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第10話 週末婚再び!?
②
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「泣くな!」
「はい!」
「泣く暇があったら、会議の時間を、30分遅らせるって、部長達に伝えて来い!」
「はい!」
私は社長室を出ると、ダッシュでエレベーターに乗った。
「あっ、つむぎちゃん!」
なぜか、同じタイミングでエレベーターに乗って来た益城さん。
ちと疑問なんだけど、今までどこにいたんだろう。
あんなに落ち込んでいたのに、テンション戻ってるし。
「どこ行くの?」
「部長達のところです。」
「何しに?」
「会議が、30分遅れて始まるって事を伝えなきゃいけないんです。」
「どうして?」
「私が、五貴さんの作った資料、無くしてしまったから。」
そこまで言って、私は口を塞いだ。
「へえ。で?五貴に怒られたの?」
「……怒られました。」
「はははっ!五貴、つむぎちゃんに怒ったんだ。つむぎには、何されても何をされても、怒る気になれないって、言ってたのに。」
そう。
五貴さんは、資料を無くした時も、優しかった。
焦って、そのイライラを私にぶつけていたけれど、もっと私を責めたっていいはず。
「ううぅっ……」
「つむぎちゃん?」
側にいた益城さんが、私の背中を摩ってくれた。
「泣く事ないよ。俺だったら……」
顔を近づけてくる益城さんを、両手で追いやった。
「ちょっと、つむぎちゃん!」
「慰めは、結構です!」
私は、エレベーターを降りると、1階から順番に、30分遅れで会議が始まる事を伝えて回った。
「あっ、そう。30分ね。」
「ええ?30分も遅れるの?参ったな。」
「はいはい、30分ね。」
部長達の反応は、様々だったけれど、なんとか全員に伝える事ができた。
最上階に着いた時、内本さんが一枚の紙を持って、走ってきた。
「社長の資料、出来上がっているわよ。」
「はい!」
私はその資料を受け取ると、急いで読み込んだ。
「会議の資料、間に合いそうか?」
五貴さんも心配になって、デスクの側に来てくれた。
「間に合わせます!」
急がば回れで、丁寧に編集して、誤字脱字チェック。
よし!
後は、会議室のセッティングだけ!
「終わった!」
「うわっ!」
急に私が立ち上がったものだから、後ろにいた五貴さんに、頭がぶつかってしまった。
「社長!大丈夫ですか!」
内本さんが、五貴さんの側に駆け寄った。
「ちょっと、あなたね!」
「す、すみません!」
そして顎を押さえながら、顔を上げた五貴さんは、痛みを堪えながら、はははっと笑っていた。
「さすがはつむぎ。間に合わないかと思っていたけれど、大丈夫だったな。」
「五貴さん!」
嬉しくて、思わず内本さんの前で、五貴さんと抱き合ってしまった。
その時に、内本さんが『チェッ!』って、舌打ちしてしているのを、私はあろうことか、聞き逃していた。
その日の夜は、疲れがどっと出た。
「あー!仕事の後のビールは、美味しいね。」
今日は五貴さんが、空君のところへ行っていていない日。
私の晩酌の相手をしてくれたのは、林さんだった。
と言っても、林さんは飲まずに、ただ私の愚痴を聞いてくれているだけなんだけどね。
「珍しいですね、奥様がそんな事を仰るなんて。」
林さんはそう言いながら、私のおつまみを作ってくれている。
「そうでしょ。今日は朝から、すごく忙しかったの。」
「ほう。」
「まあ、私が全面的に悪いんだけどね。」
口ではそう言っているけれど、心の中では、”何であのタイミングで無くなるんだ~!”と叫びたいくらい。
「そうだ。聞いて、林さん。」
「何でしょう。」
「今日の朝、いつもと同じように、会議の資料を集めて、まとめていた時なんだけどね。」
林さんは、作ったおつまみを持って、ダイニングにやってきた。
「珍しく、五貴さんから会議の資料を、渡されたの。」
「ほう。本当に珍しい事ですね。」
「でしょう?」
私が入社して、会議の資料を作るようになってから、だいぶ経つけれど、こんな事は初めてだ。
「ところがね、その五貴さんから貰った資料が、どこかに行ってしまったのよ。」
「へえ。紙に足でも生えたのでしょうか。」
真面目な顔でボケる林さんに、私は口をあんぐり開ける。
「これは、失礼。」
私は気を取り直して、話を続けた。
「でもね、いくら探してもないのよ。床にも落ちてないし、他の資料とも混ざってないし。」
「不思議な事も、あるものですね。」
「うん。」
お替りのビールを林さんに注いでもらいながら、私はもう一度、あの時の事を思い出した。
確か、五貴さんの資料は、一番上に置いてあったはず。
何かの拍子で飛ばされたのなら、床に落ちていても、おかしくないのにな。
首を傾げた私を、林さんは見逃さなかった。
「ところで奥様は、その時何をしてらっしゃったんですか?」
「何をって、トイレに行ってたの。」
「左様ですか。それでは、誰かがその隙に持っていったとしても、奥様は、気づかないでしょうね。」
私は、目をパチクリさせた。
「そんな、まさか……」
「えっ?」
林さんは、空になったビール缶を持って、キッチンへ戻ろうとして、振り返った。
「そんな事って、あるの?」
私は、林さんに聞いてみた。
「……全くないとは、言えませんな。」
「そうだよね。」
私は足を組んで、両手を組んでみた。
「奥様。もしや、思い当たる事でも?」
「うん。だってあの時、社長室にいた人、内本さんだけだよ。」
「旦那様の、秘書の方ですね。」
「うん。」
あの時は、頭が真っ白になって、ワーワー騒いじゃったけれど、冷静に考えてみれば、あの人が持っていけば、床になかったのも、納得じゃない?
私は眉間にシワを寄せながら、考え込んだ。
次の日、私はいつものように、会議資料を集めに周っていた。
昨日と違う事は、まだ益城さんと会っていない事ぐらいだ。
「絶対、今日は内本さんの本性を、明かしてやる!」
勇んで資料を集めに行ったせいか、部長達は珍しいモノを見るような目で私を見て来た。
「なんか、今日は大分、張り切っているね。」
「いいね、いいね。元気があって。」
その中でも、まだセクハラはされていない。
って、いや。
これじゃあ、セクハラを待っているように聞こえるけれども、これじゃあ、内本さんに勝てない。
そんな時だった。
「今、見直しているから、少しだけ待っていてね。」
いつも私を待たせる部長が、案の定、私を待たせていた時だった。
「うん。OK!じゃあ、これ頼むよ。」
その瞬間、私のお尻にサワッと何かを感じた。
ふと振り返って見ると、目の前にいる部長が、手を引っ込めている。
もしかして、私今、セクハラされた?
私がジーッと見ている事に気づいた部長は、私を二度見した。
「なに?」
「いえ。」
これは、どうしたものか。
本当は、気持ち悪いモノなのに、光が舞い降りてきた気がする。
やっと来た、私にも!
セクハラ事件!!
これで、内本さんに勝てる気がする!!
「部長、ありがとうございますっ!」
私は、勢いよく頭を下げた。
「はい?」
ここはニコッと笑って、部長の耳元に囁いた。
「でも、お尻を触るのは、今日だけにして下さいね。」
「ええっ!?」
セクハラした事をバレた部長は、椅子から転げ落ちそうになっていたけれど、そんな事は無視して、私は上機嫌でエレベーターに乗った。
辺りを見回しても、益城さんはいない。
今日は、ツイテいる!
絶対に、いける!
私は大きく深呼吸をして、社長室に戻って来た。
いたいた、内本さん。
私は素知らぬ顔で、デスクに着いた。
いつも通り、いつも通り。
最後の一枚を残して、全てをPCに取り込んだ。
「ちょっと、お手洗い行って来ます。」
計画通り、最後の一枚をデスクの目立つ場所に置いて、私は立ち上がった。
「はい。」
何食わぬ顔で、返事をする内本さん。
私は社長室を出ると、そっとドアの隙間から、デスクを見た。
そして五貴さんが、給湯室へ行く。
そこへ、内本さんが席を立った。
五貴さんに見られないように、私が作業していたデスクに近づき、一番上のある資料を取り上げ、そのまま自分の席に戻ってしまった。
やった。
私は、ガッツポーズを決める。
「あーあ。早く、会議資料作らなきゃ。」
わざと大きな声で言ったのに、こっちをチラッとも見ない内本さん。
後で見てろよ~。
「あれ?資料が、一枚足りない。」
「えっ?」
内本さんが、こっちを見た。
「また?」
歯を磨いていた、五貴さんまで登場しちゃった。
「はい!」
「泣く暇があったら、会議の時間を、30分遅らせるって、部長達に伝えて来い!」
「はい!」
私は社長室を出ると、ダッシュでエレベーターに乗った。
「あっ、つむぎちゃん!」
なぜか、同じタイミングでエレベーターに乗って来た益城さん。
ちと疑問なんだけど、今までどこにいたんだろう。
あんなに落ち込んでいたのに、テンション戻ってるし。
「どこ行くの?」
「部長達のところです。」
「何しに?」
「会議が、30分遅れて始まるって事を伝えなきゃいけないんです。」
「どうして?」
「私が、五貴さんの作った資料、無くしてしまったから。」
そこまで言って、私は口を塞いだ。
「へえ。で?五貴に怒られたの?」
「……怒られました。」
「はははっ!五貴、つむぎちゃんに怒ったんだ。つむぎには、何されても何をされても、怒る気になれないって、言ってたのに。」
そう。
五貴さんは、資料を無くした時も、優しかった。
焦って、そのイライラを私にぶつけていたけれど、もっと私を責めたっていいはず。
「ううぅっ……」
「つむぎちゃん?」
側にいた益城さんが、私の背中を摩ってくれた。
「泣く事ないよ。俺だったら……」
顔を近づけてくる益城さんを、両手で追いやった。
「ちょっと、つむぎちゃん!」
「慰めは、結構です!」
私は、エレベーターを降りると、1階から順番に、30分遅れで会議が始まる事を伝えて回った。
「あっ、そう。30分ね。」
「ええ?30分も遅れるの?参ったな。」
「はいはい、30分ね。」
部長達の反応は、様々だったけれど、なんとか全員に伝える事ができた。
最上階に着いた時、内本さんが一枚の紙を持って、走ってきた。
「社長の資料、出来上がっているわよ。」
「はい!」
私はその資料を受け取ると、急いで読み込んだ。
「会議の資料、間に合いそうか?」
五貴さんも心配になって、デスクの側に来てくれた。
「間に合わせます!」
急がば回れで、丁寧に編集して、誤字脱字チェック。
よし!
後は、会議室のセッティングだけ!
「終わった!」
「うわっ!」
急に私が立ち上がったものだから、後ろにいた五貴さんに、頭がぶつかってしまった。
「社長!大丈夫ですか!」
内本さんが、五貴さんの側に駆け寄った。
「ちょっと、あなたね!」
「す、すみません!」
そして顎を押さえながら、顔を上げた五貴さんは、痛みを堪えながら、はははっと笑っていた。
「さすがはつむぎ。間に合わないかと思っていたけれど、大丈夫だったな。」
「五貴さん!」
嬉しくて、思わず内本さんの前で、五貴さんと抱き合ってしまった。
その時に、内本さんが『チェッ!』って、舌打ちしてしているのを、私はあろうことか、聞き逃していた。
その日の夜は、疲れがどっと出た。
「あー!仕事の後のビールは、美味しいね。」
今日は五貴さんが、空君のところへ行っていていない日。
私の晩酌の相手をしてくれたのは、林さんだった。
と言っても、林さんは飲まずに、ただ私の愚痴を聞いてくれているだけなんだけどね。
「珍しいですね、奥様がそんな事を仰るなんて。」
林さんはそう言いながら、私のおつまみを作ってくれている。
「そうでしょ。今日は朝から、すごく忙しかったの。」
「ほう。」
「まあ、私が全面的に悪いんだけどね。」
口ではそう言っているけれど、心の中では、”何であのタイミングで無くなるんだ~!”と叫びたいくらい。
「そうだ。聞いて、林さん。」
「何でしょう。」
「今日の朝、いつもと同じように、会議の資料を集めて、まとめていた時なんだけどね。」
林さんは、作ったおつまみを持って、ダイニングにやってきた。
「珍しく、五貴さんから会議の資料を、渡されたの。」
「ほう。本当に珍しい事ですね。」
「でしょう?」
私が入社して、会議の資料を作るようになってから、だいぶ経つけれど、こんな事は初めてだ。
「ところがね、その五貴さんから貰った資料が、どこかに行ってしまったのよ。」
「へえ。紙に足でも生えたのでしょうか。」
真面目な顔でボケる林さんに、私は口をあんぐり開ける。
「これは、失礼。」
私は気を取り直して、話を続けた。
「でもね、いくら探してもないのよ。床にも落ちてないし、他の資料とも混ざってないし。」
「不思議な事も、あるものですね。」
「うん。」
お替りのビールを林さんに注いでもらいながら、私はもう一度、あの時の事を思い出した。
確か、五貴さんの資料は、一番上に置いてあったはず。
何かの拍子で飛ばされたのなら、床に落ちていても、おかしくないのにな。
首を傾げた私を、林さんは見逃さなかった。
「ところで奥様は、その時何をしてらっしゃったんですか?」
「何をって、トイレに行ってたの。」
「左様ですか。それでは、誰かがその隙に持っていったとしても、奥様は、気づかないでしょうね。」
私は、目をパチクリさせた。
「そんな、まさか……」
「えっ?」
林さんは、空になったビール缶を持って、キッチンへ戻ろうとして、振り返った。
「そんな事って、あるの?」
私は、林さんに聞いてみた。
「……全くないとは、言えませんな。」
「そうだよね。」
私は足を組んで、両手を組んでみた。
「奥様。もしや、思い当たる事でも?」
「うん。だってあの時、社長室にいた人、内本さんだけだよ。」
「旦那様の、秘書の方ですね。」
「うん。」
あの時は、頭が真っ白になって、ワーワー騒いじゃったけれど、冷静に考えてみれば、あの人が持っていけば、床になかったのも、納得じゃない?
私は眉間にシワを寄せながら、考え込んだ。
次の日、私はいつものように、会議資料を集めに周っていた。
昨日と違う事は、まだ益城さんと会っていない事ぐらいだ。
「絶対、今日は内本さんの本性を、明かしてやる!」
勇んで資料を集めに行ったせいか、部長達は珍しいモノを見るような目で私を見て来た。
「なんか、今日は大分、張り切っているね。」
「いいね、いいね。元気があって。」
その中でも、まだセクハラはされていない。
って、いや。
これじゃあ、セクハラを待っているように聞こえるけれども、これじゃあ、内本さんに勝てない。
そんな時だった。
「今、見直しているから、少しだけ待っていてね。」
いつも私を待たせる部長が、案の定、私を待たせていた時だった。
「うん。OK!じゃあ、これ頼むよ。」
その瞬間、私のお尻にサワッと何かを感じた。
ふと振り返って見ると、目の前にいる部長が、手を引っ込めている。
もしかして、私今、セクハラされた?
私がジーッと見ている事に気づいた部長は、私を二度見した。
「なに?」
「いえ。」
これは、どうしたものか。
本当は、気持ち悪いモノなのに、光が舞い降りてきた気がする。
やっと来た、私にも!
セクハラ事件!!
これで、内本さんに勝てる気がする!!
「部長、ありがとうございますっ!」
私は、勢いよく頭を下げた。
「はい?」
ここはニコッと笑って、部長の耳元に囁いた。
「でも、お尻を触るのは、今日だけにして下さいね。」
「ええっ!?」
セクハラした事をバレた部長は、椅子から転げ落ちそうになっていたけれど、そんな事は無視して、私は上機嫌でエレベーターに乗った。
辺りを見回しても、益城さんはいない。
今日は、ツイテいる!
絶対に、いける!
私は大きく深呼吸をして、社長室に戻って来た。
いたいた、内本さん。
私は素知らぬ顔で、デスクに着いた。
いつも通り、いつも通り。
最後の一枚を残して、全てをPCに取り込んだ。
「ちょっと、お手洗い行って来ます。」
計画通り、最後の一枚をデスクの目立つ場所に置いて、私は立ち上がった。
「はい。」
何食わぬ顔で、返事をする内本さん。
私は社長室を出ると、そっとドアの隙間から、デスクを見た。
そして五貴さんが、給湯室へ行く。
そこへ、内本さんが席を立った。
五貴さんに見られないように、私が作業していたデスクに近づき、一番上のある資料を取り上げ、そのまま自分の席に戻ってしまった。
やった。
私は、ガッツポーズを決める。
「あーあ。早く、会議資料作らなきゃ。」
わざと大きな声で言ったのに、こっちをチラッとも見ない内本さん。
後で見てろよ~。
「あれ?資料が、一枚足りない。」
「えっ?」
内本さんが、こっちを見た。
「また?」
歯を磨いていた、五貴さんまで登場しちゃった。
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