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記録ノ27 17音の銅賞

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秋、学校内で交通安全の川柳コンテストが行われた。
自分は川柳なんて作るのは初めてだった。
でも川柳がどのようなものであるかは理解していた。
僕はポケモンアニメでオーキド博士が詠むポケモン川柳が大好きだったからだ。
川柳を作るってまるで自分がオーキド博士になった気分で楽しかったのだ。

…といってもやっぱり5・7・5でおさめるのは最初は苦労した。
交通安全というテーマで、それをどうやって17音で表現するか、特に単語のセレクトは何度も頭をひねった。
悩みながらもなんとか一句したためた。
その一句は”世界中~”というフレーズから始まるものだった。
世界中、というフレーズは自信満々だった。ひねり出したとき「賞はもらったぜ!」と心の中で叫んだぐらいの自信作であった。

それから1~2ヵ月後、僕の詠んだ句が2年生の部の銅賞を受賞したのだ!
2年生男子では唯一の受賞だ。
人生で表彰されるのは初めてだったのでこの知らせを聞いた時は「ウソだろ!?」って気持ちと、「もっと上だと思ったのに…」という悔しさで頭の中はごっちゃごちゃだった。
でも人生で初めてもらった賞だから正直なところはうれしかった。

その後、ぼくは中学でも俳句の校内コンテストで賞を取ることとなる。
母からも「リョーマは小説とかの長い文章より俳句とかの短いやつのほうが向いてるんじゃない?」って言われたこともある。
だから僕は今でも俳句のコンテストにちょくちょく応募しているし、このアルファポリスでも「5・7・5できごねちゃん!」という俳句・川柳がテーマの作品を書いている。

自分はオリジナルの物語を作る道に行きたい、という思いがありつつも、短い文章の道があってるかもしれないと思うこともある。
どっちが本当にあっているかがわかるまで、僕は物語を書き続けるし、一句詠み続ける。
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