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第十章 闇夜に咲く胡蝶蘭
夜会の裏側
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貴族院の卒院式が行われていた。
王国の未来を支える若者たちが厳かな雰囲気の中、巣立っていく。
ガゼル王から一人ずつ修業証を受け取り、優秀な成績を収めたものには、この場で役職が与えられたりもする。
全員が修業証書を受け取ったあとは解散となるのだが、慣例として行われている夜会が王城にて催されることになっていた。
開催場所はソレスティア王城内でも最も美しいとされるノブレスガーデン。白亜石を贅沢に使った純白のパーティー会場は胡蝶蘭の館と呼ばれている。
建物の周囲に植わった胡蝶蘭を見渡せる広大なテラスが特等席であり、テラスは慣例として王家や成績優秀者が踊る場所となっていた。
アルバート・ゼファー・クレアフィールはいの一番に会場入りしている。
「アルバート貴院長、テラスの飾り付けが終わりました」
「ああ、助かる。私はこの夜会で誰よりも目立つ予定だ。ガゼル王の目に留まり、側近として働く」
実をいうとアルバートは近衛騎士団入りが決まっていたものの、彼自身はその待遇を気に入っていない。
国政に加わるため、この夜会を利用しようとしていた。各諸侯から注目を浴び、幅広い支持を取り付けられるようにと。
「私はシャルロット殿下のお相手として、認められなければならない」
「アルバート様のパートナーはアナスタシア・スカーレットでしたよね? 彼女はかなりの誘いを受けたとか。もうその事実だけで、アルバート様は大注目ですよ!」
アルバートはアナスタシアから了承を得られたことを公言していた。それも全て王家の面々に認めてもらうためだ。
「あの女の求心力を我がものとする。私は公爵家という枠に収まらん。更なる上を目指すのみ」
自信満々にアルバート。
彼はパートナーに選んだアナスタシアの人気をそのまま手に入れようとしているらしい。
「エスコートはされないのでしょうか?」
「それは愚策だぞ? アナスタシアが会場に現れたのなら、万雷の拍手が送られるだろう。彼女が注目を浴びたところで、私が手を取るのだ。その方がずっと印象的だろう?」
アルバートの計画ではエスコートをして会場入りするよりも、彼女が注目を浴びたあとで手を取る方が効果的らしい。
アナスタシアが選んだのは自分であることを会場にいる貴族たちに印象付けようとしていた。
「さあ、始めようか。大扉を開け。楽団にも演奏の指示をだせ」
いよいよ胡蝶蘭の夜会が始まろうとしている。
アルバートは不適な笑みを浮かべながら、声高に言うのだった。
「今宵、世界が一変するだろう!」
王国の未来を支える若者たちが厳かな雰囲気の中、巣立っていく。
ガゼル王から一人ずつ修業証を受け取り、優秀な成績を収めたものには、この場で役職が与えられたりもする。
全員が修業証書を受け取ったあとは解散となるのだが、慣例として行われている夜会が王城にて催されることになっていた。
開催場所はソレスティア王城内でも最も美しいとされるノブレスガーデン。白亜石を贅沢に使った純白のパーティー会場は胡蝶蘭の館と呼ばれている。
建物の周囲に植わった胡蝶蘭を見渡せる広大なテラスが特等席であり、テラスは慣例として王家や成績優秀者が踊る場所となっていた。
アルバート・ゼファー・クレアフィールはいの一番に会場入りしている。
「アルバート貴院長、テラスの飾り付けが終わりました」
「ああ、助かる。私はこの夜会で誰よりも目立つ予定だ。ガゼル王の目に留まり、側近として働く」
実をいうとアルバートは近衛騎士団入りが決まっていたものの、彼自身はその待遇を気に入っていない。
国政に加わるため、この夜会を利用しようとしていた。各諸侯から注目を浴び、幅広い支持を取り付けられるようにと。
「私はシャルロット殿下のお相手として、認められなければならない」
「アルバート様のパートナーはアナスタシア・スカーレットでしたよね? 彼女はかなりの誘いを受けたとか。もうその事実だけで、アルバート様は大注目ですよ!」
アルバートはアナスタシアから了承を得られたことを公言していた。それも全て王家の面々に認めてもらうためだ。
「あの女の求心力を我がものとする。私は公爵家という枠に収まらん。更なる上を目指すのみ」
自信満々にアルバート。
彼はパートナーに選んだアナスタシアの人気をそのまま手に入れようとしているらしい。
「エスコートはされないのでしょうか?」
「それは愚策だぞ? アナスタシアが会場に現れたのなら、万雷の拍手が送られるだろう。彼女が注目を浴びたところで、私が手を取るのだ。その方がずっと印象的だろう?」
アルバートの計画ではエスコートをして会場入りするよりも、彼女が注目を浴びたあとで手を取る方が効果的らしい。
アナスタシアが選んだのは自分であることを会場にいる貴族たちに印象付けようとしていた。
「さあ、始めようか。大扉を開け。楽団にも演奏の指示をだせ」
いよいよ胡蝶蘭の夜会が始まろうとしている。
アルバートは不適な笑みを浮かべながら、声高に言うのだった。
「今宵、世界が一変するだろう!」
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