上 下
172 / 496

おこぼれ話34 キミもスノワレてみないか!?

しおりを挟む
2年生の時のある日の国語のテストで「次のひらがなで書かれた分を読んで、カタカナに直すべきところ3か所をカタカナに直しましょう」という問題があった。
その文章は以下のようなものであった。

「ぼくはぐらうんどでおとうさんときゃっちぼーるをしていたらまどがらすのわれるおとがした」

…この問題でカタカナに直すべきところ…もちろん皆さんはおわかりだろうが「ぐらうんど」「きゃっちぼーる」「がらす」の3つだ。
しかし僕は前者ふたつはすぐに見つけられたものの、最後のひとつでどうしてもつまづいてしまう。
…というのも「まどがらすのわれる」を「まどから”すのわれる”」となぜか”ず”の点々を飛ばして読み間違えてしまったからだ。
「すのわれる」なんて単語は聞いたことはない…他にカタカナに直すべき単語があるはずだ。僕は何度も何度も文章を読み直した。血まなこになって何度もカタカナに直すべき単語を探しまくった。だがそれらしき単語は見つからない。気づけば時間も残りわずか…

しかし何度も文を熟読し、時間が経過するにつれ僕はあることを思うようになっていった。
「もしかしてこの”すのわれる”って”吸い込まれる”を意味する方言かなんかじゃないか?なんとなく語感も”吸い込まれる”に似てるしきっとそうだ!きっとこれはボールがあたってガラスが割れてその破片を掃除器で吸い込んでいる音が聞こえたって意味の文なんだ!やっぱりこれがカタカナに直すべき単語だったんだよ!」
そして僕は3つ目のカタカナに直す単語の欄に”スノワレル”と刻み、テスト時間は終了した。
…てゆーか頭ん中で”ガラス”という単語が出てるんなら「アレ?」って思わねえのかよ!「もしかして”がらす”って単語あるんじゃないか?」って文章読み直すって発想はないのかよ!つくづくバカだなあこのころのオレ!ここまで来たら絵に描いたような”天才的バカ”だよ!天才的バカの擬人化だよ!

その数日後、テスト返却。もちろん「スノワレル」と書いた部分には間違いのしるしがしっかり刻まれていた。
そしてもう一度分を読み直し、ようやく「がらす」という単語を見つけ、自分は読み間違いをしていたことにようやく気が付いたのであった。
帰宅後、母にテストを魅せると当然「あんた”スノワレル”ってカタカナが存在すると思ったの?」って聞かれた…
ああ、なんであの時僕の視界に”ず”の点々が入らなかったのだろう…
しおりを挟む

処理中です...