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記録ノ68 委員会の乱~対立と結束~

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5年生になるとクラブ活動にくわえて委員会も始まる。
委員会の集まりはクラブ活動がない週の水曜日の6時間目に行われる。
でも委員会によってはそれ以外の週、曜日でも活動を行う場合もあるし、放課後も残って活動するケースも見受けられる。

僕は低学年のころから放送委員になりたく、放送委員会に入るつもりだった。
なぜなりたかったかというと、放送室に入りたかった。ただそれだけだった。
放送室は低学年のころからのあこがれだったのだ。
しかしあることがネックとなって僕はその道を断念することとなる。

放送委員の主な仕事のひとつは中休み、昼休み終了5分前の放送だ。
音楽を流し、「中休み(昼休み)終了5分前です。教室の外にいる児童は早く教室に戻って次の授業の準備をしましょう」とグラウンドや体育館など自分の教室の外で遊んでいる児童に教室に戻るよう呼びかける。
この放送を担当する放送委員は担当の日の休み時間はずっと放送室にいる。
つまり自由がない、休み時間に遊べない日ができる。僕は自由を奪われるのを嫌う人間だ。
それが理由で僕は長年の夢の放送委員を断念することとなったのだが、その理由を聞いた友達から「お前は自由か否かで委員を選ぶのか?」とマジレスされた。そりゃそうだ。

結局僕は飼育委員を選ぶことにした。
後述するが飼育委員も休み時間に活動するんだけどね。
委員会ごとに1クラスごとの人数は決まっている。飼育委員は各クラス男女2名、計4名だ。
2組の男子は僕のほかに以前も話題に触れたシュンくんがいる。彼は5年生で初めてクラスメイトとなった。

飼育委員の仕事は中休みにウサギ小屋のウサギや、以前触れた水飲み場の「水族館」の魚たちのエサやりだ。
どのクラスのメンバーが担当するかは日替わりだ。
僕とシュンくんは担当の日は毎回サボらずきっちりウサギ小屋や水族館に来ていてしっかりエサやりをしていた。
忘れっぽくめんどくさがりな僕もきっちりと。
しかし、女子2人は始まってしばらくはサボる日が目立っていた。

片方の女子は新学期が始まった時に書いて教室に掲示してあったプロフィールカードの目標欄にこう書いてあった。
「委員会を頑張る」と。
もう片方の女子も「飼育委員になりたくてもなれなかった人がいるのでその人の分まで頑張りたいです」と書かれていた。
それを見てシュンくんは
「頑張ってねえじゃねえか!」とダメ出ししていた。
しかし時を重ねるにつれ、彼女たちもサボらずきちんと仕事をするようになった。
最初は真面目に働く男子とサボりがち女子、男女間で隔たりがあった飼育委員だったが、次第に結束していき仕事も効率的に進んでいくようになった。
2学期が終わるころには「しっかりまとまってきたなオレたちも」と自分たちのことながら感心するようになっていた。女子がサボりがちでシュンくんに文句を言われていたのがウソのようだ…と。
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