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記録ノ23 去りし者たちの記憶

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2学期が始まってしばらくして、僕らのクラスに悲しいニュースが相次いだ。
転校だ。2学期中になんと3人のもクラスメイトが僕たちのクラスを去ることとなってしまった。
入学以来ずっと一緒だった仲間がいなくなってしまい、クラスには悲しいムードが漂い続けた。
今回はこの3人との思い出を語るとしよう。

1人目はリョータ、彼は一言でいうとやんちゃな問題児であった。
ズル休みの常習犯で、学校を休んだ日に普通に近所の公園で遊んでいる姿をクラスメイト達にたびたび目撃されていた。
そのことを聞いた先生からもクラス全員に「リョータ君が休んだ日に公園で遊んでいるのを見かけたら注意するように」と呼びかけたほどだった。僕も一度彼を注意したことがある。
クラスの集合写真を撮るときも彼がふざけて下を向いていたため、僕らのクラスだけ後日撮り直しとなった。
相変わらずズル休みするもんだからなかなか取り直しの機会も取れず先生も彼にはおかんむりであった。
そんな彼も決して悪いだけのヤツじゃない。
僕たちクラスメイトにコンビニでアイスをおごってくれたことがあったからだ。
それが彼との一番の思い出だ。子供だけでコンビニにはいるのも初めての経験だった。
そんな彼は3人の中で一番乗りでの転校。それも事前の連絡もなく突然の話だった。当然クラス中「えっ…」という感じだった。
転校が知らされるまでの数日間も彼はずる休みしていた。

2人目はミウ、彼女は僕と同じ幼稚園であったが、幼稚園の時は別のクラスであったため面識はなかった。僕も卒園アルバムを見返して同じ幼稚園だったことを知った。
彼女は作文で賞を取るほどの優等生だった。
彼女は僕と家が近く、よく僕の家に遊びに来てたし、僕も彼女の家に何回か足を運んでいる。
彼女が欠席したとき、彼女の家にプリントを届けたこともある。
彼女が僕の家に来た時僕の家にあるとある漫画を好んで読んでいた。
それは何かというと「でんぢゃらすじーさん」だ。
作文で賞を取るような優等生女子があのうんこちんこのオンパレードの漫画を見て大爆笑していた。
そのことを知った僕の父は僕に「女の子にじーさんを読ませるとは何事だ」と怒った(本気で怒ったわけじゃないが)が、彼女自ら読んだと事情を説明して誤解を解いた。
彼女の家での思い出は、彼女の部屋の家庭用スクリーンでしんちゃんの映画を見たことである。

3人目はカリン。3人の中では一番親しく、一番よく遊んだ。
例の焼肉パーティにも参加している。
彼女は年数回の土曜参観や終業式などの特別な日にはよくチャイナドレス姿で登校していた。
その姿を見た僕たち男子数人からは「アブチャン」とからかわれていた。
ご存じのない方のために説明すると「アブチャン」は当時の人気番組「はねるのトびら」の名物コーナー「回転SUSHI」において北陽の虻ちゃんが演じていたチャイナドレス姿のキャラである。
当時の僕たちにとってチャイナドレス=アブチャンであった。
もちろん女子たちはそのたびに僕ら男子を怒っていた。
彼女は3人の中で最後に転校していったが、転校の話が最初に出たのは7月ごろ。
3人の中で一番乗りの発表であった。

3人目のカリンが転校したのが10月上旬。
クラスにしばらく喪失感が漂い続けるが、1か月に明るいニュースが舞い込んでくる。
その話は次回…



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