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13.ソロショッピング
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バイトが終わり、現在の時刻は8:00である。まだソロルもリオンもログイン状態にはなっていなかったのでプルメリアは買い物に行くことにした。
プルメリアは露店や、店先、ギルドの薬コーナーを見ていきながら、売られている薬の効果を見ていく。販売されている薬は、効果を鑑定をしなくてもステータスメッセージとして表示されるからだ。
これは鑑定の実践でわかったことだが、鑑定したものは鑑定士の任意で鑑定結果を誰にでも見られるようにできるし、公開範囲も指定できるようだ。
プルメリアは、自分で作った薬を鑑定するのに、他のお薬のステータスメッセージを学ぶことは役に立つだろうという考えで見て行った。
その中で、プルメリアは昔懐かしな感じのおもちゃ屋さんを見つけた。
この世界は魔法が発展しているからなのか、1部の魔道具の性能は近代並みかそれ以上だが、中世並の発展レベルのものも多いのだ。
吸い込まれるような心地がしたのでプルメリアは入店することにした。中には色々面白そうなものがあったけれど特に気になるものがあった。
竹の水鉄砲だ。
竹の水鉄砲をみてプルメリアは
(ソロルが、『酸入りのフラスコを投げる…と、フラスコも投擲武器としてなくなるから…不便。でも中身だけかけるには、近づかなきゃだから…』って言ってたけど、水鉄砲なら中身しか無くならないからコスパがいいし、買い直す手間も減るんじゃ?まあ、飛距離は減るだろうけどフラスコからダバーっと中身かけるよりは射程長いよね?)
と考えソロルへのお土産として良いのでは?と思ったのだ。そしてプルメリアは1つ400hの竹の水鉄砲をとりあえず6個買うことにした。
「もしソロルが竹の水鉄砲を上手く使いこなせたら、酸だけで近、中、遠、全ての距離に対応した攻撃が使えるようになるわけでしょ?かっこいい…ソロルの戦術の幅がもっと広くなるよね?」
プルメリアはルンルンしながらお店を出て、そして、自分の調合道具を買うために、ソロルに教えてもらったガラス屋さんに向かった。
ガラス屋さんに向かうと、店の端っこにひっそりと置かれたガラスの杖を発見した。プルメリアはそのガラスの杖に一目惚れをした。ガラスの杖はガラスペンのような見た目で、杖でありながら、動物系モンスターかPVPでなら突き攻撃にも使えそうだ。しかも毛細管現象でペン先に毒を留めおけるから突くと毒ダメージと突刺ダメージが二重になる攻撃が出来る杖になるだろう。
「すみません」
「はい。なんでしょう?」
店の奥に声をかけると気の弱そうなお兄さんが出てきた。
「あの…この杖を売っていただけますか?」
「この杖ですか?」
お兄さんは不思議そうな顔をして聞いてくる。
「はい!私、この杖に一目惚れしちゃったんです。ペン先…じゃなかった、杖の先のところの花の蕾みたいな彫りの美しさもそうだし、杖の棒のところの繊細な彫りもとっても好きです!」
プルメリアは杖に出逢えた興奮から、もはやお兄さんに詰め寄るような勢いで答えた。
「あっ!それからお兄さん…お兄さんにガラス細工の制作依頼を出すとしたらどれくらいのお金がかかりますか?」
「ああ…杖に関しては気に入って貰えて嬉しいです。見た目にこだわって作った結果、性能と値段のバランスが釣り合わず、ガラスだから先もすぐ摩耗するのも相まって、すっかりホコリを被ってしまったので。」
お兄さんはプルメリアのあまりの勢いに目を丸くしながら答える。
「それと…オーダーメイド品の制作依頼にかかる値段ですか?それなら材料費と制作にかかる時間で変わってきますが?見積もりだけでもしていかれますか?」
「え?いいんですか?見積もりします」
「なら、このお店には応接室がありませんので、工房で話を聞くことになってしまいますが…それでも?」
「はい。大丈夫です!」
プルメリアはお兄さんと工房へ行き、見積もりをはじめる
「それで、お嬢さんはどのようなものが欲しいのですか?」
「えっと…簡単に言うとさっきの杖を全長10cmほどに縮小したものが欲しいです。具体的には、先の形状がそのままに2cmくらいになっていて、全長10cmくらいなら胴体の彫りはなくても大丈夫です。なので、胴体の部分の彫りに関しては見積もり見て懐と相談して決めようかなって思っています。」
「デザインに関しては分かりました。それなら胴体の彫りなしであれば2000hで、胴体にデザインを加えるごとに加算になりますね。」
「おお…欲張りしなければ払える額です。」
プルメリアはウキウキな笑顔で答えた。
「でも、なぜこのようなものが欲しいのですか?差し支えなければおしえていただいても?」
お兄さんにそう聞かれると、先程寄った文具屋にペンが羽根ペンしかなく、ゲームの中ではこのペンを使うしかないのか?と絶望していたプルメリアはガラスペンについて鼻息荒く語り出す。
そのままお兄さんと120分近く語り合っている内に気づいたら2人ともタメ口で話すようになっていて、フレンド登録もしていた。プルメリアの今のフレンド欄はプレイヤーとNPCの比が1:1である。
お兄さんはスクロさんというらしく、ガラス細工のお店を開いたはずなのに売れ行きは好調とは言えず、実験器具やポーション瓶などの規定規格の生産品を作って売るただのガラス屋さんになってしまった旨を涙ながらに語り、君のおかげで僕は今度こそガラス細工屋になれるよ!と感謝をされてしまった。
プルメリアからしてみれば羽根ペンより100倍使いやすい上に見た目も芸術品なペンの依頼を引き受けてもらえて、こちらこそ感謝の気持ちでいっぱいだと思っていたのだが…
スクロさんはプルメリアにアイディア料を支払うと言ってきた。プルメリアは、自分のアイディアではなく現実世界に元々あったものなのでと、もちろん固辞したが、彼はプルメリアのその姿勢に感激したのか、最終的に
「僕、どんなに忙しくなっても君の杖のメンテナンスだけは絶対するから必ずまた来てね。」
と言ってくれたのだった。その後正式に制作依頼契約を結びプルメリアは店を出た。結局プルメリアは杖を買ったあとの残り金額の全てである5000hでガラスペンの依頼を出したのだった。
プルメリアは露店や、店先、ギルドの薬コーナーを見ていきながら、売られている薬の効果を見ていく。販売されている薬は、効果を鑑定をしなくてもステータスメッセージとして表示されるからだ。
これは鑑定の実践でわかったことだが、鑑定したものは鑑定士の任意で鑑定結果を誰にでも見られるようにできるし、公開範囲も指定できるようだ。
プルメリアは、自分で作った薬を鑑定するのに、他のお薬のステータスメッセージを学ぶことは役に立つだろうという考えで見て行った。
その中で、プルメリアは昔懐かしな感じのおもちゃ屋さんを見つけた。
この世界は魔法が発展しているからなのか、1部の魔道具の性能は近代並みかそれ以上だが、中世並の発展レベルのものも多いのだ。
吸い込まれるような心地がしたのでプルメリアは入店することにした。中には色々面白そうなものがあったけれど特に気になるものがあった。
竹の水鉄砲だ。
竹の水鉄砲をみてプルメリアは
(ソロルが、『酸入りのフラスコを投げる…と、フラスコも投擲武器としてなくなるから…不便。でも中身だけかけるには、近づかなきゃだから…』って言ってたけど、水鉄砲なら中身しか無くならないからコスパがいいし、買い直す手間も減るんじゃ?まあ、飛距離は減るだろうけどフラスコからダバーっと中身かけるよりは射程長いよね?)
と考えソロルへのお土産として良いのでは?と思ったのだ。そしてプルメリアは1つ400hの竹の水鉄砲をとりあえず6個買うことにした。
「もしソロルが竹の水鉄砲を上手く使いこなせたら、酸だけで近、中、遠、全ての距離に対応した攻撃が使えるようになるわけでしょ?かっこいい…ソロルの戦術の幅がもっと広くなるよね?」
プルメリアはルンルンしながらお店を出て、そして、自分の調合道具を買うために、ソロルに教えてもらったガラス屋さんに向かった。
ガラス屋さんに向かうと、店の端っこにひっそりと置かれたガラスの杖を発見した。プルメリアはそのガラスの杖に一目惚れをした。ガラスの杖はガラスペンのような見た目で、杖でありながら、動物系モンスターかPVPでなら突き攻撃にも使えそうだ。しかも毛細管現象でペン先に毒を留めおけるから突くと毒ダメージと突刺ダメージが二重になる攻撃が出来る杖になるだろう。
「すみません」
「はい。なんでしょう?」
店の奥に声をかけると気の弱そうなお兄さんが出てきた。
「あの…この杖を売っていただけますか?」
「この杖ですか?」
お兄さんは不思議そうな顔をして聞いてくる。
「はい!私、この杖に一目惚れしちゃったんです。ペン先…じゃなかった、杖の先のところの花の蕾みたいな彫りの美しさもそうだし、杖の棒のところの繊細な彫りもとっても好きです!」
プルメリアは杖に出逢えた興奮から、もはやお兄さんに詰め寄るような勢いで答えた。
「あっ!それからお兄さん…お兄さんにガラス細工の制作依頼を出すとしたらどれくらいのお金がかかりますか?」
「ああ…杖に関しては気に入って貰えて嬉しいです。見た目にこだわって作った結果、性能と値段のバランスが釣り合わず、ガラスだから先もすぐ摩耗するのも相まって、すっかりホコリを被ってしまったので。」
お兄さんはプルメリアのあまりの勢いに目を丸くしながら答える。
「それと…オーダーメイド品の制作依頼にかかる値段ですか?それなら材料費と制作にかかる時間で変わってきますが?見積もりだけでもしていかれますか?」
「え?いいんですか?見積もりします」
「なら、このお店には応接室がありませんので、工房で話を聞くことになってしまいますが…それでも?」
「はい。大丈夫です!」
プルメリアはお兄さんと工房へ行き、見積もりをはじめる
「それで、お嬢さんはどのようなものが欲しいのですか?」
「えっと…簡単に言うとさっきの杖を全長10cmほどに縮小したものが欲しいです。具体的には、先の形状がそのままに2cmくらいになっていて、全長10cmくらいなら胴体の彫りはなくても大丈夫です。なので、胴体の部分の彫りに関しては見積もり見て懐と相談して決めようかなって思っています。」
「デザインに関しては分かりました。それなら胴体の彫りなしであれば2000hで、胴体にデザインを加えるごとに加算になりますね。」
「おお…欲張りしなければ払える額です。」
プルメリアはウキウキな笑顔で答えた。
「でも、なぜこのようなものが欲しいのですか?差し支えなければおしえていただいても?」
お兄さんにそう聞かれると、先程寄った文具屋にペンが羽根ペンしかなく、ゲームの中ではこのペンを使うしかないのか?と絶望していたプルメリアはガラスペンについて鼻息荒く語り出す。
そのままお兄さんと120分近く語り合っている内に気づいたら2人ともタメ口で話すようになっていて、フレンド登録もしていた。プルメリアの今のフレンド欄はプレイヤーとNPCの比が1:1である。
お兄さんはスクロさんというらしく、ガラス細工のお店を開いたはずなのに売れ行きは好調とは言えず、実験器具やポーション瓶などの規定規格の生産品を作って売るただのガラス屋さんになってしまった旨を涙ながらに語り、君のおかげで僕は今度こそガラス細工屋になれるよ!と感謝をされてしまった。
プルメリアからしてみれば羽根ペンより100倍使いやすい上に見た目も芸術品なペンの依頼を引き受けてもらえて、こちらこそ感謝の気持ちでいっぱいだと思っていたのだが…
スクロさんはプルメリアにアイディア料を支払うと言ってきた。プルメリアは、自分のアイディアではなく現実世界に元々あったものなのでと、もちろん固辞したが、彼はプルメリアのその姿勢に感激したのか、最終的に
「僕、どんなに忙しくなっても君の杖のメンテナンスだけは絶対するから必ずまた来てね。」
と言ってくれたのだった。その後正式に制作依頼契約を結びプルメリアは店を出た。結局プルメリアは杖を買ったあとの残り金額の全てである5000hでガラスペンの依頼を出したのだった。
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