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最終章 世界に光を

愛をください

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 三人の同行を許可した私は用意されたゴンドラへと乗り込みます。

 とても長い五時間となっていました。とりあえずリーフメルの住民たちが避難できていたら良いのですけれど。

「何だか盛り上がってきたな! 再びアナのドラゴン退治が見られるとか思わなかった!」

 一人だけ違う未来を見ている人がいるね……。

 それは前世の旦那様であり、今世でも婚約者になるかもしれない人です。相変わらず暢気な性格をしています。

「ルーク、言っとくけど黒竜は火竜みたいな雑魚じゃないからね?」

「火竜が雑魚とか俺の婚約者は最高すぎるな! モルディンもそう思うだろ?」

「まだ決まってないでしょ? 議事会すら開かれていないのだから」

 もう直ぐ十八歳になるというのに、彼はまだ格好いい女性が好きみたいです。

 本当に呆れちゃうわ。とはいえ、ルークのおかげで妙な緊張感が解れています。

 このあとはリラックスした状態でいられました。


 五時間が経過し、颯爽とリーフメルに降りたった私たち。

 しかしながら、どうしてかそこで待っていたのはセシルでした。

「殿下、まだ避難していないのですか!?」

 確かに住民たちを避難させるよう頼んだはず。

 けれど、セシルがいる事実は私の申し出が受諾されなかったことを意味します。

「僕が残っただけですよ。貴方様が一人で背負うことのないように。僕には何もできませんが、見守ろうと決めたのです」

「では必ず距離を取っていてください。一応は勝算がありますので……」

「アナ、すげぇぇっ! 格好いいよ!」

 えっと、黙っててくれないかしら? せっかくキメようと考えていたのに。

 私は道中のゴンドラ内で確認しています。アンジェラの日記にあった封印式。ちゃんと光の次元に固定する文言が記されていました。

(アンジェラも討伐を試みたのだから、当然よね……)

 それは魔王誕生を加速させる諸刃の剣でしたが、討伐方法がそれしかないのであればしょうがないね。

「ああ、そうだ……。ねぇ、ルーク……」

 ここで私はルークに話しかける。作戦の一環として。

「な、なんだ? 俺は黒竜とか倒せねぇぞ?」

「分かってるわよ、そんなこと……」

 貴方がいたから頑張れたの。

 貴方がいない世界は真っ暗だった。

 貴方が私を照らしてくれなければ、今もまだ愛の泉の奥底で、もがき苦しんでいたわ。

 これから先もそう。

 だから私を照らして。

 私が迷わぬように、進むべき道に灯火を。

 真っ直ぐに歩めるように、貴方の輝きで照らし出して欲しい。

「ねぇ、愛を囁いてよ……」
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