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記録ノ118 函館修学旅行騒動記~眠りし船、キミは今北海道への第一歩を踏み出した~

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函館についた最初に行う自主研修は5つのコースの中から好きなものを一つ選んで行う。
僕が選んだのは保存されている連絡船摩周丸をメインにめぐる「摩周丸コース」。これを選んだ理由の一つはコース内にある「北海道第一歩の地碑」が気になったからだ。

自主研修では同じコースを選んだ人の中から、さらに4人一組になって行動する。
僕はリュウくんと、他女子二名と同じ班だ。
3年生以降、違うクラスになり続けているリュウくん。違うクラスの子の中ではよく遊ぶほうだが、ここまで彼と長時間密に過ごすのは久しぶりで班が決まった時からとても楽しみにしていた。

そして自主研修がスタート、しかし開始早々リュウくんは「水筒の中身が尽きそう…自販機でジュース買っていいか?」と口にしだす。
しおりには「買い物は決められた時間と場所以外でしてはならない」と書いてある。そして自主研修中は後述のソフトクリーム以外の買い物はNGとなっているのでもちろんダメだと同じコースの別の班の子に言われる一幕があった。
時期は夏真っ盛り、水筒の中身がすぐ尽きてしまうのも仕方ないだろう。
熱中症予防の観点から考えれば「水筒の中が尽きたときだけ飲み物の買い足しOK」にすればよかったのではないかと今なら思う。

我々一行が最初に訪れたのは「連絡船摩周丸」。いきなりコースの真打登場といったところか。
この摩周丸は青函トンネル完成以前に函館-青森間の海の航路を結んでいた連絡船のうち、最後まで就航していたもののひとつだ。
館内は連絡船や船についての博物館となっており、当時の座席の一部や操舵室がそのままの形で残されている。
自分はボートや観光船の塁に乗ったことはあれど、こういう旅客船は初めてだ(といっても保存されているヤツなので進まないけど)。
すでに運航終了から四半世紀近く立っていた船だが、中はしっかり立派だった。特に操舵室から見える函館の海は絶景。連絡船の操縦士や乗客が味わった景色の追体験ができたことはよい経験だった。

摩周丸を後にして、路面電車に乗っていよいよお待ちかねの「北海道第一歩の地碑」へ。
路面電車は札幌にもあるが、乗るのはこれまた人生初の経験であった。普通の鉄道とはなんだか乗り心地が違って不思議な感じだった。
そして到着した地碑。海をバックにたたずむ白く寡黙な彫刻…それこそが僕が追い求めてきた「北海道第一歩の地碑」だ。第一歩なんて名がつけられるぐらいだからもうちょい派手で神々しい感じかと思い、見た瞬間感動して泣くんじゃないかと思っていたが「案外地味だな」これが僕の地碑をみた瞬間の第一印象であった。
もちろんこの碑にはしっかりした意味がある。
明治維新後、名実ともに北海道の門戸となった函館。その地を踏むものがその第一歩を印した場所こそがこの碑が存在する東浜桟橋(旧桟橋) なのだ。しっかり歴史的意味合いを持つものであることをここに記しておこう。
もう一つ気になったのがこの碑の案内板を寄贈したのが「日本中央競馬会」であることだ。
「馬も競馬も関係ないのになんで寄贈したんだろう?社会貢献活動の一環かな?」と考えたりもした。(ちなみに函館には競馬場がある)

その後は教会やら旧イギリス領事館やらをめぐる。後者では樽についてるハンドルを回すと歌が流れるという仕掛けがあってなんか面白かった。
道中、お楽しみのソフトクリームタイム。なんとお店の人から割引券をもらったのでお得に味わうことができた。感謝。
3つの店があったが、僕が食べた店では「8段重ね」のものがあった。
西野カナがPVで食べたらしいのだが、自分には8段はとても食べきれないし、おまけに高かったので普通のにした。
その店では修学旅行生限定でくじ引きができた。1等は函館の風景を描いた絵、2等はサングラス、3等はドラえもんのぬいぐるみ、4等はパワーストーンだった。
時を同じくしてソフトクリーム屋で合流した別ルートのシュウジくんからは「リョーマ、サングラス当たったら俺にちょうだい!」とめちゃくちゃせがまれた。
だが僕が欲しいのはドラえもんのぬいぐるみだ。3等狙いで行くぜ!

「はい、4等パワーストーンで~す!」
ドラちゃんごめんよ…キミを当てることはできなかった、だが1等の絵は荷物になるし絶対いらなかったのでそれを当てなかっただけ良しとするか。パワーストーンももらってうれしいものだし。
パワーストーンは好きなもの1つを選ぶことができる。それぞれに「健康」とか「学業成獣」とかいろんな効果があるのだが、僕は「健康」にした。
「金運」と迷ったのだが、旅の安全、怪我無く病気なく無事に終われることを祈って「健康」にしたのだ。

あっという間にすべての目的地を回り、集合場所の明治館へ。
その道中になんと足湯が!船の形の浴槽に「旅の疲れを癒していってください」との看板が立てられていた。
お言葉に甘えて足湯で一休み。友達と入る足湯は格別で時間を忘れてしまいそう。でも遅刻することなく明治館に到着できましたとさ。

移動中もリュウくんといっぱい話せてとても濃密な時間を過ごせた自主研修であった。
そして我々一行はいよいよホテルへ。続きは次回!
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