146 / 499
おこぼれ話8 弱すぎペダル
しおりを挟む
僕の幼稚園からのクラスメイトに自転車レースの大会でメダルを取ったことのある女子がいる。
彼女の影響からか、2年生の頃の一時時期、僕たち男子の間で自転車レースごっこがはやったことがあった。
ルールはただ近所の道をただただひたすら爆走するだけ。先頭のものはただひたすら爆走し続け、後続のものはただひたすらそれを追いかける…行先もわからぬまま…といっても勝手に遠くへ行ったりはしない。
もちろん通行人の迷惑にならないようには気をつけている。だがレーサー同士の接触や転倒は日常茶飯事だ。実際の自転車レースやオートレースでもこういった転倒はよくあることだろうが、リアリティーを追求したためか僕たちの間では「レースに危険はつきもの」とこれらを黙認していたところがあった。
このレースで問われるのはただ速さだけではない、怪我や接触に負けないメンタルも重要と言える。これはいわば子供たちの「エクストリームスポーツ」なのだ。
だがそのエクストリームスポーツも一度終わりを迎える。
上記の通り危険なレースであったが、これまでケガ人といってもすり傷が数人いた程度で大きなケガ人がでることはなかった。だがある日、ついに大ケガを負ったレーサーが出てしまう。
その名はソラくん。レース中の転倒により骨折という大けがを負ってしまい、しばらく三角巾を片腕につけて生活することとなった。
だが彼の骨折は2年生になってこれが3回目(いずれも自転車レースとは無関係な骨折)。失礼ながら「またか」と思ってしまっていたし、彼の三角巾姿も正直見慣れていた。三角巾姿は彼の2Pカラーのようなものと思っていた。
人生で1度も骨折していない自分だからそう思えるのだろう。骨折した側は大変だろうに…
しかしこの深刻な状況を受け、親たちも黙っちゃいなかった。
その日の夜、僕は母から「自転車レース禁止令」を食らう羽目になる。
そして時を同じくして各家庭でも発布された模様で、子供たちのエクストリームスポーツは親の介入により幕を閉じた…と思われた。
だが我々はただひるんで終わるわけがない。
親の目の届かないことでこのスポーツは継続することとなる。
禁止令発布以降も危険なプレイは続く。そして僕はレース中にリュウくんと接触し、お互い転倒してしまったことがあった。
その時、お互い謝った後こう言ったのだ。
「オレたち、骨折してないから大丈夫だもんな!」
自分たちの中で、このスポーツとの付き合い方は「骨折しないように楽しむ」だったのだ。
彼女の影響からか、2年生の頃の一時時期、僕たち男子の間で自転車レースごっこがはやったことがあった。
ルールはただ近所の道をただただひたすら爆走するだけ。先頭のものはただひたすら爆走し続け、後続のものはただひたすらそれを追いかける…行先もわからぬまま…といっても勝手に遠くへ行ったりはしない。
もちろん通行人の迷惑にならないようには気をつけている。だがレーサー同士の接触や転倒は日常茶飯事だ。実際の自転車レースやオートレースでもこういった転倒はよくあることだろうが、リアリティーを追求したためか僕たちの間では「レースに危険はつきもの」とこれらを黙認していたところがあった。
このレースで問われるのはただ速さだけではない、怪我や接触に負けないメンタルも重要と言える。これはいわば子供たちの「エクストリームスポーツ」なのだ。
だがそのエクストリームスポーツも一度終わりを迎える。
上記の通り危険なレースであったが、これまでケガ人といってもすり傷が数人いた程度で大きなケガ人がでることはなかった。だがある日、ついに大ケガを負ったレーサーが出てしまう。
その名はソラくん。レース中の転倒により骨折という大けがを負ってしまい、しばらく三角巾を片腕につけて生活することとなった。
だが彼の骨折は2年生になってこれが3回目(いずれも自転車レースとは無関係な骨折)。失礼ながら「またか」と思ってしまっていたし、彼の三角巾姿も正直見慣れていた。三角巾姿は彼の2Pカラーのようなものと思っていた。
人生で1度も骨折していない自分だからそう思えるのだろう。骨折した側は大変だろうに…
しかしこの深刻な状況を受け、親たちも黙っちゃいなかった。
その日の夜、僕は母から「自転車レース禁止令」を食らう羽目になる。
そして時を同じくして各家庭でも発布された模様で、子供たちのエクストリームスポーツは親の介入により幕を閉じた…と思われた。
だが我々はただひるんで終わるわけがない。
親の目の届かないことでこのスポーツは継続することとなる。
禁止令発布以降も危険なプレイは続く。そして僕はレース中にリュウくんと接触し、お互い転倒してしまったことがあった。
その時、お互い謝った後こう言ったのだ。
「オレたち、骨折してないから大丈夫だもんな!」
自分たちの中で、このスポーツとの付き合い方は「骨折しないように楽しむ」だったのだ。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる