上 下
37 / 496

記録ノ37 磨けひたすらに~泥団子が教えてくれたこと~ 

しおりを挟む
3年生の夏休み、僕は自由研究で泥団子を作ることにした。
泥団子何ぞ作ったところで保存がきくの?学校に持ってこれんの?と思ったあなた、ただの泥団子ではない、土粘土で作って宝石のようにピカピカに磨き上げた泥団子だ。
進研ゼミの自由研究特集で見かけた瞬間「これだ!」と思った。

…以前にもお話ししたが僕は自由研究は何をやりたいか決めた後は両親にまかせっきりであった。
しかしこの泥団子作りは手伝ってこそもらったが、自分の力も結構入っている。
やることがシンプルだったせいもあるだろう。
手順としては
1 土粘土を丸めてかわかす
2 かわいたらプラスチックにこすりつけてピカピカになるまでひたすら磨く
…以上、この2ステップだけだ。ね、簡単でしょ?

しかしシンプルで簡単そうなものほどやってみると意外に難しいのが世の常。たかが泥団子されど泥団子。
一生懸命こすっても、全体をピカピカにすることはできなかった。
底はピカピカになっていない。
その部分を何としてもピカピカにしようと一生懸命こすりまくった結果、泥団子本体にヒビが入ってしまった。致命的なものではないが。
それでも一応ピカピカの泥団子はできた。一応はね。底はどう頑張ってもピカピカにできなかったけど。

完成した泥団子は木の板をはり合わせて作ったケースに入れて持って行った(こちらは父親作)。
何度も磨いた泥団子。この自由研究で僕は辛抱強さと何度頑張ってもダメなことはあるという世の残酷さを学んだ…
かどうかはわからない。
少なくとも後者は学べたと思う。ある程度は。
しおりを挟む

処理中です...