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第五章 心の在りか
真相は……
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「あら? 実際に来られたではありませんか?」
ニヤリと私が笑うと、一拍おいて髭もまたクックと笑った。
「ふはは! まあ、確かに。儂はまんまと予知の通りに騙されたというわけか?」
「予知には可能性と必ず訪れる未来がございます。閣下のは必ず訪れる未来ですわ。欲の皮という予知でございますの」
私が続けた話に髭は諸手を叩いて喜んでいる。
小娘の話にしては面白かったでしょ? 私としては嫌味まで口にできて最高です。
「それで儂を呼び寄せた理由はなんだ? 予知とやらが関係しているのだろう?」
「当然ですわ。とても複雑な予知。私は世界の安寧を求めております。その中で不穏な動きを察知しました。大国であるセントローゼス王国が内乱に発展しかねないという予知を見てしまったのです」
私は語り始める。
髭を呼び出した理由。世界線をリセットさせないための話を。
「まず最初にイセリナ様が暗殺されます……」
「ちょっと貴方、言うに事欠いて何ですの!?」
イセリナまでいたのは幸いだわ。彼女にも運命を知ってもらわねばなりません。
一年後、貴方は謀略の中心人物となってしまうのですから。
「ご安心を。既に手は打っております。しかし、公爵様のお手をお借りしなければ、世の混乱は避けられません」
とりあえず、イセリナを落ち着かせてから続きを口にする。
「来年に催されるキャサリン・デンバーの誕生パーティー。まさに魔境といいましょうか。あらゆる悪意が渦巻いております。イセリナ様の暗殺を企てた首謀者はリッチモンド公爵です」
私の話に髭は絶句している。
まあそうでしょうね。思い当たる節があるのですから。
「デンバー侯爵家のパーティーに奴は口出ししておるのか?」
「デンバー侯爵は言いなりですからね。ちなみにデンバー侯爵は切り捨てられる要員です。全てを彼になすり付け、リッチモンド公爵は権力を手に入れようとしているのですから」
様々な思惑が隠されたキャサリン・デンバーの誕生パーティー。けれど、最大にして最悪の策を練るのは私だ。
決意を覚悟に変えた私は告げるだけです。
「リッチモンド公爵はルーク王子殿下をも暗殺しようとしております」
「何だと!?」
流石に髭も理解したみたい。
イセリナに関しては完全に私怨。しかし、王子殿下ともなれば意味合いが異なる。
昨今、王城で騒がれている話に乗じているのだと。
「確かにリッチモンドはいの一番にセシル殿下を推すと公言した。あの爺は投票を待つことなく、確定させるつもりか?」
どうやら私が考えていたよりも現実は上手く転がっているみたいね。
権力を欲するがあまり、先んじて動いたのでしょうけれど、それは悪手よ。
何しろ私の術中に嵌まっているのですから。
「ええ、彼はセシル殿下を傀儡として、政治に首を突っ込むつもりですの。無実であるルーク殿下を亡き者にして……」
私はルークに再び光を注ぐの。
聖女として遠く離れたこの地から。
燻る愛を全て謀略に変え、私は貴方を窮地から救い出してあげる。
「ルーク殿下が無実だと? 殿下は火竜の聖女を死地へと追い込んだ張本人だろうが?」
どうやらお気付きでない様子。まあ火竜を肩に乗せていませんし、私の法衣には深いベールがありますので顔が見えませんからね。
だからこそ、私はベールを後ろにして、容姿を露わにしています。
これで分かるはずよ。貴方は火竜退治の折り、私に関する報告書を見ているはずだもの。
「私こそがアナスタシア・スカーレットだからです」
ニヤリと私が笑うと、一拍おいて髭もまたクックと笑った。
「ふはは! まあ、確かに。儂はまんまと予知の通りに騙されたというわけか?」
「予知には可能性と必ず訪れる未来がございます。閣下のは必ず訪れる未来ですわ。欲の皮という予知でございますの」
私が続けた話に髭は諸手を叩いて喜んでいる。
小娘の話にしては面白かったでしょ? 私としては嫌味まで口にできて最高です。
「それで儂を呼び寄せた理由はなんだ? 予知とやらが関係しているのだろう?」
「当然ですわ。とても複雑な予知。私は世界の安寧を求めております。その中で不穏な動きを察知しました。大国であるセントローゼス王国が内乱に発展しかねないという予知を見てしまったのです」
私は語り始める。
髭を呼び出した理由。世界線をリセットさせないための話を。
「まず最初にイセリナ様が暗殺されます……」
「ちょっと貴方、言うに事欠いて何ですの!?」
イセリナまでいたのは幸いだわ。彼女にも運命を知ってもらわねばなりません。
一年後、貴方は謀略の中心人物となってしまうのですから。
「ご安心を。既に手は打っております。しかし、公爵様のお手をお借りしなければ、世の混乱は避けられません」
とりあえず、イセリナを落ち着かせてから続きを口にする。
「来年に催されるキャサリン・デンバーの誕生パーティー。まさに魔境といいましょうか。あらゆる悪意が渦巻いております。イセリナ様の暗殺を企てた首謀者はリッチモンド公爵です」
私の話に髭は絶句している。
まあそうでしょうね。思い当たる節があるのですから。
「デンバー侯爵家のパーティーに奴は口出ししておるのか?」
「デンバー侯爵は言いなりですからね。ちなみにデンバー侯爵は切り捨てられる要員です。全てを彼になすり付け、リッチモンド公爵は権力を手に入れようとしているのですから」
様々な思惑が隠されたキャサリン・デンバーの誕生パーティー。けれど、最大にして最悪の策を練るのは私だ。
決意を覚悟に変えた私は告げるだけです。
「リッチモンド公爵はルーク王子殿下をも暗殺しようとしております」
「何だと!?」
流石に髭も理解したみたい。
イセリナに関しては完全に私怨。しかし、王子殿下ともなれば意味合いが異なる。
昨今、王城で騒がれている話に乗じているのだと。
「確かにリッチモンドはいの一番にセシル殿下を推すと公言した。あの爺は投票を待つことなく、確定させるつもりか?」
どうやら私が考えていたよりも現実は上手く転がっているみたいね。
権力を欲するがあまり、先んじて動いたのでしょうけれど、それは悪手よ。
何しろ私の術中に嵌まっているのですから。
「ええ、彼はセシル殿下を傀儡として、政治に首を突っ込むつもりですの。無実であるルーク殿下を亡き者にして……」
私はルークに再び光を注ぐの。
聖女として遠く離れたこの地から。
燻る愛を全て謀略に変え、私は貴方を窮地から救い出してあげる。
「ルーク殿下が無実だと? 殿下は火竜の聖女を死地へと追い込んだ張本人だろうが?」
どうやらお気付きでない様子。まあ火竜を肩に乗せていませんし、私の法衣には深いベールがありますので顔が見えませんからね。
だからこそ、私はベールを後ろにして、容姿を露わにしています。
これで分かるはずよ。貴方は火竜退治の折り、私に関する報告書を見ているはずだもの。
「私こそがアナスタシア・スカーレットだからです」
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