リョーマ伝～小学生編～

記録ノ61 黒いバレンタイン～現実はビターなり～

4年生の2月14日。そう、この日はバレンタイン。
女子たちはクラスの男子たちのためにチョコレートを作って持ってきて、朝の会の前にみんなに渡していた。
僕も去年親しい女子からもらっている。今年ももらえるかと期待していた…

…しかし現実は厳しかな。どの女子も僕に渡す気配は一向にない。
しかしまわりの男子たちは次々と女子からチョコをもらっていく。
しかし僕はもらえそうな気配は一向にない。ほかにももらえてなかった子はいたが…
もらえた男子の中には僕をいじめてたヤツもいる。僕はそれが許せなかった。
前回お話しした通りこの時の僕は女子嫌いを装っていた。でも親しい女子はいた。
だからこそ信じていたのだ。もらえることを。

そしてとうとう先生が教室に入ってきた。もらった男子たちは皆ばれないように慌てて隠す。
僕はとうとうもらえずじまいだった…去年もらった女子からも…もらえなかったことの悔しさよりも、自分をいじめてたヤツがもらっていることの悔しさと怒りが強かった…
まあそりゃそうだ。あんだけ女子嫌いを声高らかに叫んでるんだから、「女子は嫌いだけどバレンタインはよろしく」なんて都合のいい話があるもんか。

しかしその日の放課後、空も暗くなってきたとき、去年バレンタインチョコをくれた女子が手作りチョコをもって僕の家を訪ねてきた。
彼女曰く「僕の分を忘れてた」らしくそれが本当か、それとも悔しがる僕の様子を見かねて作ってきてくれたのかはわからない。
だが僕は感動し、感謝した。こんな自分勝手で女子嫌いを装っているうえにバレンタインはほしいなんてご都合主義人間にもチョコをくれたことを…

まあ、こういう苦い思い出があったからこそ僕はカカオバスターズなんていう作品をかけているのだろう。
この時苦い思いをしなかったらカカオバスターズは書いてなかったと思う。