リョーマ伝～小学生編～

記録ノ128 劇団6年生解散公演～天使と独裁者～

11月、翌12月に控えた最後の学芸会へ向けて動き出した。
僕たちがやる劇は何だろう…過去の6年生は劇団四季のミュージカルをやってた（夢から覚めた夢とか）こともあったから、オレらもライオンキングとかやりたいな（当時ちょうど札幌公演が行われていた）とか考えていた。コスト的・技術的に考えても学芸会で再現するの難しいだろそれ。
そんでもって出たがりちゃんな僕はまたしても主役・メイン級の役を狙っていた。
「最後は主役、もしくは準主役で有終の美を飾りたい！」

その後、学年だよりで知らされた劇のタイトル…それは「天使の降りた町」であった。
「チッ、劇団四季じゃないのかよ…しかも天使ってことは多分主人公女じゃん！主役狙ってたのにこれじゃ主役なれへんやん！」…これがタイトルを知った時の僕の心の第一声であった。
リョーマよ、だいたいお前は天使＝女って考えてるようだけどお前がよくやるスマブラXに出てくるピットの性別はどっちよ！（ちなみにスマブラXで自分がよく使ってたのはソニックとルカリオ）

その数日後、僕らの手元に台本が渡される。
フタを開けてみれば案の定、主人公の天使は少女であった。
この物語はかつて育った人間の町に10年ぶりに戻ってきた天使の少女が主役。しかし町は独裁者とその一味によって支配され、住民たちは希望を失い、町もかつての輝きを失ってしまった。
主人公は愛する町を救うため、住民たちに夢や勇気の大切さを教え、独裁者に立ち向かっていく物語だ。

台本が渡された日から数日が過ぎて役決めの日。僕が第一希望として立候補したのは悪役の独裁者・「ゲーリック」だ。
メジャー連続出場記録を樹立した選手ではない。超能力者だ。主人公がダメでも、その次にメインな存在の役なら男がやれる！そう思って立候補したのだ。
枠は2人、立候補したのは僕とシュンくんとソラくんの3人。もちろん定員オーバーならオーディションだ。
そのお題となるセリフは手下の兵士にお「ちょっぴりお茶目」とからかわれた直後に発する「イヤ～ン！」の一言から始まるセリフだ。
始めに台本を読んだ時から、僕はお題としてこのセリフが出されるだろうと予想はしていた。先生方の考えることだから不意打ち的な意味でも。
だがほかの2人は難色を示していた。「もっと他にセリフあっただろ」と。
確かにゲーリックは基本残忍なキャラだからもっと悪役らしいセリフだって当然ある。
だが先生がこのセリフを選んだ理由は「このセリフが言えないとゲーリック役はできない」という理由だ。

オーディション本番、僕は自分なりの「イヤ～ン！」を恥ずかしながらもしっかり演じきった。
ちなみにこの後には城のために働かしている住民たちへの「働け働け！早く城を作るのだ！」という一変していかにも悪役なセリフが続く。
その転調もしっかり意識して演じきった。
その結果、合格したのは僕とシュンくん。勇気を出して「イヤ～ン！」を発した勇気が実を結んだのだ。

見事第一希望の役を射止めた僕だが、この先いろいろと波乱が待ち受けている。
続きは次回！