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記録ノ17 サイクリングアドベンチャー

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幼稚園編でもお話ししたが、僕は補助輪なし自転車に乗れない日々が長らく続いていた。
それは小学校入学後も続いていた。
休みの日などに近所の公園で何度練習してもバランスを保つことができない。ブレーキもなかなかきかない、というかブレーキがきく前にいつも倒れてしまっていた。
そして自転車の練習の時は親の目が厳しく感じてしまう。多少熱が入ってたとはいえそこまで厳しいことは言ってなかったのだがよっぽど辛くてそう感じてしまったのだろう。

しかしまわりの友達は1年生の時点ですでに自転車を体得。周りで唯一乗れない僕は友達と遊びに行くときには自転車に乗る友だちの後を一生懸命徒歩で追いかけていた。
それを見た両親は「それがかわいそうでどうしても自転車にのれるようにしてあげたかった」と話していた。だからこそ思わず熱が入ってしまったのだろう。

2年生の4月下旬のある休みの日、またまた僕は両親に連れられ自転車の特訓。
何度やってもバランスが取れなかったが、何回も繰り返しトライしていくうちにだんだんコツをつかんできた。
そして特訓開始から1時間…
ついに僕は成し遂げた。ふらふらながらもしっかり前へ進め、しっかりブレーキして転ばずに自転車を降りることができた。
初めて乗ってから足掛け約2年。ついに僕は補助輪なし自転車という新たなツールを会得した。
まるで自分に翼が生えたような気分であった。

それから数日後の放課後、僕はまだ完璧でないながらも家に遊びに来ていた友達と一緒に自転車で出かけた。
両親は心配したが、それをよそに自転車に乗れて浮かれ気分の僕は外へと飛び出していった。
その途中、やはりというかまた転んでしまい、さらに後ろからクラクションが…
なんとのろのろながらトラックが迫っていたのだ。
僕は自転車を引いて命からがら歩道に入り、何とか難を逃れた。
ちょうどそのころ心配してくれていた別の友達が「ダメじゃないの!」と言われた。
完璧に乗れるようになるにはもう少し時間を要した。


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