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記録ノ131 劇団6年生解散公演~最高の舞台のため時間を惜しむな~

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保護者公開日前最後の1週間、その時間割は水曜だけが5時間授業で、他は6時間授業。普段は金曜だけ5時間授業だが金曜日の6時間目には会場の設営の手伝いがあるため振替で水曜が5時間授業になった形だ。
無論、これら時間割の中には今まで以上に練習の時間がある。
「練習ばっかで大変だけど、5時間授業がかろうじてある分は心の救いだ。」と思ってた矢先の月曜日の朝の会、先生から発表が…

「今週の水曜ですけれども、1組の先生と練習時間を増設できないか相談した結果、6時間目を設けて練習を行うことになりました。」
一気に絶望に変わった…練習が始まって最初の頃に「居残りで練習する日が出てくる可能性がある」という話があったがここまではそれがなかった。ましてや5時間授業の日に6時間目を設けて練習することなどなかった。
ここまで居残りがないものだったから最初の発言はあくまでも予定で、結局今年は居残りなどしないと思ってた矢先の不意打ちだ。精神的ダメージは大きい。
「オレたちだって人間だ!生き物だ!動物だ!少しは休ませてくれ!休ませてくれないとハイパフォーマンスは発揮できん!」僕は心の中でそう叫び始めた。

だが、児童公開日で下級生のあれだけすごい発表を見せられたのだ。「アレは越えられん…」と思ってしまったが我々にも最高学年としてのプライドがある。
そして保護者公開日こそが泣いても笑っても小学校生活最後の学芸会だ。自分たち史上最高の舞台を作って小学校生活の終わりに花を添えよう。保護者の皆さんにもその最高の舞台を堪能してもらおう。そのためには時間と努力を惜しむな。今回の増設はそのようなメッセージも感じ取れた。(大げさかもしれないが)

迎えた水曜日、この日の別の時間にも練習があったが、5時間目と増設された6時間目では体育館で通し練習を行った。
シュンくんをはじめとする友達と体育館に向かう道中、僕たちは三年生の担任の先生と遭遇。
みんなしてあのマリオの話題になった。
「すごかったですよあのマリオ!」「保護者公開日も頑張ってください!」
僕も「アレは仮装大賞に出れるレベルでしたよ!ウチらなんか到底かないません!」と3年生の先生に賛辞を贈った直後、3年生の先生から「とんでもない。あなたのゲーリックも素晴らしかったですよ。」とお褒めの言葉をいただいた。あのすごい3年生の担任の方からこのようなコメントを頂けて励みになった。もっと自信を持って頑張らねば。

そして練習時間。先生の提案で保護者公開日では細かな演出を追加することとなったこともここで発表。といってもセリフの追加ではなく、シーンに合わせてプロジェクターで投影する画像を追加するというだけだが。
通し練習では自分としては特に直すところもないや、あれだけ褒められたし。と思って児童公開日の時と同じ感じで演技に臨んでいた。
僕の出番ではないパートや出番が終わってからのパートは、体育館から他のみんなの演技を見て関心を寄せていた。
特にもうひとりのゲーリック役であるシュンくん。彼の担当する終盤計3幕はクライマックスということもあり、よりシリアスである。だからこそ悪役であるゲーリックの残忍さはより引き出さなければならない。
しかし彼の演技力はまさにそれを最大限に引き出すことができており、普段の明るく真面目な彼とは正反対の冷酷で無慈悲なキャラクターを見事演じ切り、独裁者ゲーリックを見事に具現化していた。
最初彼と話し合って、どちらがどのパートを担当するか結構難航したが彼が後半3幕を担当して正解だったと思う。自分があのシリアスパートやってたら観客一同「なんじゃこりゃあのガキ」になってたと思うからw

練習が始まってから1カ月以上。この期間中、細かなところの改善を重ね、生徒たちも自分自身で反省を重ね、最初はぎこちなかった演技も改善され、それらのピースが重なってより良いものができあがっていった。
この練習では特にそれが光ってたと思う。時間を惜しまず練習したことは決して無駄ではなかったと思う。

保護者公開日2日前の金曜。僕たち6年生は会場の設営の手伝いを行った。
来賓の方用のパイプ椅子を出したり、大道具とかを準備したり…体育館のふだんは入れないところにも入れて、会場ができあがっていく様子を自分たちがその一員となりながら肌で感じることができたのは貴重な経験だった。
さあ、劇団6年生のホントの最終公演、最高の舞台にしようじゃないか。
次回、学芸会編堂々完結!

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