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第二章 騎士となるために
決断のとき
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全員が早期配備であることを告げられた候補生たち。流石に戸惑いが隠せない。
「西大寺教官、それはどういうことです?」
またも玲奈が代表して答えている。クラスの指定をしていない西大寺の発言は許容できるものを超えていた。
「そのままだ……。前期で全候補生が早期配備される」
「いや、どうしてなのです!? 私は数人だと考えておりましたが?」
玲奈は声を荒らげるように返した。彼女の感覚では十分な訓練期間を必要とする候補生が大多数なのだ。
「実は先ほど本部から通達があってな。急遽、全員を早期配備することにしたらしい。その理由は明確であり、納得せざるを得ないものだ。なぜなら……」
西大寺はその理由を説明できるという。聞いた者全員が納得できるものを。
「マイバラ基地が陥落した――――」
誰もが息を呑む。今朝の段階では予想すら困難な現実に。西大寺が口にしたあとも、否定するように首を振るだけであった。
「残念だが、それは事実だ。緊急的な処置で小平大将が決められたこと。君たちはもう学生だと保護される立場ではなくなったのだよ……」
西大寺も無念に感じているのだろう。節々に混じる溜め息はそう考えるのに疑いはない。
「学校に戻れば、幾ばくもせぬうちに辞令が降りるはずだ。私には諸君らの健闘を祈るしかできない。だが、短い期間であっても、戦術は叩き込めたと考えている。とりあえず、おめでとうと言わせてもらおう……」
国が滅びれば元も子もない。よって西大寺は異議を唱えられなかった。彼にできることは教え子たちを送り出すだけである。
玲奈はもう反論をやめた。いよいよ、聞いていた未来が現実のものになったのだと疑わない。
『平穏は二十年と持ちません――――』
女神マナリスの話。人族が迎える最悪の結末が目の前まで迫ってきていること。
自身の準備は整っている。また期待した一八もまた十分な成長を遂げた。しかし、共和国自体の準備がままならない。天軍と戦うには圧倒的に戦力が不足していたのだ。
ところが、なぜか笑みを浮かべる玲奈。淡々と述べる西大寺に彼女は私見を口にする。
「西大寺教官、了解です。約五ヶ月、お世話になりました。我らは兵団へと配備され、最後まで戦うことを約束しましょう」
玲奈はここまでの感謝を述べ、更には今後の目標について話す。
「我らが前線に立ち、天軍を殲滅すべきときがきたようです……」
流石に同意は得られない。何しろ彼女は段階をすっ飛ばしていたのだから。今まさに共和国の危機であったというのに、大国と化した天軍を殲滅するなんていう話は……。
玲奈も雰囲気を察知していただろうに、彼女は自身の意見を述べるだけであった。
必ずや勝利しましょう――――と。
「西大寺教官、それはどういうことです?」
またも玲奈が代表して答えている。クラスの指定をしていない西大寺の発言は許容できるものを超えていた。
「そのままだ……。前期で全候補生が早期配備される」
「いや、どうしてなのです!? 私は数人だと考えておりましたが?」
玲奈は声を荒らげるように返した。彼女の感覚では十分な訓練期間を必要とする候補生が大多数なのだ。
「実は先ほど本部から通達があってな。急遽、全員を早期配備することにしたらしい。その理由は明確であり、納得せざるを得ないものだ。なぜなら……」
西大寺はその理由を説明できるという。聞いた者全員が納得できるものを。
「マイバラ基地が陥落した――――」
誰もが息を呑む。今朝の段階では予想すら困難な現実に。西大寺が口にしたあとも、否定するように首を振るだけであった。
「残念だが、それは事実だ。緊急的な処置で小平大将が決められたこと。君たちはもう学生だと保護される立場ではなくなったのだよ……」
西大寺も無念に感じているのだろう。節々に混じる溜め息はそう考えるのに疑いはない。
「学校に戻れば、幾ばくもせぬうちに辞令が降りるはずだ。私には諸君らの健闘を祈るしかできない。だが、短い期間であっても、戦術は叩き込めたと考えている。とりあえず、おめでとうと言わせてもらおう……」
国が滅びれば元も子もない。よって西大寺は異議を唱えられなかった。彼にできることは教え子たちを送り出すだけである。
玲奈はもう反論をやめた。いよいよ、聞いていた未来が現実のものになったのだと疑わない。
『平穏は二十年と持ちません――――』
女神マナリスの話。人族が迎える最悪の結末が目の前まで迫ってきていること。
自身の準備は整っている。また期待した一八もまた十分な成長を遂げた。しかし、共和国自体の準備がままならない。天軍と戦うには圧倒的に戦力が不足していたのだ。
ところが、なぜか笑みを浮かべる玲奈。淡々と述べる西大寺に彼女は私見を口にする。
「西大寺教官、了解です。約五ヶ月、お世話になりました。我らは兵団へと配備され、最後まで戦うことを約束しましょう」
玲奈はここまでの感謝を述べ、更には今後の目標について話す。
「我らが前線に立ち、天軍を殲滅すべきときがきたようです……」
流石に同意は得られない。何しろ彼女は段階をすっ飛ばしていたのだから。今まさに共和国の危機であったというのに、大国と化した天軍を殲滅するなんていう話は……。
玲奈も雰囲気を察知していただろうに、彼女は自身の意見を述べるだけであった。
必ずや勝利しましょう――――と。
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