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記録ノ138 最後の授業~四つ葉に包まれた完璧な場~

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卒業式の1日前、この日はいよいよ小学校生活最後の授業の日。
この日は5時間授業。昼休みを終えて教室に戻ってくると女子数人により黒板に大きな字で書かれた「最後の授業」の文字が真っ先に目に入ってきた。
周りにはさまざまな絵が描かれ、最後の授業を彩る。
「ああ、本当にこれで終わるんだ…」まだまだ卒業の実感がわききってなかった僕だが、6年間過ごした学び舎との別れが惜しくなってさみしさが込み上げてきた。

最後の授業は総合の授業。先生から生徒たちへ、中学校生活、そしてこれからの人生に向けた熱いメッセージが送られ、旅立ちを迎える生徒たちを鼓舞した。
この日は卒業アルバムも配られ、アルバムの最後の余白のページに仲のいい友達同士で熱いメッセージを書きあった。
僕もシュンくんやセイタくん、アヤタくんにマサくんetc…たくさんの友達からメッセージをいただいた。
もちろん僕も彼らのアルバムに熱いメッセージを刻ませていただいた。
さらにM上先生からもメッセージをいただいた。”夢限大”というシンプルながらも新たな旅立ちを応援してくれるありがたいお言葉だ。

そして最後は記念撮影。
この時に教室には”ナイスプレーの四つ葉”を並べて作った「6-2」の字と”完食”の紙を並べて作った「完」の文字が壁に掲示された。
この四つ葉と完食の紙について説明しよう。

四つ葉は毎日帰りの会にて「今日のナイスプレー」というコーナーがあり、生徒たちからその日他の生徒たちに親切にされたことやしてもらってうれしかったことを紹介してもらい、それを四つ葉型の画用紙の葉にひとつずつ書き込み、四つ埋まったらそれを教室に掲示する仕組みで、卒業までに教室の掲示板を四つ葉でいっぱいにしようというものだ。
しかし始まってしばらくはとっとと帰りの会を終わらせたい人たちによって、日直が「今日のナイスプレーありますか?」というとすぐさま「ないっス!」「ないっスプレー!」というコールが入るのがお約束であった。
もちろんちゃんとナイスプレーが出てくる日もあったが、M上先生はこの「ないっス」コールにおかんむりだったようで、ある日のナイスプレーで「ないっス」コールが出た直後の先生のお話しでキレ気味にこう言った。

「ナイスプレーないっス、ナイスプレーないっスってよぉ…毎日毎日そうやって言われるとこっちは悲しくなるんだよ…!もっとまじめに取り組もうぜ!」
…あれほどキレたM上先生は初めて見た。せっかく生徒たちの思いやりの心を高めるために立ち上げたのに一部の生徒がやる気なさげだったのが許せなかったのだろう。
この日以来、「ナイスプレーは毎日必ず1つ以上は挙げる」というルールが定められ、ないっスコールもこの日を最後に自然消滅した。
「毎日毎日ナイスプレーなんてあるか?」と強制が嫌いだった(ナイスプレーは挙手制なので全員が必ず挙げないといけないというワケではない。クラス全体で1つ以上挙げようということだ)僕は首をかしげたが、あれ以来クラスのみんなが積極的になったおかげで最終的には「6-2」の文字が作られるぐらいの四つ葉でいっぱいになったのだ。

そしてもうひとつ、完食の紙だが、これは給食をクラスの誰一人残したりへらしたりしなかった日にその栄誉を称える形で教室の壁に掲示するというものだ。
これも給食をのこす日を少しでも減らそうという風土を作るための先生による施策と言えよう。
紙には大文字による「完食」の字と日付、その日のメニューが書かれていたが、そのレイアウト(下図参照)ゆえにシュウジくんからは「電柱に貼られている空き家の広告みたい」と言われた。僕も「確かに」と思ってしまった。

だがこの紙も今や「完」の字が作れるほどの数となった。この一年間、僕も紙が増えるたびに誇らしく感じてきた。
で、僕は完食に貢献できたかというと…僕は皆さんご存じの通りの偏食人間なので結構足引っ張ってた。僕だけ残したなんて日もあった。僕がこのクラスじゃ無ければもっと紙も増えたかねえ…

最後の授業を終え、いよいよ明日は卒業式…
100話を超える超長丁場となったリョーマ伝小学生編もいよいよフィナーレ…
と言いたいとこだが、次回からはちょっと寄り道してここまでで話しきれなかったアレやコレを虫干しにしていく「こぼれ話」の時間にしようと思う。
もうしばらくのお付き合いよろしくお願いします!
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