164 / 499
おこぼれ話26 これが真の交換日記の巻
しおりを挟む
時は3年生の秋。前回取り上げた「即席交換日記」から1年ほどが過ぎ、その存在が僕を含めた人々の記憶から消え去って等しいころ…僕はセイタくんから誘われた
「交換日記やろうと思うんだけど、お前もどうだ?」
「交換日記…そういや1年ほど前にそんなんやってたこともあったな…懐かしいじゃねーか…」
交換日記の懐かしさと昨年あっさり終わってしまったことの無念を一瞬にして思い出した僕の返答は「イエス」だった。こうして「本格的交換日記」の幕が切って落とされたのであった。
まずはこの交換日記のシステム・ルールを説明しよう。
本来の交換日記のルールにのっとり、1日につき書くのは1人。翌日の登校の際にノートをもっていって次の人に渡すのだ。
土日祝日や夏休みなどの長期休暇時は中断。休みの前の日に自分の番が回ってきた人は休みの期間中ノートを保管(もちろん日記もしっかり書く)し、休み明けの登校日に持っていくのだ。僕も休み前の金曜日に回ってきたことは何回もあるし、夏休みだったか冬休みだったかの前の終業式の日に回ってきたことも1回ある。
最初は僕とセイタくんとトモくんの3人から始まったが、期間中メンバーの加入や脱退が複数回あった。
開始して1カ月ほどで最初の追加メンバー、ソラくんが加入。わずかな期間で4人体制となった。
それからさらに1~2ヵ月ほどたって、唯一の女子メンバー、セイちゃんが加入。5人体制となる。
しかし彼女はソラくんとのトラブルがあったらしく、4年生の初めあたりで脱退。それと入れ替わる形でシュウジくんが加入し、5人体制が保たれた。
メンバーが書く内容にはいろいろと特色があったほか、長期化するなかでグループ間で様々な流行も生まれた。
トモくんやソラくんは自分の考えたキャラのイラストを添えることが多く、これがグループ内での「オリキャラ創作ブーム」につながった。
元々はトモくんが積極的にオリキャラを発表していたのだが、それにソラくんが続き、さらにセイタくんや僕も続いた形だ。
そしてそこから派生したブームが「オリキャラを探せ!」ブームだ。
これは他の人のものを含めた過去の記述欄にオリキャラを数体描き加え、その日の自分の記述欄にオリキャラのイラストとともに「このキャラを〇体探せ!」と記述し、他のみんなに探してもらうというものだ。発起人はセイタくんで、僕やソラくんも後に続いた。
本来なら自分の記述に書き足されることを不快に思う人もいるかもしれないが、僕含めメンバーにはそのことを不快に思ってた人はだれ一人おらず、僕はむしろオリキャラが描き加えられることは名誉なことと思っていた。実際僕の記述にセイタくんがオリキャラを描き加えてくれた時はうれしかったものだ。そのうえ僕含め「オリキャラを探せ!」を行った人たちは「他の人の記述を必要以上に改変したり、オリキャラを描き加えるために消したりしない」という暗黙のルールをしっかり守っていた。
ちなみにキャラの隠し場所はぱっと見でわかるものもあれば、セイタくんは「芯を出してないシャーペンでなぞってできた跡でキャラを描く」という凝った隠し方をしていた。
セイちゃんはキレイな字とかわいらしいイラストが特徴的で、当時人気だったペン問のイラストも描いていた。彼女には2つ上の兄と1つ下の弟がいて、彼らがコロコロを読んでいたという影響もあるだろう。
脱退を発表したときの記述欄には涙を流すイルカのイラストが描かれ、何か悲しげな雰囲気をかもし出していた。
上記のような理由で脱退したということもあるが。
ちなみに脱退後、セイタくんが彼女の記述欄にツッコミなどのいたずら書きを行うことが彼のマイブームとなっていた。
で、僕はどんなことを書いてたかというと…結構一言であっさり済ませることが多かった。
念のため言っておくが日記がめんどくさかったとか嫌々参加してたとかではない。欄いっぱい埋めるようなネタも思いつかないし、思いついたことを書いちゃえと言った感じであった。
疲れ果てたときには「疲れた、今日」と突然倒置法で記述したこともある。
みんなだって毎日勉強と遊びで疲れてんだし、しかも習い事やってるやつもいて、彼らもしっかり書いてるんだし欄を埋めろとまではいわんがもうちょいしっかり書けよ…
オマケに字も汚かったんで(周知の事実とは言え)そのことも散々つっこまれた。
紆余曲折ありながらも1年以上にわたって続いた日記。
しかし4年生の3学期ごろから急に回ってこなくなり、メンバーからも交換日記について言及されることはなくなっていった。
そんななかで僕はセイタくんに日記のことを聞いたが、「ノートが行方不明になったので中断」のこと。
中断前に最後に誰がノートを持ってたかもわからないのこと。
こうして本格的交換日記も闇の中へと消えていく形で幕を閉じた…
「交換日記やろうと思うんだけど、お前もどうだ?」
「交換日記…そういや1年ほど前にそんなんやってたこともあったな…懐かしいじゃねーか…」
交換日記の懐かしさと昨年あっさり終わってしまったことの無念を一瞬にして思い出した僕の返答は「イエス」だった。こうして「本格的交換日記」の幕が切って落とされたのであった。
まずはこの交換日記のシステム・ルールを説明しよう。
本来の交換日記のルールにのっとり、1日につき書くのは1人。翌日の登校の際にノートをもっていって次の人に渡すのだ。
土日祝日や夏休みなどの長期休暇時は中断。休みの前の日に自分の番が回ってきた人は休みの期間中ノートを保管(もちろん日記もしっかり書く)し、休み明けの登校日に持っていくのだ。僕も休み前の金曜日に回ってきたことは何回もあるし、夏休みだったか冬休みだったかの前の終業式の日に回ってきたことも1回ある。
最初は僕とセイタくんとトモくんの3人から始まったが、期間中メンバーの加入や脱退が複数回あった。
開始して1カ月ほどで最初の追加メンバー、ソラくんが加入。わずかな期間で4人体制となった。
それからさらに1~2ヵ月ほどたって、唯一の女子メンバー、セイちゃんが加入。5人体制となる。
しかし彼女はソラくんとのトラブルがあったらしく、4年生の初めあたりで脱退。それと入れ替わる形でシュウジくんが加入し、5人体制が保たれた。
メンバーが書く内容にはいろいろと特色があったほか、長期化するなかでグループ間で様々な流行も生まれた。
トモくんやソラくんは自分の考えたキャラのイラストを添えることが多く、これがグループ内での「オリキャラ創作ブーム」につながった。
元々はトモくんが積極的にオリキャラを発表していたのだが、それにソラくんが続き、さらにセイタくんや僕も続いた形だ。
そしてそこから派生したブームが「オリキャラを探せ!」ブームだ。
これは他の人のものを含めた過去の記述欄にオリキャラを数体描き加え、その日の自分の記述欄にオリキャラのイラストとともに「このキャラを〇体探せ!」と記述し、他のみんなに探してもらうというものだ。発起人はセイタくんで、僕やソラくんも後に続いた。
本来なら自分の記述に書き足されることを不快に思う人もいるかもしれないが、僕含めメンバーにはそのことを不快に思ってた人はだれ一人おらず、僕はむしろオリキャラが描き加えられることは名誉なことと思っていた。実際僕の記述にセイタくんがオリキャラを描き加えてくれた時はうれしかったものだ。そのうえ僕含め「オリキャラを探せ!」を行った人たちは「他の人の記述を必要以上に改変したり、オリキャラを描き加えるために消したりしない」という暗黙のルールをしっかり守っていた。
ちなみにキャラの隠し場所はぱっと見でわかるものもあれば、セイタくんは「芯を出してないシャーペンでなぞってできた跡でキャラを描く」という凝った隠し方をしていた。
セイちゃんはキレイな字とかわいらしいイラストが特徴的で、当時人気だったペン問のイラストも描いていた。彼女には2つ上の兄と1つ下の弟がいて、彼らがコロコロを読んでいたという影響もあるだろう。
脱退を発表したときの記述欄には涙を流すイルカのイラストが描かれ、何か悲しげな雰囲気をかもし出していた。
上記のような理由で脱退したということもあるが。
ちなみに脱退後、セイタくんが彼女の記述欄にツッコミなどのいたずら書きを行うことが彼のマイブームとなっていた。
で、僕はどんなことを書いてたかというと…結構一言であっさり済ませることが多かった。
念のため言っておくが日記がめんどくさかったとか嫌々参加してたとかではない。欄いっぱい埋めるようなネタも思いつかないし、思いついたことを書いちゃえと言った感じであった。
疲れ果てたときには「疲れた、今日」と突然倒置法で記述したこともある。
みんなだって毎日勉強と遊びで疲れてんだし、しかも習い事やってるやつもいて、彼らもしっかり書いてるんだし欄を埋めろとまではいわんがもうちょいしっかり書けよ…
オマケに字も汚かったんで(周知の事実とは言え)そのことも散々つっこまれた。
紆余曲折ありながらも1年以上にわたって続いた日記。
しかし4年生の3学期ごろから急に回ってこなくなり、メンバーからも交換日記について言及されることはなくなっていった。
そんななかで僕はセイタくんに日記のことを聞いたが、「ノートが行方不明になったので中断」のこと。
中断前に最後に誰がノートを持ってたかもわからないのこと。
こうして本格的交換日記も闇の中へと消えていく形で幕を閉じた…
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが小さな公園のトイレをみんなで使う話
赤髪命
大衆娯楽
少し田舎の土地にある女子校、華水黄杏女学園の1年生のあるクラスの乗ったバスが校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれてしまい、急遽トイレ休憩のために立ち寄った小さな公園のトイレでクラスの女子がトイレを済ませる話です(分かりにくくてすみません。詳しくは本文を読んで下さい)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる