11 / 12
第11章 僕を信じて
しおりを挟む
「アンジェリクとの、結婚の承諾?」
お父様は、顔を歪ませていた。
「あなた達、一体いつからそんな仲に?」
お母様は、身体を震わせていた。
「少し前からです。でも、アンジェリク嬢を想う気持ちは、誰よりも強い。」
オラース様は、はっきりと言ってくれた。
「待て待て。落ち着こう。」
「そうね。落ち着きましょう。」
お父様とお母様は、お互いをなだめる。
きっと、どうしてそうなったのかを、考えているんだわ。
やっぱり私は、この家に相応しくないんじゃないかしら。
「オラース。なぜ、アンジェリクに目をつけた?」
「アンジェリク嬢は、誰よりも優しい。そして努力家です。一緒にいて楽しい。そんな女性は、アンジェリク嬢だけです。」
隣で聞いていて、首元がこそばゆくなった。
こんなに褒められていいの?私。
「うーん……」
お父様は、すごく悩んでいる。
「アンジェリクの気持ちは?」
「私も、オラース様と同じ考えです。」
私は、オラース様に言われた通りに、言葉を伝えた。
だけど、お父様とお母様の表情は、変らない。
「オラース、アンジェリク。二人が同じ気持ちなら、応援したい気持ちはあるのだが……結婚となるとな。」
「そうね。悩んでしまうわね。」
うんうん唸っているお父様とお母様に対して、胸が押しつぶされそうになった。
結婚は、本人達の気持ちよりも、家の繋がりを重んじるものね。
アルノ―家としては、貧乏なフェーネル家とは、繋がりを持ちたくないんだわ。
そう言えば、一番最初に私の社交界デビューの時も、力になってくれたアルノ―家だけど、結局自分のところのパーティーにも、呼んで下さらなかった。
私がこの家のパーティーに来て、オラース様とカップルになったら、困るからだわ。
「あのね、アンジェリクが良い娘だと言う事は、知っているのよ。」
「ああ、そうだ。アンジェリクを非難している訳ではない。」
そう言われると、余計貧乏な実家が問題だと、言われているみたい。
そして、そんなご両親に、オラース様もイライラしているみたい。
「オラース。おまえが結婚の話をしてくれた事は、嬉しい。だが、本当にアンジェリクでいいのか?」
胸にグサッと、何かが刺さった。
「今までのおまえの振る舞い、口にはしなかったが、よく見ていた。いろんな侍女に手を出していたようだが、アンジェリクもコラリーの侍女だから、手を出したのではないか?」
「いいえ。僕はアンジェリク嬢を、一度も侍女だと見た事はないです。」
「うーん。」
そうか。お父様は、今までのオラース様の相手と、私はあまり変わりないと思っているのね。
コラリー様やエリクもそうだった。
オラース様は、いろんな女性と恋をしていた。
今回だって、一緒だって。
「どうして皆、オラース様の事を信じてくれないの?」
涙が出てきた。
「オラース様は、いままでの女性とは違うと言ってくれています。結婚を考えてくれたのも、私が初めてです。なのにどうして、今までの恋と同じだと言うのですか。」
私は泣きながら、オラース様の気持ちを伝えた。
「アンジェ、泣かないで。ありがとう、そう言ってくれて。」
オラース様は、私の背中を摩ってくれた。
「分かった。アンジェリク。ちょっと、席を外してくれないか。」
「はい。」
私は立ち上がると、部屋を出て、ドアの隙間から中の様子を聞いた。
「オラース、おまえの今回の気持ちは分かった。だが、アンジェリクとの結婚は、諦めてくれ。」
「どうしてですか!?」
オラース様は、立ち上がった。
「アンジェリクの実家のフェーネル家とは、格が違う。」
「一緒じゃないですか。同じ公爵家だ。」
ハラハラする。
やっぱり、私の実家が貧乏なのを、ご両親は気にしているんだ。
「オラース。同じ公爵家でもね、経済力がある家とない家があるのよ。」
「フェーネル家に経済力が無くても、アルノ―家で支援すればいい事でしょう。」
「そうはいかない。他家に資財を持って行かれれば、アルノ―家だってどうなるか分からない。」
「そうよ、オラース。だからあなたも、アルノ―家よりも経済力のある家と、婚姻をして……」
するとオラース様が、テーブルを叩いた。
「どこまでも、金の事ですか!」
オラース様の息遣いが、荒くなっている。
「金で繋がった家なんて、金が無くなれば終わりでしょう!」
ご両親は、ふーっとため息。
あくまで、オラース様を世間知らずだと、思っているらしい。
「オラース。愛で繋がったとしても一緒だ。愛が無くなればそれで終わる。だが、格式はずっと同じだ。無くなる事はない。」
「僕とアンジェの愛は、無くならない。」
「何を言っても、今はダメだな。一度頭を冷やして来い。」
オラース様は、ご両親に背中を向けると、部屋を出て来た。
そして戸の影に隠れていた私を見て、驚いていた。
「アンジェ。聞いていたのか。」
「はい。」
2人で下を向いた。
「ごめん。君を傷つけてしまって。」
「いえ。私の実家が貧乏なのは、本当の事ですから。」
そう言うしかなかった。
でも、これでよく分かった。
どうして実家は公爵家なのに、貧乏と言うだけで、こんなにも蔑まれるのか。
他の公爵家も、同じなのね。
今の資財を守るだけで、必死なんだわ。
だから、もっと経済力のある家と、婚姻関係を結びたいのね。
お金のない私の実家には、公爵家という名前しか残っていないんだ。
「アンジェ。」
泣く私を抱きしめてくれるオラース様。
その温もりに、私は甘えてしまう。
「僕を信じてくれ。必ず両親を説得させて見せるから。」
「はい。私は、オラース様を信じています。でも……」
「大丈夫だから。」
オラース様は、私をきつく抱きしめてくれた。
「ああ、もう我慢できない。アンジェを抱きたい。」
オラース様はそう言うと、私を連れて行く。
「オラース様、どちらへ?」
「僕の部屋だよ。」
そう言うとオラース様は、自分の部屋に私を入れて、鍵をかけた。
「これで、誰も入って来ない。」
そしてオラース様は、私にキスをくれた。
深い深い、舌が絡まるキス。
「アンジェ。愛している。」
「私もです。オラース様。」
オラース様に服を脱がされ、私はベッドに押し倒された。
「アンジェ、いつまでも一緒だよ。」
「はい、オラース様。」
そして身体と身体が繋がる。
「ああ、アンジェ。気持ちいい……」
「私も……あぁ……」
部屋の中に、私の甘い声が響き渡る。
ずっと、ずっとオラース様とこうしていたい。
私には、オラース様しかいないの。
そして終わった後、オラース様はこんな事を話した。
「そうだ。アンジェのお父様に、味方になって頂こう。」
「私のお父様に?」
私はオラース様を見た。
笑顔になっているオラース様を見ると、心が軽くなる。
「そうね。お父様だったら、オラース様の事きっと好きになってくれるわ。」
私は信じていた。
お父様がこの結婚を、後押ししてくれることを。
数日後。
実家のお父様から、手紙がやってきた。
「そんな!」
手紙の内容は、あまりいい内容ではなかった。
【深い関係になる程、愛し合っていると言っているが、無理矢理関係を迫られたのではないか?】
そう書かれていた。
【どちらにしても、深い関係になってしまった以上、そのオラース殿に娶って頂かなければ、他に嫁に出す事はできない。結婚は許そう。】
味方になってくれるどころか、仕方ないとまで想われてしまった。
「アンジェ、お父さんの、フェーネル公爵の返事は、どうだった?」
私は頭を横に振った。
「ダメだって?」
「ダメとは言っていないけれど……」
オラース様は、お父様からの手紙の返事を読んだ。
「仕方ないって感じだね。」
「そうなの。」
するとオラース様は、私の肩を叩いた。
「でも、反対ではないんだし。いいじゃないか。」
でもその笑顔は、少し歪んでいた。
「ごめんなさい。私、深い関係になっているって、余計な事書いたから。」
「本当の事なんだから、いいと思うよ。」
無理に笑顔を作っているオラース様を、見つめる事ができなかった。
そんな私を、オラース様も感じ取ってくれているみたい。
「アンジェ。言っただろ。誰が何と言おうと、僕はアンジェと一緒にいたいって。」
「うん。」
「その気持ちは、今も変わらないよ。」
そして私を抱きしめてくれたオラース様。
「私もです。私も、一緒にいたい。」
「同じ気持ちでよかった。」
「うん、そうだね。」
2人、同じ気持ちだって事が、胸をざわつかせる不安を拭った。
「お取込み中、ごめんなさい。」
急にオラース様の部屋に、コラリー様が入って来た。
「どうしたの?姉さん。」
「あのね。二人に言っておきたい事があって。」
コラリー様は、笑顔で私達を見ている。
「何?言いたい事って?」
「ふふふ。その様子だと、アンジェのご両親にも、あまりいい返事は貰えなかったみたいね。」
私とオラース様は、顔を見合わせた。
「でもね。二人共、私がいる事を忘れないで。」
コラリー様は、私達の手を握りしめた。
「私は二人の事、応援するわ。二人に、結婚してほしい。」
「姉さん!」
「コラリー様。」
コラリー様の笑顔を見ると、安心してくる。
「だから二人共、負けずに愛を貫くのよ。」
「ありがとう、姉さん。」
嬉しくなっているオラース様と、笑顔で私達を応援してくれるコラリー様を見ると、この姉弟がいかに仲がいいかよく分かる。
それを見ると、私も心が和んでくる。
「アンジェ。改めて言う。僕を信じてくれ。」
正直、オラース様だけだったら、本当に大丈夫かなって思ったけれど、コラリー様が味方なら、心強いわ。
「はい。一緒に頑張りましょう。」
「アンジェ、ありがとう。」
オラース様は、また私を抱きしめてくれた。
コラリー様の前だと、なんだか照れくさい。
「あー、アンジェが私の妹になるなんて、夢のようだわ。」
「姉さん、気が早いな。」
「あら、両親たちに許して貰えたなら、直ぐ結婚するんでしょ?」
コラリー様の言葉に、ドキドキしてきた。
「結婚かぁ~。」
2人の前で、私は1人ぽや~っと、空中を眺めていた。
「ここにも、気が早い人がいるわよ。」
「アンジェはいいんだよ。」
その時は、オラース様の部屋に、笑いが響き渡った。
お父様は、顔を歪ませていた。
「あなた達、一体いつからそんな仲に?」
お母様は、身体を震わせていた。
「少し前からです。でも、アンジェリク嬢を想う気持ちは、誰よりも強い。」
オラース様は、はっきりと言ってくれた。
「待て待て。落ち着こう。」
「そうね。落ち着きましょう。」
お父様とお母様は、お互いをなだめる。
きっと、どうしてそうなったのかを、考えているんだわ。
やっぱり私は、この家に相応しくないんじゃないかしら。
「オラース。なぜ、アンジェリクに目をつけた?」
「アンジェリク嬢は、誰よりも優しい。そして努力家です。一緒にいて楽しい。そんな女性は、アンジェリク嬢だけです。」
隣で聞いていて、首元がこそばゆくなった。
こんなに褒められていいの?私。
「うーん……」
お父様は、すごく悩んでいる。
「アンジェリクの気持ちは?」
「私も、オラース様と同じ考えです。」
私は、オラース様に言われた通りに、言葉を伝えた。
だけど、お父様とお母様の表情は、変らない。
「オラース、アンジェリク。二人が同じ気持ちなら、応援したい気持ちはあるのだが……結婚となるとな。」
「そうね。悩んでしまうわね。」
うんうん唸っているお父様とお母様に対して、胸が押しつぶされそうになった。
結婚は、本人達の気持ちよりも、家の繋がりを重んじるものね。
アルノ―家としては、貧乏なフェーネル家とは、繋がりを持ちたくないんだわ。
そう言えば、一番最初に私の社交界デビューの時も、力になってくれたアルノ―家だけど、結局自分のところのパーティーにも、呼んで下さらなかった。
私がこの家のパーティーに来て、オラース様とカップルになったら、困るからだわ。
「あのね、アンジェリクが良い娘だと言う事は、知っているのよ。」
「ああ、そうだ。アンジェリクを非難している訳ではない。」
そう言われると、余計貧乏な実家が問題だと、言われているみたい。
そして、そんなご両親に、オラース様もイライラしているみたい。
「オラース。おまえが結婚の話をしてくれた事は、嬉しい。だが、本当にアンジェリクでいいのか?」
胸にグサッと、何かが刺さった。
「今までのおまえの振る舞い、口にはしなかったが、よく見ていた。いろんな侍女に手を出していたようだが、アンジェリクもコラリーの侍女だから、手を出したのではないか?」
「いいえ。僕はアンジェリク嬢を、一度も侍女だと見た事はないです。」
「うーん。」
そうか。お父様は、今までのオラース様の相手と、私はあまり変わりないと思っているのね。
コラリー様やエリクもそうだった。
オラース様は、いろんな女性と恋をしていた。
今回だって、一緒だって。
「どうして皆、オラース様の事を信じてくれないの?」
涙が出てきた。
「オラース様は、いままでの女性とは違うと言ってくれています。結婚を考えてくれたのも、私が初めてです。なのにどうして、今までの恋と同じだと言うのですか。」
私は泣きながら、オラース様の気持ちを伝えた。
「アンジェ、泣かないで。ありがとう、そう言ってくれて。」
オラース様は、私の背中を摩ってくれた。
「分かった。アンジェリク。ちょっと、席を外してくれないか。」
「はい。」
私は立ち上がると、部屋を出て、ドアの隙間から中の様子を聞いた。
「オラース、おまえの今回の気持ちは分かった。だが、アンジェリクとの結婚は、諦めてくれ。」
「どうしてですか!?」
オラース様は、立ち上がった。
「アンジェリクの実家のフェーネル家とは、格が違う。」
「一緒じゃないですか。同じ公爵家だ。」
ハラハラする。
やっぱり、私の実家が貧乏なのを、ご両親は気にしているんだ。
「オラース。同じ公爵家でもね、経済力がある家とない家があるのよ。」
「フェーネル家に経済力が無くても、アルノ―家で支援すればいい事でしょう。」
「そうはいかない。他家に資財を持って行かれれば、アルノ―家だってどうなるか分からない。」
「そうよ、オラース。だからあなたも、アルノ―家よりも経済力のある家と、婚姻をして……」
するとオラース様が、テーブルを叩いた。
「どこまでも、金の事ですか!」
オラース様の息遣いが、荒くなっている。
「金で繋がった家なんて、金が無くなれば終わりでしょう!」
ご両親は、ふーっとため息。
あくまで、オラース様を世間知らずだと、思っているらしい。
「オラース。愛で繋がったとしても一緒だ。愛が無くなればそれで終わる。だが、格式はずっと同じだ。無くなる事はない。」
「僕とアンジェの愛は、無くならない。」
「何を言っても、今はダメだな。一度頭を冷やして来い。」
オラース様は、ご両親に背中を向けると、部屋を出て来た。
そして戸の影に隠れていた私を見て、驚いていた。
「アンジェ。聞いていたのか。」
「はい。」
2人で下を向いた。
「ごめん。君を傷つけてしまって。」
「いえ。私の実家が貧乏なのは、本当の事ですから。」
そう言うしかなかった。
でも、これでよく分かった。
どうして実家は公爵家なのに、貧乏と言うだけで、こんなにも蔑まれるのか。
他の公爵家も、同じなのね。
今の資財を守るだけで、必死なんだわ。
だから、もっと経済力のある家と、婚姻関係を結びたいのね。
お金のない私の実家には、公爵家という名前しか残っていないんだ。
「アンジェ。」
泣く私を抱きしめてくれるオラース様。
その温もりに、私は甘えてしまう。
「僕を信じてくれ。必ず両親を説得させて見せるから。」
「はい。私は、オラース様を信じています。でも……」
「大丈夫だから。」
オラース様は、私をきつく抱きしめてくれた。
「ああ、もう我慢できない。アンジェを抱きたい。」
オラース様はそう言うと、私を連れて行く。
「オラース様、どちらへ?」
「僕の部屋だよ。」
そう言うとオラース様は、自分の部屋に私を入れて、鍵をかけた。
「これで、誰も入って来ない。」
そしてオラース様は、私にキスをくれた。
深い深い、舌が絡まるキス。
「アンジェ。愛している。」
「私もです。オラース様。」
オラース様に服を脱がされ、私はベッドに押し倒された。
「アンジェ、いつまでも一緒だよ。」
「はい、オラース様。」
そして身体と身体が繋がる。
「ああ、アンジェ。気持ちいい……」
「私も……あぁ……」
部屋の中に、私の甘い声が響き渡る。
ずっと、ずっとオラース様とこうしていたい。
私には、オラース様しかいないの。
そして終わった後、オラース様はこんな事を話した。
「そうだ。アンジェのお父様に、味方になって頂こう。」
「私のお父様に?」
私はオラース様を見た。
笑顔になっているオラース様を見ると、心が軽くなる。
「そうね。お父様だったら、オラース様の事きっと好きになってくれるわ。」
私は信じていた。
お父様がこの結婚を、後押ししてくれることを。
数日後。
実家のお父様から、手紙がやってきた。
「そんな!」
手紙の内容は、あまりいい内容ではなかった。
【深い関係になる程、愛し合っていると言っているが、無理矢理関係を迫られたのではないか?】
そう書かれていた。
【どちらにしても、深い関係になってしまった以上、そのオラース殿に娶って頂かなければ、他に嫁に出す事はできない。結婚は許そう。】
味方になってくれるどころか、仕方ないとまで想われてしまった。
「アンジェ、お父さんの、フェーネル公爵の返事は、どうだった?」
私は頭を横に振った。
「ダメだって?」
「ダメとは言っていないけれど……」
オラース様は、お父様からの手紙の返事を読んだ。
「仕方ないって感じだね。」
「そうなの。」
するとオラース様は、私の肩を叩いた。
「でも、反対ではないんだし。いいじゃないか。」
でもその笑顔は、少し歪んでいた。
「ごめんなさい。私、深い関係になっているって、余計な事書いたから。」
「本当の事なんだから、いいと思うよ。」
無理に笑顔を作っているオラース様を、見つめる事ができなかった。
そんな私を、オラース様も感じ取ってくれているみたい。
「アンジェ。言っただろ。誰が何と言おうと、僕はアンジェと一緒にいたいって。」
「うん。」
「その気持ちは、今も変わらないよ。」
そして私を抱きしめてくれたオラース様。
「私もです。私も、一緒にいたい。」
「同じ気持ちでよかった。」
「うん、そうだね。」
2人、同じ気持ちだって事が、胸をざわつかせる不安を拭った。
「お取込み中、ごめんなさい。」
急にオラース様の部屋に、コラリー様が入って来た。
「どうしたの?姉さん。」
「あのね。二人に言っておきたい事があって。」
コラリー様は、笑顔で私達を見ている。
「何?言いたい事って?」
「ふふふ。その様子だと、アンジェのご両親にも、あまりいい返事は貰えなかったみたいね。」
私とオラース様は、顔を見合わせた。
「でもね。二人共、私がいる事を忘れないで。」
コラリー様は、私達の手を握りしめた。
「私は二人の事、応援するわ。二人に、結婚してほしい。」
「姉さん!」
「コラリー様。」
コラリー様の笑顔を見ると、安心してくる。
「だから二人共、負けずに愛を貫くのよ。」
「ありがとう、姉さん。」
嬉しくなっているオラース様と、笑顔で私達を応援してくれるコラリー様を見ると、この姉弟がいかに仲がいいかよく分かる。
それを見ると、私も心が和んでくる。
「アンジェ。改めて言う。僕を信じてくれ。」
正直、オラース様だけだったら、本当に大丈夫かなって思ったけれど、コラリー様が味方なら、心強いわ。
「はい。一緒に頑張りましょう。」
「アンジェ、ありがとう。」
オラース様は、また私を抱きしめてくれた。
コラリー様の前だと、なんだか照れくさい。
「あー、アンジェが私の妹になるなんて、夢のようだわ。」
「姉さん、気が早いな。」
「あら、両親たちに許して貰えたなら、直ぐ結婚するんでしょ?」
コラリー様の言葉に、ドキドキしてきた。
「結婚かぁ~。」
2人の前で、私は1人ぽや~っと、空中を眺めていた。
「ここにも、気が早い人がいるわよ。」
「アンジェはいいんだよ。」
その時は、オラース様の部屋に、笑いが響き渡った。
0
お気に入りに追加
65
あなたにおすすめの小説
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
お母様が国王陛下に見染められて再婚することになったら、美麗だけど残念な義兄の王太子殿下に婚姻を迫られました!
奏音 美都
恋愛
まだ夜の冷気が残る早朝、焼かれたパンを店に並べていると、いつもは慌ただしく動き回っている母さんが、私の後ろに立っていた。
「エリー、実は……国王陛下に見染められて、婚姻を交わすことになったんだけど、貴女も王宮に入ってくれるかしら?」
国王陛下に見染められて……って。国王陛下が母さんを好きになって、求婚したってこと!? え、で……私も王宮にって、王室の一員になれってこと!?
国王陛下に挨拶に伺うと、そこには美しい顔立ちの王太子殿下がいた。
「エリー、どうか僕と結婚してくれ! 君こそ、僕の妻に相応しい!」
え……私、貴方の妹になるんですけど?
どこから突っ込んでいいのか分かんない。
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました
懐いてた年下の女の子が三年空けると口が悪くなってた話
六剣
恋愛
社会人の鳳健吾(おおとりけんご)と高校生の鮫島凛香(さめじまりんか)はアパートのお隣同士だった。
兄貴気質であるケンゴはシングルマザーで常に働きに出ているリンカの母親に代わってよく彼女の面倒を見ていた。
リンカが中学生になった頃、ケンゴは海外に転勤してしまい、三年の月日が流れる。
三年ぶりに日本のアパートに戻って来たケンゴに対してリンカは、
「なんだ。帰ってきたんだ」
と、嫌悪な様子で接するのだった。
森でオッサンに拾って貰いました。
来栖もよもよ&来栖もよりーぬ
恋愛
アパートの火事から逃げ出そうとして気がついたらパジャマで森にいた26歳のOLと、拾ってくれた40近く見える髭面のマッチョなオッサン(実は31歳)がラブラブするお話。ちと長めですが前後編で終わります。
ムーンライト、エブリスタにも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる