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おこぼれ話31 CAN YOU SPEAK ENGLISH?~シーズン3~

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5年生の時のALTの授業。この年来たのは男の先生。
彼の授業には誰もが驚いた。なぜなら彼は自分のタブレット端末を使って授業を行ったからだ!

「…それって別に驚くことじゃなくね?」…物心ついた時からデジタル機器やネットがそばにある現代の若いもんの感覚からしてみればそう思うであろう(僕だってZ世代と呼ばれる年代だ!まだまだ若いぜ!)。
だが当時は今ほどタブレット端末というものが普及しておらず、さらにこの授業が行われた数週間前には初代iPadが日本での発売を迎えたばかりで、当時としてはタブレットは最新鋭・近未来のアイテムであったのだ!
そんな最新鋭のアイテムを教育現場で拝めるとは夢のようであった。
ALTの先生がタブレットを取り出すと生徒たちは口々に「iPadだ!」と驚きの声を口にした。それほど当時の子供たちにとってはあこがれのアイテムだったのだ。彼が使ってたのはiPadではなかったが。

授業ではタブレットとTVをつなぎ、TVにタブレットの画面を映して授業が行われた。
彼は画面上の紙人形を動かし、自分の声を録音して人形劇をするというアプリを使ってストーリー形式で英会話を披露したりした。
そりゃもう画面が動くだけで大興奮。ただキャラが動くだけで自分はなんだか感動した。「僕たちは今最新のテクノロジーを今まさにこの場で味わっているのか」と。
最新鋭のアイテムを使ったハイテク授業と年1回のALT授業のコラボ。そのお味は絶品であった。ごちそうさん。

…テクノロジーに舌つづみをした後は本物の食べ物を舌つづみ。そう、給食の時間。
この日は1・2組合同で多目的室で行うのだが、5学年全員の班の代表1名ずつが給食前にじゃんけんを行うこととなった、最後まで勝ち残った班のスペースにALTの先生が同席して給食を食べるのだ。
僕は正直乗り気じゃなく(ALTの先生が嫌いなわけではないが)、じゃんけんは他の班員に任せるつもりだったが、同じ班のシュウジくんから「リョーマ、行け!」と猛プッシュされたため渋々ジャンケンの戦場へ。
で、その結果は僕の見事圧勝。ALTの先生は僕らの班と一緒に給食を食べることになった。本人がやる気じゃないときって結構勝てたりするもんよねえ…
ALTの先生の給食は前々回触れたとおり僕らの給食とは別メニュー。彼の食文化に合わせたものが用意されていた。
やはりみんなそのメニューに興味津々な様子であった。
給食時間終了後の昼休み。シュウジくんなどの何人かの生徒がALTの先生のタブレットを借りて授業で使ったアプリで遊んでいた。僕も触りたかったが触れず…

こうしてハイテクに触れた英語授業はあっという間に過ぎていった…
あの頃は携帯もスマホがじわじわ普及し始めてたがまだガラケーが多かった時代なうえタブレットってもんがまだ珍しかったけど、それから10数年たってガラケーはほぼ絶滅。タブレットも生活に根付くなんてあの頃の自分には想像もできなかっただろう。
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