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おこぼれ話9 楽しい楽しい集会タイム~だけど時々暗い、暗いなあ…~

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2年生の頃、週一回2クラス合同の集会があった。
2年生全員が多目的室に集まり、ゲームなどを行って異なるクラス同士で親睦を深めるのだ。

集会は各クラス数人の自己紹介から始まる。
前日に自己紹介するメンバーが先生から告げられ、自己紹介の内容を考えておくようにと言われる。
もちろん僕にも自己紹介の順番が回ってくる。
その時の自己紹介では自分の特技として「ラチェット&クランク1」のラスボス戦と紹介した。
「まずはランチャーを3発当てて、次に移動した後またランチャーを3発当てて、また移動した後ランチャーをひたすら撃ちまくってラスボスを倒すのが僕の特技です!」
当時2年2組の先生だったS藤先生からは「詳細な紹介ありがとうございました」と苦笑いしながらのコメントをいただいた。

続いてみんなでゲームを行う。椅子取りゲームやなんでもバスケットといった定番どころが主だ。
ゲームの後、会を締めくくるのは先生による読み聞かせ。週ごとにM田先生とS藤先生が交代で行い、各先生がセレクトした絵本を読み聞かせてくれる。
セレクトには季節や流行なども反映されており、S藤先生は映画「河童のクゥと夏休み」が公開されていたころに河童が出てくる物語を読み聞かせてくれたり、年末近くには十二支の物語(十二支がどうやって決まったかっていう有名な話)を読み聞かせてくれたりした。
だが先生たちが読み聞かせてくれるのは明るいストーリーだけではない。M田先生がある日読み聞かせてくれたのは「まちんと」という戦争をテーマにした物語だ。
テーマがテーマ故にとにかく暗い。読み聞かせが始まってから終わるまで皆終始暗い表情であった。もちろん大切なメッセージが作品中に込められてるのは僕は子供心に理解してたつもりだが。
周りのみんな、特に男子からは読み聞かせ中、常に「暗い」という声が飛び交っていた。

「まちんと」はその後M田先生によって2-1の学級文庫に置かれるようになった。みんなあんだけ「暗い」って言ってたからおかれたところで読まないだろうと思ったら、朝読書の時間には女子を中心にそこそこの回転率であった。男子にはほとんど読まれてないが…
これ以来、学校で朝の時間に月2回ほど行われたボランティアによる読み聞かせでも、暗い内容の物語が登場したときに「まちんとみたい」という声が飛び交うようになり、「まちんと」は「暗い内容の物語を示す比喩表現」としてクラス中で浸透していった。
子供の目線から考えて、楽しい集会の最後に暗い物語はこたえたのだろう…
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