家を訪ねた時に無事返却してもらった。
それからさらに数日後にシュンくんの家に遊びに行ったとき、彼に僕が持ってきていたコロコロ最新号を貸してほしいと頼まれる。
だが僕はまたも「ダメ」と断った。
「あの時は特別だ。もう二度とあの時のような過ちは犯さない!」…自分としてはそのような強い意志とダメと答えるのがわかってるくせに貸してと頼む相手への勝手な怒りがわいていた。
だが犯してしまった。二度目の過ちを。
自転車で家へと向かう帰り道、なんとなく嫌な予感はしていた。だがその予感は的中した。家に帰ってバッグを開けてみるとコロコロがないではないか。
翌日学校でシュンくんから「貸さないとか言ってたくせに忘れてたんだけど…」と言われた。短気は損気、か。
だがこれも数日後にちゃんとした状態で返してもらった。
これ以降、シュンくんは「ちゃんと物を返してくれる人間」として認識するようになり、彼にだけだが僕は物を貸すようになった。
そのほかの人には貸してない…というかこの一件以降シュンくん以外の人から物を貸してほしいと頼まれたことはない。「貸してくれない人」という認識が焼き付いてたのか。
今思えば自分はもう少し寛大な心を持つべきであったかと思う。もちろん人にとっては貸したくないものだってあるのは当たり前だが。

なお、今回取り上げた「物を貸す」とは物が借りた相手のもとで1泊以上する状態のことをさす。
学校で文具とかを忘れた人に文具を貸す行為は僕もためらいなく普通に行っている。
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