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第一章 転生者二人の高校生活
勝敗の行方
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観衆は固唾を呑んでいた。考えていたよりも激しい攻防に息をつく暇さえない。
「舞子さん、玲奈さんが優勢ですよね……?」
恵美里が聞いた。武道経験もある彼女。素人である舞子に聞いたのは自信が持てなかったからだ。
「少なくとも負けてはいないんじゃないかと思うけど……。玲奈ちゃんは一撃も受けていないし……」
たとえ武道経験があったとしても、双方の戦闘スタイルから有利不利を見極めるのは難しかっただろう。玲奈は手数で勝負しており、一八は一撃にて勝利しようとしていたのだから。
「あっ! ケルちゃん!?」
不意に抱いていた柴犬が腕の中から飛び降りた。捕まえようとするもケルベロスは舞子に構うことなく群衆の中へと消えていってしまう。
舞子は何か不吉な予感を覚えていた。動物が本能によって危機を回避するという行動。今まさにケルベロスが危機を察知したようにしか思えない。何の根拠もなかったけれど、不安を感じずにはいられなかった。
「玲奈ちゃん……」
もう充分だと舞子は思っていた。学園のために戦う彼女には頭が上がらない。この戦いは玲奈にとって利益などなく、断っていたとしても彼女に責任はなかったはず。
祈る舞子と恵美里。もう既に二人は玲奈の無事しか願っていない……。
「舞子さん、玲奈さんが優勢ですよね……?」
恵美里が聞いた。武道経験もある彼女。素人である舞子に聞いたのは自信が持てなかったからだ。
「少なくとも負けてはいないんじゃないかと思うけど……。玲奈ちゃんは一撃も受けていないし……」
たとえ武道経験があったとしても、双方の戦闘スタイルから有利不利を見極めるのは難しかっただろう。玲奈は手数で勝負しており、一八は一撃にて勝利しようとしていたのだから。
「あっ! ケルちゃん!?」
不意に抱いていた柴犬が腕の中から飛び降りた。捕まえようとするもケルベロスは舞子に構うことなく群衆の中へと消えていってしまう。
舞子は何か不吉な予感を覚えていた。動物が本能によって危機を回避するという行動。今まさにケルベロスが危機を察知したようにしか思えない。何の根拠もなかったけれど、不安を感じずにはいられなかった。
「玲奈ちゃん……」
もう充分だと舞子は思っていた。学園のために戦う彼女には頭が上がらない。この戦いは玲奈にとって利益などなく、断っていたとしても彼女に責任はなかったはず。
祈る舞子と恵美里。もう既に二人は玲奈の無事しか願っていない……。
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