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第四章 穏やかな生活の先に

奴隷の一日

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 ドギマギしながらも眠りについた諒太。かといって、色々あったせいか疲れていたのだろう。朝まで一度も目覚めることはなかった。

「リョウ様! リョウ様!」
 寝ぼけ眼に映り込む美女。加えて仄かに甘い匂いが鼻腔をくすぐる。
 諒太は身体を揺さぶられ、目覚めを急かされていた。

「ロークアット……?」
「はい! わたくしです!」
「朝から元気一杯だな……って寝間着かよ!?」
 一度に目が覚めてしまう。シルク地の上質な寝間着姿は身体のラインに密着し、女性免疫不足の諒太が直視できるものではなかった。

「昨晩は直ぐに眠られたようですし、寝間着姿もお見せしようかと……」
「そんな気遣いはいらん。それにロークアットの寝間着姿くらい見たことあるし!」
「はぁ? リョウ様はわたくしの寝室に初めて来たはずでしょう?」
 思わず口を滑らせてしまった。そういえば、あれは世界線が異なる話だ。現状の彼女が知るはずもないことである。

 小首を傾げるロークアット。回答など見つからなかったはずが、彼女は諒太に言葉を投げていた。
「リョウ様、少しばかり気になることがございます。お聞かせ願いませんか?」
 真っ直ぐに見つめられると顔中が紅潮してしまう。ただでさえ、彼女はあられもない格好なのだ。寝たままでは広く空いた胸元が気になってしまうので、諒太はロークアットを手で制して身体を起こしている。

「何が聞きたい?」
 ロークアットが感付いているのなら隠す必要はない。ただし、諒太の説明を彼女が納得できるかどうかは別の話だ。

「いえ、不思議に思っていたのです。記憶にない貸し付けがあったり、わたくしのスカーフをリョウ様が持っていたりと……」
 この度の発言が駄目押しになったのだろう。ロークアットが知らない現実。三つも重なっては疑問を覚えるのも仕方がない。

「どこから説明していいやら。初めに言っておくけど、恐らく君は理解できない。また俺がおかしくなったわけでもないから……」
 頷くロークアットに諒太は語り始める。どうしようもなく悲惨な世界線が存在したことについて。

「実をいうと俺は異なる世界線からやって来たんだ。ああいや、戻ってきたというべきか」
 諒太自身もまだ結論を得ていない。今現状の世界線が望んだ世界であることだけしか。よって思案しながらの話となる。

「そこは最悪な世界だった。救ったはずの人が失われているだけでなく、その世界ではアクラスフィア王国とスバウメシア聖王国が戦争を始めていたんだ……」
 ロークアットは絶句している。にわかに信じられる話ではなかっただろうに、真面目に語る諒太が冗談を話しているとも思えなかったのだろう。

「俺は戦争を止めようと思った。だから君を頼ったんだ。けれど、その世界線で俺たちは出会っていなかった。戦争状態にある背景のせいで、サンテクトでの出会いがなかったことになっていたんだよ……」
 何度も首を振るロークアット。やはり彼女には理解できない話のよう。戦争状態もさることながら、記憶にある出会いの場面がなかったなんてことは……。

「まあでも、あの世界線の君は俺を信じてくれた。何しろ俺は君がくれた誓いのチョーカーを持っていたからね。騙されて貰ったこれは、とても役に立ったよ」
 少しばかり緊張を和らげる冗談に、ロークアットはクスリと笑う。確かに彼女は青色の宝石を抱くチョーカーを手渡している。また、それが役に立ったのなら彼女は本望だった。

「騙したは酷くないですか? 普通に念話が使えますし……」
「まあそうなんだが、異なる世界線のロークアットは君が告白したのかと聞いてきたぞ?」
 諒太の返しにロークアットは顔を赤らめる。そのような話は一度もしたことがない。だから彼女の気持ちは秘めたる想いのままだ。

「リョ、リョウ様はどうお答えしたのでしょう……?」
「いや、念話に使う魔道具だと聞いただけだと返したら笑っていたよ」
「そ、そうでしたか。なるほどです……」
 ロークアットをからかうのは割と面白かった。寝間着姿でからかわれた仕返しには十分であろう。

「まあそれで俺はロークアットの助力を得た。世界線を戻すために協力してもらったんだよ。その過程で俺は君に三百万ナールの借金を背負った。だから借金について君は知らないし、彼女にもらったスカーフについても記憶がないんだ……」
 割と端折っていたけれど、これくらいが丁度いい。異世界線の彼女が少しばかり積極的であったことは伏せておくべきである。あの思い出は諒太の中にだけ存在すればいいはずだ。

「リョウ様は世界線の移行に左右されないということでしょうか?」
 やはりロークアットは鋭いと思う。当然の疑問であるのだが、わけの分からぬ諒太の話を既に消化したかのよう。どうして諒太だけが影響を受けていないのかと口にしている。

「俺はセイクリッド神によって選定されていたからだろうな。世界の改変は俺に影響を与えないようだ。おかげで踏み倒そうとしていた借金が丸々残ってしまった……」
 笑い話で締めくくる。時空を超える力。間違いなく諒太にはあったけれど、ロークアットに詳しく説明する必要はなかった。

「そういうことでしたか。まあでも三百万だなんて何に使ったのですか? 流石に浪費が過ぎるのでは?」
「それは異なる君にも言われた。まあ世界を救う必要経費だ。夜中にこの部屋へと転移して、君が寝ぼけてたのをいいことに借りたんだが、しっかりと釘をさされてしまったな……」
 まだ鮮明に覚えている。薄暗い部屋にいた美しいエルフの姿を。思わず見とれてしまうほどに艶やかな彼女のことは決して忘れない。

「わたくしも会ってみたいですね……」
「こんな与太話を信じるのか?」
 諒太としては納得することまで期待していなかった。話したところで混乱するだけであろうと。

「冗談ではないと思います。リョウ様に債務が残っていたからこそ、わたくしのステータスに債権が加えられた。またその過程は現状との矛盾を発生させたから、その記憶は書き加えられなかったはず。真相はそんなところではないでしょうか?」
 流石はロークアットだと思う。まず間違いなく彼女の推測通りだ。諒太を除く矛盾は全て排除されている。あの世界線にあった出来事はセイクリッド世界の誰も覚えていない。

「あ、そういやリナンシーは異世界線を覚えてたな……」
「ええ!? リナンシー様、ズルい……、ああいえ、どうしてリナンシー様だけ?」
 思わず本音が漏れてしまうが、直ぐさまロークアットは苦笑いをして取り繕う。残念妖精とはいえリナンシーは神に次ぐ存在なのだ。不敬があってはならないらしい。

「俺にはリナンシーの加護があるからな。どうも魂レベルで繋がっているようだ。気持ちの悪いことなんだが……」
「そういえばリナンシー様はどうされたのでしょう? このような状況では真っ先に文句を口にしたでしょうに」
 諒太はリナンシーの現状をロークアットに伝える。彼女が魔力を使いすぎて倒れていること。完全にグロッキー状態であることを。

「なるほど! それで邪魔……ああいえ、お姿が見られないのですね!」
 喜々としてロークアットが話す。どうも尊敬する傍ら、彼女もリナンシーの存在を疎ましく感じているらしい。

「先日会って来たけど、ありゃ当分は動けないだろうな……」
「なるほど、なるほど! それは良い塩梅……いえ、お気の毒ですわ。それで本日の予定なのですけれど……」
 まだ着替えてもいないというのに、ロークアットは本日の予定を話し出す。とはいえ、彼女はご主人様である。奴隷の諒太は従うしかない。

 笑顔の彼女が何を口にするのか戦々恐々であったけれど、随分と世話になった人の要求なのだ。できる限り呑もうと諒太は考えている。

「午前中は昨日話した通りにマヌカハニー衛士隊で訓練をお願いしますね。それで昼からなんですけれど……」
 午前中の仕事は聞いていたままだ。恐らく続けられる話こそが本題であろう。ロークアットは満面の笑みを浮かべていた。

 流石に躊躇ってしまうけれど、諒太は可能な限り主人のために働く存在だ。人権に関わる問題以外は引き受けなければならない。

「城下を散歩します!」
 身構えてしまうような笑顔から純朴な話が飛び出す。てっきり無理難題を押し付けるのかと思いきや、意外にもデートという言葉ですらなかった。

「そういや奥手だったな……」
「はい?」
 咄嗟に漏れてしまった言葉に反応され、諒太は苦笑い。とはいえ押しが強くないのは有り難いことである。何しろ諒太はこの世界で恋愛などできないのだから。

「ところでロークアット、俺は自由時間に少しでも借金を返済したいんだが……」
 任務が午前中だけで良いのなら、空いた時間は金策に費やしたい。ログインできない状態が続けば警察沙汰は避けられないのだ。何としてでも諒太は連休中に借金を完済しなくてはならない。

「二百万ナールですよ? 今月分の百万ナールは明日お渡ししますが、それでもあと百万もあります。来月末まで待っていただけたら完済ですけれど……」
 オークションの落札額が一千万だったため、諒太の給金は百万ナール。今月は二日しかなかったけれど、ロークアットは日割りなどせず支払ってくれるという。

「それは助かるんだけど、俺は毎日天界へ戻らなきゃならないんだ。十日くらいは仕方ないけれど、報告を怠るわけにはならない」
 今となっては夏美の冗談が都合良くなっている。天界での報告があることにすれば、早く戻らなければならない理由となった。

「ああ、そうでしたね。天界も厳しいのですね? もしかしてお父様もその都度戻られていたのでしょうか?」
「もちろん。就寝時間には戻っていたはず。数日くらいは留まることもあるけれど、報告は義務だからね」
「ということは報告義務を怠るとリョウ様は神様に怒られてしまうのでしょうか?」
「そういうことだ。程度が酷いと俺はセイクリッド世界に戻れなくなってしまうだろう」
 我ながら良い言い訳だと思う。いちご大福がセイクリッド世界に戻れない理由を彼女は既に理解している。よってロークアットは義務だという世界間の行き来を咎めるなんてできないはずだ。

「そういうことでしたら仕方ありません。神様にも色々あるのですね? セイクリッド神により決められた掟が天界の神様を困らせてしまうなんて……」
「そ、そうなんだ! 色々あんだよ!」
 簡単に信じてしまったロークアットには罪悪感を覚えるけれど、諒太が日常を捨てきれないのは事実だ。よって、その嘘を突き通すだけである。

「朝食を取ってから、わたくしがマヌカハニー衛士隊の詰め所にご案内いたします。着替えようと思いますので、リョウ様はその……」
「ああすまん! 直ぐに出ていくよ! 俺は着替える必要がねぇし!」
 やはり彼女は消極的ロークアットだ。同じ部屋で着替えだしてしまう積極的な彼女とは異なる存在である。

 慌てて部屋を出て、諒太はロークアットを待つ。以前もそうであったが、彼女はメイドをつけていない。洋服選びも着付けも自分自身でしてしまうようだ。
「お待たせ致しました。それでは朝食に……」
 正直に身分が奴隷であるとは思えなかった。今までと同じかそれ以上の待遇。王女殿下だけでなく、女王陛下と同じテーブルで諒太は朝食を取ったのだ。給金も百万ナールであるし、今のところ奴隷らしいことは一つとして存在しない。

 朝食のあとは聞いていたように、マヌカハニー衛士隊の詰め所へと向かう。王女殿下自ら紹介したとあって、兵たちは人族である諒太に敬意を表している。直立不動で緊張さえしているようだ。

「リョウ隊長、どうぞよろしくお願いいたします!」
 これまで部隊を取り纏めていたキウカムが敬礼をしていった。何ともむず痒い感じである。慣れない軍隊式の挨拶に諒太は苦笑いを返すしかない。

「ああ、俺は奴隷だし、敬語なんて必要ないぞ? 気楽に接して……」
「駄目です! リョウ様は世界を救う対価として奴隷に落ちただけ。勇者様にぞんざいな扱いなどあってはなりません!」
 即座にロークアットが口を挟む。諒太としては友達のような対応を望んでいたのだが、生憎と主人はそれを許さない。

「まあご主人様がそう仰るから、キウカムは申し訳ないが今のまま接してくれ」
「元よりそのつもりであります!」
 詰め所にいたマヌカハニー衛士隊は五百人。地方には他にも衛士隊が配備されているらしいが、エクシアーノ駐在の兵はこれで全てだという。

 早速と諒太は手合わせしてみることに。大盾の使い方だけでなく剣術指南も請け負っていたのだ。
 濃密な三時間となっていた。恐らくは懐疑的であった兵たちも諒太の実力を把握できたはず。誰も一撃を与えられないどころか、息さえ切らさぬ諒太が一般的な人族とは異なること。王女殿下が話すように勇者なのだろうと。

「本日はこれまで。明日は金剛の盾について話をしよう。後天的にスキルを得られる者がいるかもしれない」
 諒太の話に兵たちが湧く。それは誰も考えていないことなのだ。スキルの後天的発現は神の奇跡ともいえる事象であるのだから。

 午後も兵たちは自主訓練があったけれど、諒太はここでお役御免である。午後は自由時間であり、ロークアットとデートの予定が入っていた。
 昼食を王城で済ませ、二人はエクシアーノへと向かう。心なし弾むようなロークアットは何だか満願叶ったかのような表情である。

 急がねばならぬ諒太であったものの、彼女への恩返しも必要だと思う。だからこそロークアットの好きにしてもらおうと考えていた……。
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