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第七章 光が射す方角

天命を口にして

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 セシルが貴賓室で待っているというので、私は着替えを済ませました。

 こんなときイセリナが乱入してくれると助かるのですが、生憎と彼女は今朝方からランカスタ公爵邸に行っております。

 自室を出ると既にカルロの姿はありません。待っていたのかと思えば、先に貴賓室へと向かっているみたい。

「はぁ、何て一日なの……」

 ゆっくり歩いたとしても、階段を下りて直ぐの部屋です。

 数分と要せず、私は貴賓室の扉をノックしています。

「入れ」

 偉そうなカルロの声。本日も不機嫌さが全開のようです。

 静かに扉を開き、私は礼をする。修道服にしようかと思いましたが、私は真っ黒なドレスのまま。

 沈みきった気持ちを表現するかのように、今は何も羽織っていませんでした。

「何用でしょうか?」

 立ったまま聞く。できれば長話は避けたいと。このまま立ち去りたいくらいなのですから。

「座れ」

 一々単語で話されると流石に苛っとします。

 まあですが、座れと命じられてしまえば座るしかありません。

 私は悩んだ挙げ句、カルロの隣へと着席。正解かどうかは分かりませんけれど、セシルの隣だけはないと分かっていたから。

「やあ、ルイ様。先ほどは失礼しました。僕は謝罪とお願いがあって参上しております」

「お気遣いなく。私の想いは語ったまま。決して実らぬ想いを抱いているのです」

 恐らく私はカルロに怒られることでしょう。

 自身の気持ちをセシルに伝えたこと。不機嫌そうな彼が知らないはずがないのです。

「実らぬ想いですか……。失礼ですが、ルイ様は実らせようとしませんでしたでしょ?」

「言ったではないですか? 私とルーク殿下は結ばれてはならないのです」

 カルロは静観している。ならば私は告げてしまおう。

 私が抱える闇の全てを。誤魔化し続けるのに疲れた私は全てをさらけ出す。

「今からお話しすることは信じられないかと思います。しかし、それらは全てカルロ殿下にもお伝えしていること。セシル殿下にも分かっていただきとうございます」

 前置きをしたのは私が混乱していると思わせないようにするためです。

「実をいうと、私は女神アマンダの使徒であります。光属性を所有しているのはそのせいです。予知だと口にしていたことは既に知っていたこと。だからこそ、私は飢饉や疫病に対処してこれたのです」

 突拍子もない話にセシルは頷いている。

 カルロも知っている内容であることは疑問を抱かずに聞く要因となっているみたい。

「目的はプロメティア世界の救済です。とある女性が持つ闇属性。闇の因子が原因となり、プロメティアはもう何千年も同じ時間軸を繰り返しています」

 これはカルロも知らない話だ。

 私は自身の存在が何であるのかを二人に伝えようとしています。

「なぜなら、とある女性が持つものは魔王因子。それが発現すれば世界は滅亡します。誕生した魔王によって世界が滅ぼされてしまうからです」

 エリカの名前は出せない。彼女の未来を奪うような話は口が裂けても言えません。

「女神アマンダは滅びの予測が出るたびに時間を巻き戻しています。そこで白羽の矢が立ったのが私なのです。私を世界に送り込み、滅亡を回避させようとしています」

 順追って分かりやすく。二人が混乱しないように。

「私の使命は魔王因子を発現させないこと。基本的に魔王因子は王家の血から発現するのです。従って、私の使命はセントローゼス王家と結ばれる女性を操作することでした」

「ルイ様、ルーク兄様は既に婚約されましたが、そちらはよろしかったのでしょうか?」

 ここで質問が加えられました。

 当然の疑問ですね。今回の婚約について私がどう考えているのか。

 しかし、確固たる返答が私にはある。

 それは愛の女神アマンダが私に願ったことであるのだから。

「ルーク殿下とイセリナの婚約は既定事項です」
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