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第十一章 謀略と憎悪の大地
やるべきこと
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新年早々の授爵式が終わり、私は所領であるエスフォレスト地方の主要都市クルセイドへ赴く計画を立てています。
「困ったなぁ。貴院長選に出るのなら、三月まで動けないわ……」
できること全てを成す。
少しでも早くクルセイドの住民に私が領主であることを知らせたいと考えていますが、禁書庫での閲覧許可を目指す私は貴院長選をスルーできずにいます。
もう私はルークしか見ていないのです。
それはつまりセシルの枠が空くことでありまして、そこにエリカが収まる可能性は少なからずありました。
「古代魔法は禁書扱いでもおかしくない。何かしら、情報が得られるはず」
世界線を動かすのであれば、やはり禁書庫の閲覧権は必須。この世界線に入ったのは私の責任であり、そもそも停滞する世界を動かすことは私の使命でもあるのですから。
「暴動とか起きなきゃいいけど……」
ただでさえ十七歳の少女が領主です。
少なからず不満に感じている住民がいるはずで、姿すら見せないなんて許される話じゃないような気がする。
「貴院長選に出馬するのは私の使命だ……」
こうなると新年早々の授爵式はタイミングが悪いと思えてなりません。
所領を得るのなら、延期してもらうべきであったかと思います。
「ま、しょうがない。ペガサスで往復する手もあるし……」
ここは髭に泣きついてみよう。
ランカスタ公爵家ならペガサスを持っているし、ペガサスであれば二日あれば視察をして戻ってこれるのですから。
「アナ、入るわよ?」
自室で色々と思案していると、イセリナが入ってきました。
「入ってから、聞くのはどうなの?」
「いいじゃない。ここはワタクシの家なんだもの」
それを言われるとぐうの音も出ないわ。
私は単に居候。家主の気分次第でどうとでもなる存在でしかない。
「じゃあ、何の用? これでも私は忙しいのだけど?」
「ワタクシは暇なのよ。だから相手をしなさい」
えっと、私は忙しいっていったよね? 暇人の相手をしている時間なんてないっての。
「昼寝でもしてなさいよ……」
「お昼寝から起きたところですの!」
どうしようもないな、この人……。
夕飯まで眠っててくれたら助かったのに、変な時間に目覚めちゃうなんて最悪だわ。
「アナは何をしていたの?」
「いや、クルセイドに顔見せにいかなきゃと思ってね」
「ああ、アナの所領でしたわね。では今から行きましょうか」
「いやいや、流石に急すぎるよ……」
私だって予定くらいある。
それに現地に連絡もせずに向かうなんて非常識すぎるわ。
「そういえば、北部で当年ワインの瓶詰めが始まったとお父様が話しておられましたね……」
「イセリナ、ペガサスを用意して!」
私は掌を返しています。
別に飲んだくれるつもりはないのですが、領主として新酒の品質を確認しておかなきゃ。
「現金ですわねぇ。王城のペガサスを借りられるかしら?」
ランカスタ公爵家の別邸にペガサスはおりません。従ってイセリナは王城のペガサスを借り受けるように話します。
「えっと、大丈夫なの?」
「ワタクシは第一王子殿下の婚約者ですわ! クロでもシロだと言い張ってみせます!」
稀少なペガサスと言えども、王城には巨大なペガサスの馬房がありますので、借りるくらいはできるかもね。
私たちは直ぐさま王城へと向かいました。イセリナだけでなく、今や私も顔パスです。
「ペガサスの管理って、やっぱ騎士団管轄よね……」
馬房に向かったとして許可がなければ借りられません。恐らく責任者はレグス近衛騎士団長か、彼以上の存在であるはず。
しかしながら、彼はルークの側付騎士。急激にテンションが下がったのは語るまでもないでしょう。
躊躇する私にイセリナは笑みを浮かべて言いました。
レグス団長の居場所を言い当てるかのように。
「アナ、王宮殿へ向かいますわよ!」
「困ったなぁ。貴院長選に出るのなら、三月まで動けないわ……」
できること全てを成す。
少しでも早くクルセイドの住民に私が領主であることを知らせたいと考えていますが、禁書庫での閲覧許可を目指す私は貴院長選をスルーできずにいます。
もう私はルークしか見ていないのです。
それはつまりセシルの枠が空くことでありまして、そこにエリカが収まる可能性は少なからずありました。
「古代魔法は禁書扱いでもおかしくない。何かしら、情報が得られるはず」
世界線を動かすのであれば、やはり禁書庫の閲覧権は必須。この世界線に入ったのは私の責任であり、そもそも停滞する世界を動かすことは私の使命でもあるのですから。
「暴動とか起きなきゃいいけど……」
ただでさえ十七歳の少女が領主です。
少なからず不満に感じている住民がいるはずで、姿すら見せないなんて許される話じゃないような気がする。
「貴院長選に出馬するのは私の使命だ……」
こうなると新年早々の授爵式はタイミングが悪いと思えてなりません。
所領を得るのなら、延期してもらうべきであったかと思います。
「ま、しょうがない。ペガサスで往復する手もあるし……」
ここは髭に泣きついてみよう。
ランカスタ公爵家ならペガサスを持っているし、ペガサスであれば二日あれば視察をして戻ってこれるのですから。
「アナ、入るわよ?」
自室で色々と思案していると、イセリナが入ってきました。
「入ってから、聞くのはどうなの?」
「いいじゃない。ここはワタクシの家なんだもの」
それを言われるとぐうの音も出ないわ。
私は単に居候。家主の気分次第でどうとでもなる存在でしかない。
「じゃあ、何の用? これでも私は忙しいのだけど?」
「ワタクシは暇なのよ。だから相手をしなさい」
えっと、私は忙しいっていったよね? 暇人の相手をしている時間なんてないっての。
「昼寝でもしてなさいよ……」
「お昼寝から起きたところですの!」
どうしようもないな、この人……。
夕飯まで眠っててくれたら助かったのに、変な時間に目覚めちゃうなんて最悪だわ。
「アナは何をしていたの?」
「いや、クルセイドに顔見せにいかなきゃと思ってね」
「ああ、アナの所領でしたわね。では今から行きましょうか」
「いやいや、流石に急すぎるよ……」
私だって予定くらいある。
それに現地に連絡もせずに向かうなんて非常識すぎるわ。
「そういえば、北部で当年ワインの瓶詰めが始まったとお父様が話しておられましたね……」
「イセリナ、ペガサスを用意して!」
私は掌を返しています。
別に飲んだくれるつもりはないのですが、領主として新酒の品質を確認しておかなきゃ。
「現金ですわねぇ。王城のペガサスを借りられるかしら?」
ランカスタ公爵家の別邸にペガサスはおりません。従ってイセリナは王城のペガサスを借り受けるように話します。
「えっと、大丈夫なの?」
「ワタクシは第一王子殿下の婚約者ですわ! クロでもシロだと言い張ってみせます!」
稀少なペガサスと言えども、王城には巨大なペガサスの馬房がありますので、借りるくらいはできるかもね。
私たちは直ぐさま王城へと向かいました。イセリナだけでなく、今や私も顔パスです。
「ペガサスの管理って、やっぱ騎士団管轄よね……」
馬房に向かったとして許可がなければ借りられません。恐らく責任者はレグス近衛騎士団長か、彼以上の存在であるはず。
しかしながら、彼はルークの側付騎士。急激にテンションが下がったのは語るまでもないでしょう。
躊躇する私にイセリナは笑みを浮かべて言いました。
レグス団長の居場所を言い当てるかのように。
「アナ、王宮殿へ向かいますわよ!」
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